東京都は4日、ロンドンの金融機能の中枢を占めるシティーと、金融分野のイベントや金融教育プログラム、グリーンファイナンスなどの連携を主な内容とする合意書(MOU)を英国大使館大使公邸(東京都千代田区)で締結した。都が金融分野でMOUを締結するのは初。今後、都はアジアナンバーワンを目指す「国際金融都市・東京」構想の実現を加速する構え。小池百合子都知事は「ウイン―ウインの関係にしたい」と述べた。
日刊工業新聞2017年12月5日

小池百合子語る
 経済キャスターだった1980年代後半の東京市場の活況を思い出す。ロンドンやニューヨークと並ぶ世界の金融都市として人を、企業を惹き付けていた。あの熱気は一体どこへ消えたのか。東京がアジアナンバーワンの国際金融市場の地位から脱落して久しいが、再び国際金融・経済都市として世界の中で輝きを放つと確信する。

 日本は金融業の存在感が低く、対国内総生産(GDP)比率は5%程度にすぎない。これを英国並みの10%に倍増させれば30兆円のGDP押し上げ効果が見込まれる。

 私が可能性を見いだすのは産業としての金融である。金融とITを融合したフィンテックや資産運用など成長分野の集積を目指し、海外企業や高度専門人材を呼び込む「国際金融都市構想」を進めている。

 世界の中でどう戦っていくか、これからは知恵の競い合いになる。ロンドンのシティーは英国の欧州連合(EU)離脱で先行きに暗雲が垂れ込めている。

 アジアの金融ハブである香港は、自由な台湾に人材が流出する動きがある。シティーでも香港でもない、シンガポールとも異なる東京の魅力や優位性を発信し海外から東京への流れを確実なものにしたい。

 構想実現には、規制緩和や税制改革、煩雑なビジネス手続きの簡素化が不可欠だ。外国人の起業手続きや生活面を支援するワンストップサービスでは、都が先兵となって切り込でいく。

 一方、税制に関しては国との連携が欠かせない。法人実効税率の引き下げを働きかける方針だが、都としても政策減税などを通じて実質的な恩恵を受けられるようにしたい。高収入の外国人材が東京を舞台に活躍できるよう相続税の見直しも必要になろう。

 これら施策は国内外の金融業界のトップと意見交換を重ね、具体化を進めている。各氏にはこれまでなかった大胆なアイデアを打ち出してもらうようお願いしている。

 自国優先主義の勢いが増す世界にあって、メガシティーの中には明快な理念と発信力により、存在感を際立たせる動きがある。パリ協定から離脱した米トランプ政権に反対し、カリフォルニアなど一部の州が独自の温暖化対策で足並みをそろえるのは象徴的といえよう。東京が世界の中で独自の存在感を発揮することは、日本の成長エンジンとなる。
日刊工業新聞2017年8月30日