EAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会には、日本、韓国、中国に加え、男女とも予選を勝ち上がってきた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が参加する。

2015年8月に同大会で対戦したときは、3分に武藤雄樹のゴールで先制したものの、78分、88分と終盤立て続けにゴールを奪われ負けてしまった。その前の対戦は2011年11月のワールドカップ予選。このときも0-1と苦杯をなめている。

また、日本が出場を逃した2015年のU-20ワールドカップとU-17ワールドカップではベスト16に進出、2017年U-17ワールドカップにも出場し、若年層の底上げも進んでいる。2014年、2018年のワールドカッぴ進出こそ逃しているが、相変わらず不気味な存在である事は間違いない。

そこで、朝鮮民主主義人民共和国サッカー協会外交担当副書記長として、東アジア地域の各協会との外交を担当している李康弘(リ・ガンホン)氏に、現状やささやかれる噂、またこの大会で何を望んでいるかを聞いた。



――U-20代表やU-17代表が年代別ワールドカップに出場するなど躍進しており、2016年5月には元ノルウェー代表のヨルン・アンデルセン監督を招集するなど、サッカーへの力の入れ方がよくわかりますし、ずいぶん変わってきた感じがします。

指導者を始め国としてのバックアップもありますし、国民のサッカーへの関心がものすごく高いので、たくさんの目がサッカーに向いて、力も入れてくれています。やはり2010年のワールドカップがターニングポイントでしたね。それ以降の7年間、成果にも出てますけど環境作りができてきたと思います。

2014年のワールドカップに出場できなかったことで、さらに力を入れなければいけないということにもなりました。そこで子どもたちにエリート教育をして、実際にアンダーカテゴリーの子どもたちは力を付けたと思います。

外国人監督を招集するのがいいのかという論議はありました。ですが、現在うまくいっている選手の育成だけではなく、コーチや監督の育成、スポーツ選手すべてに対してのメイキングを自分たちだけでできているかどうかを考えると、まだまだ海外に学ぶべきことが多いのではないかという考えに至っています。

――最近の成績を考えると、昔のような中東への苦手意識もなくなっているようですし、選手のタイプも変わっています。

確かに中東アレルギーも昔ほどではないですよ。苦手意識はなくなってきました。実は我々が強かった1980年代でも、なかなかイランには勝ってなかったんです。中東は暑く、イランやイラクの選手たちはヨーロッパ人と同じような体格だということでやりにくく感じていました。中近東イコール苦手みたいな、ジンクスになっていたと思います。

ですが今は、選手たちが若いときからアジアの舞台、世界の舞台に出て戦ってきたことで変わってきたと思います。世界の舞台で勝負をして、その中で「ここは負けたけど、ここでは勝てた」という経験を積んできました。20歳までの世界舞台での経験は4、5倍になったと思いますし、その中で育ったのは確かです。

それから海外でプレーしている選手が、定期的にリーグ戦に出ているというのも大きいですね。スイスのチャ・ジョンヒョクや、イタリアのハン・グァンソンがそうです。みんなが海外でプレーしている選手を見て、自分も出来るんじゃないかと思い始めました。「アイツは確かに上手いけど、アイツにできるんだからオレももうちょっと頑張ったらできるんじゃないか」と感じているようです。錯覚かもしれませんけど、それが力になる部分もありますから。

昔は「質より量」と、とにかく選手を走らせていました。そして走力とパワーはついてきたので、今度は考える選手を作らなければいけないと変わってきました。それに、力だけじゃ勝てないし、走るだけでも勝てないと変わりました。