(写真=映画『神と一緒に』ポスター)

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『神と一緒に』という漫画をご存知だろうか。

隔週漫画雑誌『ヤングガンガン』で2011年から2014年まで連載された青年漫画であるが、12月に同名タイトルの実写映画が韓国で公開される。

『チェイサー』のハ・ジョンウ、『猟奇的な彼女』のチャ・テヒョン、『宮』のチュ・ジフンなどが主演するこの冬の期待作だ。日本が原作の小説やドラマの韓国映画化は多いが、日本でも連載された漫画が韓国で実写映画化されるのは感慨深い。

人気コンテンツ“ウェブトゥーン”が新たなステージか

もっとも、この『神と一緒』。実は、原作は韓国で高いアクセス数を記録した同タイトルの「ウェブトゥーン」(ウェブ漫画)だ。

『ヤングガンガン』で連載されたものはストーリーラインはそのままに、作画を日本オリジナルに変えたリメイク作品なのだ。

昨今、韓国の人気ドラマが日本でリメイクされたり、日本の人気ドラマが韓国で映画化されたりと日韓両国で“リメイク交流”が進むが、“漫画”でもその交流がたしかにあるのだ。
(参考記事:韓国でリメイクされた日本のドラマを一挙紹介。最近はあのドラマまで!?

個人的に興味深く感じるのは、“漫画リメイク交流”のステージがウェブトゥーンになっていることだ。

ウェブトゥーンは、一般的な漫画とは違ってページ割りがなく、縦スクロール形式とフルカラーが基本。まさに“スマホ”に適した新しいタイプの漫画で、韓国では多くの読者層を抱えている。

その数、実に約791万人(2015年)。サービスを提供しているプラットフォームはポータルサイトのNAVERやDaumをはじめ、カカオトークやLINE、モバイル通信会社、スポーツ新聞社など、40に及び、最近はウェブトゥーン専門サイトも続々と登場。少年、少女、青年、BL、アダルトなど、様々なジャンルが読めるようになった。

膨らむ市場。日韓同時翻訳アプリも登場

しかも、その市場規模は右肩上がりに急成長。2016年の市場規模は5800億ウォン(約580億円)で、2020年には1兆ウォンに達すると予測されている。

作家たちのなかには、億単位の金を稼いだものもいる。

昨年3月に日本で公開されたイ・ビョンホン主演の映画『インサイダーズ/内部者たち』や、日本では『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』(フジテレビ系)の名でドラマ化された『ミセン(未生)』の原作者であるユン・テホ氏などは、単行本印税だけで20億ウォン(約2億円)以上を稼いだが、作品の映像化による著作権収入などを合わせると、その額はさらに膨れ上がることだろう。

新人作家でも漫画作家よりも収入は高いらしく、韓国には“ウェブトゥーン長者”なる造語も生まれつつあるほどだ。

しかも、最近は韓国で発表されたウェブトゥーンが、ユーザーたちの手によって世界進出できるようなチャンスも広がりつつあるらしい。

読者がウェブトゥーンを見ながらLINEのようなチャット感覚でセリフの翻訳を行えるアプリが登場しているのだ。

スマホさえあれば、誰でもウェブトゥーンの翻訳家になれて、なおかつ収入まで得られる仕組みになっているというのだから、驚かずにはいられない。

今や韓国を飛び出し、世界にその読者やファンたちを増やしつつあるウェブトゥーン。冒頭で紹介した『神と一緒に』の日韓リメイク交流と実写映像化は、ドラマでも映画でも音楽でもない新しいカタチの日韓文化コンテンツ交流の可能性を示唆しているともいえるだろう。

韓国発のウェブトゥーンが日本で翻訳され、日韓両国の漫画ファンたちがリアルタイムで同じ作品を楽しむという日も、近いかもしれない。

(文=慎 武宏)