開発したLPWAセンサーデバイスとクラウド経由での利用シーン・データの流れ(写真:富士通研究所の発表資料より)

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 富士通研究所は4日、低消費電力で広い領域を対象にできる無線通信技術であるLPWA(Low Power Wide Area)に対応した電池交換不要の世界最小センサーデバイスを開発し、7キロメートルの長距離無線通信に成功したと発表した。

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 IoTシステムを太陽電池で賄う。それは電源が未整備な場所へのIoT機器の設置や定期的な電池交換の手間を省くといった経済的な価値を生む。そこには、極低消費電力の技術が必須であるが、細やかな電源制御を駆使するため、日本の得意分野ともいわれている。

 IoTシステムの普及が進み、2020年には数百億個もの膨大なIoT機器がネットワークを経由してクラウドに繋がると予測される。IoTシステムの一形態に、現場に設置した多数のセンサーデバイスからの情報をクラウドで集めて分析する方法がある。

 低消費電力で広い領域を対象にデータをクラウドに直接送信できる無線通信技術がLPWAだ。この構成のセンサーデバイスはLPWAに準拠するとともに、利便性やコストの面から、電池交換の手間のかからない太陽電池などを利用することが理想だ。

 無線通信距離が50メートル程度であれば、BLE(Bluetooth Low Energy)を用いた近距離無線でのデータ送信が可能だ。確実に無線回路を起動し、電池交換が不要なBLE対応のセンサーデバイスは実現済である。

 ここで、長距離無線のLPWAは、少量のデータをゆっくり送信して長距離での通信品質を確保するため、BLEに比べて送信に要する時間が長く、一回の送信にBLEの約1,500倍の大きな電力が必要になり、従来の電源制御技術を用いたセンサーデバイスではLPWAに対応できないという課題があった。

●試作したセンサーデバイスの特長

 電池交換不要でLPWAの通信を実現する世界最小のセンサーデバイスである。大きさは、82×24×6ミリメートルと世界最小という。

 10分に1回、7日間の温湿度データを照度4,000ルクスの環境下で、約7キロメートル先の基地局にダイレクトに送信できることを確認したという。

 この太陽光発電のみで賄うセンサーデバイスの開発は2つの特長がある。先ず、太陽光での発電電力の温度依存性を利用する。温度センサーによって取得した温度データを元に、データ送信電力が十分にあるLPWA無線の電波送信のタイミングをリアルタイムに制御するという。

 次に、温度センサーを確実に起動させるために、起動電圧と動作下限電圧を比較する電源監視技術を搭載したという。

●LPWA(富士通研究所、長距離無線用センサーデバイス)のテクノロジー

 試作したセンサーデバイスをLPWAの一規格であるSIGFOXに適用し、約7キロメートル先の基地局にダイレクトに送信できることを実証。

 加えて、SIGFOXクラウドに接続できるIoTプラットフォーム(SIGFOX Ready Program for IoT PaaS)認定を取得した富士通のIoTデータ活用基盤サービス「FUJITSU Cloud Service K5 IoT Platform」を経由して、データを可視化することを確認したという。