経理部に集まる伝票には「経営のヒント」が詰まっている

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経理部が経営会議で提出する「経営資料」は税務申告や経営判断の重要な材料になる。この資料を作成する経理部には、早さや正確さだけでなく、考察と改善策を提案するスキルも求められている。しかし、そこまで達せられないケースも少なくない。経営層が欲しがる資料とは何か。(ビジネス作家・経理環境改善コンサルタント 田村夕美子)

決算、予算実績…経営資料の元データに
経営判断のヒントがある

 月次の決算書類や予算実績表等は「経営資料」とも呼ばれ、税務申告や経営判断の重要な材料になります。よって、経理部の上司の中には、資料作成を担う経理スタッフに対し、早くて正確な仕上がりばかりではなく、分析して気づきを見つけ、改善策を提案するといったスキルも求めている人が少なくありません。

 ただ、経理スタッフの立場になると、そこまでに達する余裕がないケースが少なくないようです。こうした状況を放置していては人材育成の観点からも不十分な上、経営改善にも思うようにつながらないでしょう。

 では、改善策はどうしたらいいのでしょうか? ヒントは、経営資料作成の前段階にあるデータや伝票類の扱い方に隠れています。

 IT企業の経理部員として勤務するAさん(30代男性)は、今年で勤続10年目。中堅社員として経理部のチーフを担い、業務改善にも力を入れているようです。

「会計ソフトの入れ替えは、上司も快諾してくれました。自動仕訳システムなどの便利な機能のおかげで日次業務の効率が上がり、月次の経営資料の作成も楽になりました」

 IT企業ということもあり、経理システムも最先端のツールを導入して、業務効率化を図っています。進化を続けるシステムの中で、自社にフィットしたものを選択して業務改善を図り、仕事の属人化を払拭することは、チーフの使命でもあります。

 では、次のステップで目指すものは何でしょうか。彼に問うと、こんな答えが返ってきました。

「近いうちにAIに仕事を奪われるかもしれないので戦々恐々としています。ウチは、部下等にプレゼン術を身につけてもらうことを考えていますね。これが人にしかできない仕事なのか微妙ですが…。また、他の企業の経理部員はどのようなスタンスで経営資料を作成しているのかも気にしています」

 AI導入に対応すべく、人にしかできない仕事を追究していきたいとの考え方はもっともです。反論する人は少ないでしょう。

 ただ、理想と現実は異なります。私が様々な経理部を見てきた中で、「経営資料の分析」を十分に行わず、プレゼン術ばかりに目が行くことが思いのほか多いと感じられるのです。

 経営資料が完成する前段階で、経理スタッフは伝票やデータ類をどのようなスタンスで扱っているのでしょうか。また、経理システムによる自動仕訳が可能になったはいいものの、捻出された時間で経理スタッフはどのような仕事に取り組んでいるのでしょうか。実はここに、まだ改善の余地があるのです。

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