E-1選手権(9日開幕)に臨む日本代表。国内組と言うより、終了したばかりのJリーグで活躍した選手を集めたJリーグ選抜と表現した方が適当だ。海外組に比べ、実績で見劣りするものの勢いはある。逆に海外組に勢いのある選手を見つけ出すことは難しい。その多くが、出場機会を得ることに汲々としているのが現状だ。両者をいかにバランスよく配置するか。ハリルホジッチに問われているのはその点だ。

 勢いを感じさせる「Jリーグ選抜」の中で、フル代表に推薦したくなる選手は実際、数多くいる。J1で得点王に輝いた小林悠は、さしずめその代表格になるが、彼を含むそのほとんどは、従来からJリーグでは知られた存在として通っていた。今季、急速に伸びた選手。成長度が著しかった選手。目を向けたくなるのは例外だ。

 Jリーグ最終節。ジュビロ磐田に0−0で引き分け、川崎フロンターレに逆転で優勝をさらわれた鹿島アントラーズだが、「Jリーグ選抜」には、最多の6人が選出された。西大伍が怪我で辞退したため最終的には昌子源、植田直通、山本脩人、金崎夢生、三竿健斗の5人になったが、この中には、シーズンの半ばまで、スタメンではなかった選手も含まれている。

 三竿が守備的MFとしてスタメンを不動のものにしたのは、石井正忠(現大宮監督)から監督が大岩剛に代わったことと、元日本代表、永木亮太が怪我で離脱したことに起因する。東京ヴェルディから移籍した昨季、その出場はわずか4試合だった。石井監督時代もCBとして何試合か出場を飾っていたが、欠かせぬ戦力というわけではなかった。

 当時、不動のスタメン選手どころか「Jリーグ選抜」に抜擢された半年後の姿を、想像した人はいなかったはずだ。まさに2階級特進。日本のサッカー界の中で、三竿は最も勢いのある選手だと言い表せる。

 0−0で引き分け、優勝を逃すことになった磐田戦でも、三竿の動きは光った。前半のある時、右から左に長めの横パスを送るシーンがあったが、そのキックの質に、この選手の特徴が集約されていた。

 用いたキックは、インサイドでもなくインフロントでもなくインステップ。ボールは緑のピッチの上を、奇麗な回転で滑るように転がっていった。海外の一流選手からは拝めても、日本選手からは拝みにくい品格溢れるプレーだ。この選手のサッカーに対するこだわりと、レベルの高さを見た瞬間だった。

 なによりパス能力が高い。奇麗でありシュア。奇麗は言い換えれば丁寧だ。受け手にとってありがたいパス。周囲が信頼を寄せたくなるパスを送る。一方で、ボール奪取能力も高い。身長(181cm)に恵まれていることもあるが、サイズ感を武器にしていない所がいい。勤勉で真面目。かつ忠実で読みがいい。慌てることもない。実際は、そうでなくても、そうしたドタバタ感を見る側に与えないところがいい。

 沈着冷静。頭がよさそうに見える選手。技術も高ければ、視野も広い。バルサで言うところの4番のポジションを任せたくなる選手なのだ。鹿島の布陣は4−4−2。三竿はレオ・シルバとともに守備的MFを務めるが、4−3−3のワンボランチ(アンカー=バルサ式4番)でも、十分に行けそうな能力がある。ブスケツとか、シャビ・アロンソとか、グアルディオラに通じる高級な匂いがする。

 キャプテンシーも高そうだ。連想するのは長谷部誠。とりわけ冷静でクレバーなところが似ているが、ボール操作術、パス能力、ボール奪取能力では、その上を行く。日本代表は、その長谷部がいま苦境に立たされている。年齢的な問題に加え、慢性的な故障を抱えている。

 代役候補はいない。スタメンを飾ることが多い山口蛍は、隣に頼れる誰か(長谷部とかセレッソ大阪で言えばソウザ)の脇で、ソツのないプレーをするタイプだ。中心的な役割を演じることが得意そうではない。身体能力を武器に売り出し中の井手口陽介も、その他の要素はまだまだ不十分。チームのヘソとなる第2の長谷部を見つけることができずにいる。

 大島僚太、柴崎岳。低めの中盤に割って入ってきそうな選手は、この2人になるが、ディフェンス能力に若干問題を抱えている。バルサ式の4番と言うタイプではない。

 三竿にはチャンスがある。2階級特進よりさらに上をゆく可能性を秘めている。E-1選手権。その他にも注目すべき選手は多々いるが、まず探し求めるべきは長谷部の代役だ。長谷部より1歳年上の今野泰幸を、ハリルホジッチは今回、再度招集。ロシアW杯本番を35歳で迎える大ベテランが、どれほどできるか、探りを入れようとしていることでも、日本の問題点は見て取れる。だが、それでは次に繋がらない。結果欲しさにハリルホジッチが、手っ取り早い方法を選びたがる気持ちは理解できるが、代表チームは絶えず循環していなければならない生き物だ。

 現在21歳の三竿健斗が、東アジアでどれほどやるか。彼の活躍と日本の今後は、密接な関係にある。大きな見どころのひとつである。