「12月の日本株は上がりやすい」というイメージがあるが、本当だろうか。筆者が12月のデータを検証する(写真:リュウタ / PIXTA)

足元の日本株は高値圏で推移している。6日の日経平均株価は前日比445円安の波乱となった。今年最大の下げ幅となったことで警戒感が高まるが、2017年も12月相場は年末高につながる「掉尾の一振」(とうびのいっしん)がみられるのだろうか。過去のデータも検証しながら、テクニカル面から12月相場の見通しを探ってみた。

12月の日経平均は、過去27年「17勝10敗」

過去27年間(1990〜2016年)における日経平均株価を振り返ると、12月相場は17勝10敗。「株は年末高」のイメージが強い割には、実は12月の勝率は、さほど高くないことがわかる。また、同期間における12月の月間騰落率は上げた場合は平均で5.2%。下げた場合の平均はマイナス4.8%だ。

仮に、これを2017年11月末の株価の2万2724円に当てはめると、17年12月の想定レンジは「2万1600〜2万3900円台」が見込まれる。

ところで、なぜ日本株には年末にかけて上昇傾向となる「掉尾の一振」という相場格言があるのだろうか。これは、海外投資家の決算対策売りや個人投資家の損益通算売りなどで株価が下押しした後、12月末にかけてファンドなどのお化粧買い(ドレッシング買い)による押し上げ買いなどが、1つの要因とされている。

少しだけ早いが、東京証券取引所再開(1949〜2016年)以降における、12月の年末約1週間における、日経平均株価の勝敗と上昇確率はどうなっているだろうか? あらかじめみておこう。

以下は12月25日以降の「星取り表」である。曜日の関係もあり、勝敗の日数は一致しないが、傾向をみていただきたい。

〜年末の日経平均株価の勝敗と上昇確率〜
12/25 35勝18敗(上昇確率66%)
12/26 40勝15敗(同73%)
12/27 31勝23敗(同57%)
12/28 39勝15敗(同72%)
12/29 13勝7敗(同65%)
12/30 10勝10敗(同50%)

ご覧のように、確かに12月26日や28日は勝率70%超となっている。だが、12月30日(この日はもれなく大納会)の勝率は、まちまちだ。

外国人投資家の売りは一時的?J-REITに底入れの兆し

では、当面の相場はどうなるのか。日経平均株価がザラ場の高値2万3382円をつけたのは、11月9日だ。11月第3週(13〜17日)の売買動向によると、海外勢が8週ぶりに日本株を売り越し、その額は3211億円とほぼ2カ月ぶりの大きさだった。だが、もともと11月は海外勢の売りが一時的に出やすい。今後の海外勢の売買動向に注目しておきたい。

一方、同期における個人投資家の買い越し額は2353億円。現金での買い越しは1342億円と約8カ月ぶりの大きさだった。自己株買いなどが含まれる事業法人も2週ぶりに買い越した。

引き続き、日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れも相場下支えの主体として期待される。買い入れ額は年6兆円のうち、株価指数連動型ETFが5兆7000億円(設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業の株式を組み入れたETFが3000億円)であり、2017年の株価指数連動型ETFの買い入れ総額は5兆1000億円(12月4日時点)だ。年内まで残り枠は約9000億円と試算される。仮に海外勢のまとまった売りが出ても、ある程度は吸収できそうだ。

また、2017年初めより下落基調を続けていたREIT市場に変化の兆しがある。11月の東証REIT指数は4カ月ぶりに反発した。今春に金融庁が過度に分配金を支払う投信を指摘したことを機に毎月分配型投信の資金流出が続き、REIT市場全体を押し下げた。だが、予想分配金利回りをみると、足元は4.2%台まで上昇。長期金利が低迷するなかで、利回りの側面から投資妙味が高まっている。

投資部門別売買状況をみても、海外勢はJ-REITを2017年9〜10月と2カ月連続で買い越している。海外マネーは急騰した日本株を売り越す一方、利回り妙味の高さから、J-REITに向かいつつあるのかもしれない。

2017月の日経平均株価はすでに年初来で約2割上昇しているだけに、年内の上値余地は限られる可能性がある。国内勢の下値買いは期待されるものの、海外勢の上値追いは慎重にみておくことも必要だ。その点、東証REIT指数は年初来で約1割下落しており、戻り余地がある。仮に掉尾の一振がみられるなら、今年はREIT市場の可能性が高いかもしれない。