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■EV技術ではトヨタが世界一?見抜けないメディアの情けなさ?

 トヨタが「EV白書」を発表したり、メディア向け説明会を開いたり、かなり批判を気にしているようだ。EV技術について、トヨタをはじめ日本メーカーが後れているような論調が目立っているが、どうやらメディアのほうが技術を理解していないようだ。自動車ジャーナリストの不見識と言え、情けなく残念である。

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 個別の批判は避けたいが、どうしても「カーグラフィック」の姿勢は納得できない。「カーグラフィックTV」の中での解説を時折見ているのだが、車を感覚論だけで捉えるのは無理がある。トヨタの「TNGA」を「なんですか?あれは」と言っているのを聞いたが、製造業の厳しい経営と、自動車メーカーが置かれている現状、またそれを裏付ける生産技術、製造技術、品質管理などを無視した感想では、信憑性に欠ける。

 カーグラフィック記者の所有する1台の車のそばに、10年近く私の車も駐車していた経緯もあって批判は控えたいのだが、自動車を感性で捉えるだけでは不十分極まりないことを知ってほしいものだ。自動車は「文化遺産」と捉えることもできるのだが、その陰で必死に努力している作業者、技術者、管理者、経営者の姿を見逃さないでほしい。それは日本経済の運命を握っていると思われるからだ。

 トヨタには、EVに関して世界一の技術の蓄積があると考えられる。初代プリウスが発売になって20年が立つであろう。簡単に言えば、HVからエンジン、ミッション、トルクミックスギア、排気系などを取ってしまえばEVである。逆に「EV技術がなければHVは成り立たない」。これが自動車の専門家を名乗る人々の中に分らない人がいるようだ。

■ジャーナリストの姿勢と不良品との関係を見逃すな!

 この背景には、「単なるブーム」に踊らされる人々、「製造」に知識のない人々、特に「モータージャーナリスト」を名乗る関係者の中に、全く「造り方」に素人がいることの罪深さがある。自動車について語りながら、自動車の構造についてもかなりの知識がありながら、自動車製造に理解がなく、「品質保証の概念」も理解できていないのだ。製造企業も人間の集まりだ、それを「統率して高い品質を保つ」ことは、組織運用などの「管理技術が存在する」ことを認識できていない社会人が、ほとんどであることが驚きである。

 最近続く神戸製鋼、日産自動車、スバル、三菱マテリアル、東レなどの不祥事について、まともに語れない自動車ジャーナリストたちがいる。そればかりかVWなどの排気ガス規制に対する不祥事の時、批判記事を展開しない自動車ジャーナリストの姿勢は「反社会的」とも感じられるものだった。中には「メーカーから仕事が来るかどうかが自動車ジャーナリストとしての資格だ」と言った主張を堂々と展開する記者まで存在した。「人類に対する反逆」とも言える「排気ガス規制に逆らう犯罪」でありながら、「無関係を装う姿勢」にはジャーナリストの資格を問いたい。