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 消化器向け内視鏡でいま圧倒的な存在感を示すオリンパス(世界シェア約7割)の祖業は、(国産初の)顕微鏡。前身「高千穂製作所」の創業者である山下長(たけし)氏はドイツ製の顕微鏡が主流だった時代、「外国製の模倣だけではいけない」と一念発起し日本製顕微鏡の開発と格闘した。結果、国産顕微鏡「旭号」が誕生したのは1世紀近く前の1920年。

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 そんなオリンパスが内視鏡の世界に歩を踏み入れたのは、戦後間もなくのことだった。当時の東京大学附属病院・小石川分院外科の宇治達郎医師からの問いかけというか、「日本人に多い胃がんをなんとか有効に治療するための手立てはないものか、手だてが欲しい」という要請だった。オリンパスは「顕微鏡で培った微細なレンズ加工や組み立て技術を礎に」と、胃カメラの開発と取り組んだのである。そして50年に、「内視鏡のオリンパス」が冠となった入り口ともいえる、世界初の「実用的胃カメラ」を世界に向けて送り出した。

 だがこの段階では写真は撮れても直接に胃の中を覗くことはできなかった。同社は真の内視鏡の開発に向け研究を積み重ねた。64年のファイバースコープ付ガストロカメラの誕生で、リアルタイムに内部を観察することができるようになった。85年にはビデオスコープの誕生で、モニターを介し医療従業者が体内の映像を共有することで診断精度が向上した。2006年には同社独自の観察方法(NBI)を搭載した内視鏡ビデオスコープシステムが開発された。といった具合である。

 内視鏡が治療・手術に果たす役割は、いまや誰もが認めるところ。

 内視鏡の開発は臓器内用にとどまらない。開腹手術に代わる外科手術用3D内視鏡などにも及んでいる。オリンパスでは来年「経鼻内視鏡」「大腸内視鏡」「拡大内視鏡」の新たな発売を予定している。

 業界事情に詳しいアナリストは「オリンパス製を軸に、いまや内視鏡及び内視鏡手術が対応できない臓器は心臓以外にない」とする。