RAYS(レイズ)の「超々ジュラルミン鍛造」という、高度な加工技術を用いたレーシングカー向けホイールを、アルミ素材に変更して市販化したモデルの登場だ。何がすごいのかと言えば、手頃な価格で「軽量」に出来るところだ。

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 ホイールを軽くしたいのは当然で、「バネ下重量」が減ることでサスペンションセッティングに余裕が生まれ、さらにサスペンション部品の軽量化に結び付くことになる。車のチューニングとしては、一番に手を付けなければならない部分だ。

■ゼロ戦のために開発?超々ジュラルミンとは何か?

 超々ジュラルミンは、現在、飛行機など中心として軽量化を求められる部品の材料として多く用いられる金属だ。歩兵戦闘車の装甲材料にまで、このアルミ合金は使われている。自動車の軽量化部品では、主に力の加わらないボンネットなどの材料として使われることがある。中には、サスペンション部品がアルミ合金の鋳造で造られている物もある。

 超々ジュラルミン、その始まりは昭和11年日本での開発だった。当時は飛行機の革命期に当たり、木製などの枠組みに布を張った複葉機(翼が二枚以上ある機体)から全金属製単葉機に進化していく過程で開発されたものである。

 昭和13年に、かの有名な「ゼロ戦の試作機」が完成した。超々ジュラルミンはゼロ戦のために開発したと言っても良いタイミングだった。ゼロ戦をここまで有名にしてきた「金属」と言っても良いだろう。アルミニウムに亜鉛・銅・マグネシウムなどを混ぜ合わせて出来た合金だ。純アルミよりも硬く、引っ張り強さがあり、全体を軽量に作り上げることが出来たのである。

■宮崎駿監督「風立ちぬ」の堀越二郎が編み出した肉抜き

 ゼロ戦の設計者である堀越二郎は、宮崎駿監督の「風立ちぬ」で若い人たちにも一躍有名になった。彼は当時の海軍からの性能要求に対して、どのようにして達成したらよいのかと思案の末、徹底的な軽量化を進めた。その技術的手法が、現在、このRAYS(レイズ)の超々ジュラルミンのレーシングホイールに生かされ、そのアルミ材を使った今回発売のホイールにも生かされている。技術とはそういうもので、不思議なものだ。

 堀越二郎は強度のある超々ジュラルミンを採用するとともに、一つの軽量化の手法を編み出した。それが「肉抜き」と呼ばれる加工である。部品の形状を作り上げたら、さらに中を肉抜きするのだが、堀越二郎はわざと弱くなるほど肉抜きしておいて、荷重試験で壊れ方を見ながら補強していったと言う。つまり、計算では出ない部分は実際にテストをして、壊れたところの肉抜きなどを止め、あるいは補強し、最低限の強度を求めていったのでだった。