2013年ロッテのドラフト1位・石川歩【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

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2008年は育成も合わせて14人を指名

 最近10年を振り返ると、ロッテは年によって新人獲得の方針が変わるようだ。そのためか、ドラフトの当たり外れも年によって大きく変動する印象が強い。この10年でクライマックスシリーズには4度出場、2010年には日本シリーズ優勝を果たしたが、今季は大きく低迷、球団史上ワーストとなるシーズン87敗を喫した。大砲不在のチームは、ドラフト1位で高校通算65本塁打の履正社・安田尚憲内野手を指名。井口資仁新監督の下、どんな選手に育つか楽しみだ。

※は2017年オフ時点での現役選手。

○2008年
1位・木村雄太 投 東京ガス・1勝6敗0S1H 防御率5.24
2位・長野久義 外 Honda(入団拒否)
3位・上野大樹 投 東洋大学・11勝10敗0S2H 防御率3.64
4位・坪井俊樹 投 筑波大学(1軍出場なし)
5位・山本徹矢 投 神戸国際大学附属高・0勝0敗0S0H 防御率5.63
6位・香月良仁 投 熊本ゴールデンラークス・4勝3敗1S3H 防御率4.58※独立L
育1位・木本幸広 投 日高高中津分校(1軍出場なし)
育2位・鈴江彬 投 信濃グランセローズ(1軍出場なし)
育3位・角晃多 内 東海大学付属相模高(1軍出場なし)
育4位・生山裕人 内 香川オリーブガイナーズ(1軍出場なし)
育5位・西野勇士 投 新湊高・16勝18敗86S18H 防御率3.14※
育6位・岡田幸文 外 全足利クラブ・855試570安0本119点137盗 打率.255※
育7位・吉田真史 内 太田工業高(1軍出場なし)
育8位・田中崇博 投 八日市南高(1軍出場なし)

 ロッテは2006年から育成選手を積極的に獲得してきた。この年は最大8人もの育成選手を獲得したが、その中から西野勇士、岡田幸文と1軍で活躍する選手が出た。2位で指名した長野は指名を蹴って、のちに巨人に入団。育成3位の晃多は名救援投手角盈男の子息だが、活躍できなかった。

○2009年
1位・荻野貴司 外 トヨタ自動車・528試464安19本133点153盗 打率.267※
2位・大谷智久 投 トヨタ自動車・16勝27敗0S79H 防御率3.54※
3位・大嶺翔太 内 八重山商工高・186試69安7本35点1盗 打率.206※
4位・清田育宏 外 NTT東日本・636試522安39本226点33盗 打率.262※
育1位・山室公志郎 投 青山学院大学・0勝0敗0S0H 防御率.000

 2009年は当たり年だった。俊足外野手の荻野、中継ぎで活躍する大谷、中軸を打つ清田と主力選手が3人。大嶺翔も2017年はキャリアハイの91試合に出場した。

2011年指名の4選手は舞台は違えど全員現役

○2010年
1位・伊志嶺翔大 外 東海大学・430試223安6本57点58盗 打率.240※
2位・南昌輝 投 立正大学・9勝5敗0S30H 防御率3.45※
3位・小林敦 投 七十七銀行・1勝5敗0S0H 防御率5.80
4位・小池翔大 捕 青山学院大学・1試0安0本0点0盗 打率.000
5位・江村直也 捕 大阪桐蔭高・157試35安0本12点0盗 打率.171※
6位・藤谷周平 投 南カリフォルニア大学(1軍出場なし)
育1位・黒沢翔太 投 城西国際大学・0勝1敗0S0H 防御率4.44
育2位・山口祥吾 投 立花学園高(1軍出場なし)
育3位・石田淳也 投 NOMOベースボールクラブ(1軍出場なし)

 3選手が現役を続けているが、レギュラーになった選手はまだ出ていない。伊志嶺は好守の外野手だが、打撃が課題だ。

○2011年
1位・藤岡貴裕 投 東洋大学・21勝30敗0S16H 防御率4.04※
2位・中後悠平 投 近畿大学・2勝2敗0S6H 防御率5.68※米マイナー
3位・鈴木大地 内 東洋大学・778試720安31本267点19盗 打率.272※
4位・益田直也 投 関西国際大学・17勝19敗58S111H 防御率3.11※

 この年から育成選手を指名しなくなる。3位の鈴木は今やチームリーダー、4位の益田はクローザーに成長した。中後は左のサイドスローという変則投手。今季は米マイナーでMLB昇格を目指した。

○2012年
1位・松永昂大 投 大阪ガス・12勝7敗1S81H 防御率2.96※
2位・川満寛弥 投 九州共立大学(1軍出場なし)
3位・田村龍弘 捕 光星学院高・436試246安7本117点13盗 打率.219※
4位・加藤翔平 外 上武大学・320試223安9本60点20盗 打率.251※

 松永は中継ぎ投手として手堅い活躍。田村はポジション争いに勝って正捕手になった。加藤は今季外野で98試合に出場している。

○2013年
1位・石川歩 投 東京ガス・39勝36敗0S0H 防御率3.31※
2位・吉田裕太 捕 立正大学・200試68安6本22点1盗 打率.190※
3位・三木亮 内 上武大学・218試67安3本23点1盗 打率.218※
4位・吉原正平 投 日本生命・1勝1敗0S0H 防御率9.64
5位・井上晴哉 内 日本生命・111試71安4本34点0盗 打率.223※
6位・二木康太 投 鹿児島情報高・14勝18敗0S0H 防御率4.22※
育1位・肘井竜蔵 捕 北条高・30試7安0本2点0盗 打率.159※

 エースの石川歩、2番手捕手の吉田、好守の三木、2年連続7勝の二木と戦力が育っている。井上は長打が魅力の主軸候補だ。

○2014年
1位・中村奨吾 内 早稲田大学・304試195安20本78点19盗 打率.236※
2位・田中英祐 投 京都大学・0勝1敗0S0H 防御率13.50
3位・岩下大輝 投 星稜高(1軍出場なし)※
4位・寺嶋寛大 捕 創価大学(1軍出場なし)※今季戦力外
5位・香月一也 内 大阪桐蔭高・21試9安0本2点0盗 打率.191※
6位・宮崎敦次 投 広島国際学院大学・0勝0敗0S0H 防御率6.30※
7位・脇本直人 外 高崎健康福祉大学高崎高(1軍出場なし)※今季戦力外

 来季、中村には正二塁手への期待がかかる。2位の田中は京大卒初のプロ選手として期待が掛かったが、故障もあって今年戦力外となり、現役を引退した。

野手よりも投手に即戦力が多い近年

○2015年
1位・平沢大河 内 仙台育英学園高・73試28安1本6点1盗 打率.169※
2位・関谷亮太 投 JR東日本・7勝10敗0S1H 防御率4.94※
3位・成田翔 投 秋田商業高・0勝2敗0S1H 防御率4.38※
4位・東條大樹 投 JR東日本・0勝0敗0S2H 防御率8.16※
5位・原嵩 投 専修大学松戸高(1軍出場なし)※
6位・信樂晃史 投 宮崎梅田学園(1軍出場なし)※今季戦力外
7位・高野圭佑 投 JR西日本・1勝0敗0S2H 防御率8.31※
育1位・大木貴将 内 香川オリーブガイナーズ・9試2安0本0点1盗 打率.154※
育2位・柿沼友哉 捕 日本大学国際関係学部・8試0安0本1点0盗 打率.000※

 甲子園で活躍した平沢は今季50試合に出場したが、課題は打撃だ。6位の信樂は自動車教習所からプロ入りして話題となったが、早くも戦力外になった。

○2016年
1位・佐々木千隼 投 桜美林大学・4勝7敗0S0H 防御率4.22※
2位・酒居知史 投 大阪ガス・5勝1敗0S1H 防御率3.13※
3位・島孝明 投 東海大学付属市原望洋高(1軍出場なし)※
4位・土肥星也 投 大阪ガス・0勝1敗0S2H 防御率9.31※
5位・有吉優樹 投 九州三菱自動車・2勝5敗1S16H 防御率2.87※
6位・種市篤暉 投 八戸工業大学第一高(1軍出場なし)※
7位・宗接唯人 捕 亜細亜大学(1軍出場なし)※
育1位・安江嘉純 投 石川ミリオンスターズ(1軍出場なし)※
育2位・菅原祥太 外 日本ウェルネススポーツ大学(1軍出場なし)※今季戦力外

 桜美林大のエースだった佐々木は後半戦に実力を発揮。2位の酒居は中継ぎでスタートしたが、8月から先発に転向して5勝を挙げた。5位の有吉も救援で実績を上げる。

○2017年
1位・安田尚憲 内 履正社高
2位・藤岡裕大 内 トヨタ自動車
3位・山本大貴 投 三菱自動車岡崎
4位・菅野剛士 外 日立製作所
5位・渡邉啓太 投 NTT東日本
6位・永野将司 投 Honda
育1位・和田康士朗 外 富山GRNサンダーバーズ
育2位・森遼大朗 投 都城商業高

 少し前までロッテはベテラン野手が多かった。井口が引退し、監督就任した後は福浦だけになったが、彼らの後を埋めるべき若手野手が育っていないために野手陣が弱体化している。特に2014、2015年に入団した選手の伸び悩みが目立つ。大砲として期待される2017年の1位安田、2位藤岡は、今後どこまで活躍するだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)