知的戦闘力を高めるためには、何を学べばいいのか?ユニークな立ち位置をつかむには、どのように学ぶのが効果的か?MBAを取らずに独学で外資系コンサルタントになった山口周氏が、知識を手足のように使いこなすための最強の独学システムを1冊に体系化した『知的戦闘力を高める 独学の技法』から、内容の一部を特別公開する。

プロデュースとは掛け算

 知的戦闘力を高めるためには、何を学べばいいのでしょうか? テーマは自分の興味や仕事に従って自ずと決まってくるわけで、こちらについてはあまり悩む必要はありません。一方で、どんなジャンルを学んでいくかについては、迷う部分もあるかもしれません。

 ここで共有しておきたいのは、まずは「自分をプロデュースするつもりで、ジャンルを選ぶ」ということです。自分をプロデュースするということはつまり、他の人にはない組み合わせを選ぶ、ということです。

 たとえば、評論家として際立ったキャラクターの形成に成功している人を見渡すと、それぞれの人がユニークな組み合わせを実現していることに気づくでしょう。

 たとえば博覧強記で知られる元外務省の佐藤優氏の場合、広範囲の教養を前提にしながら、特にキリスト教神学を中心とした宗教の知識と、外務省時代に鍛えられた外交・諜報関連の知識のクロスオーバーが、ユニークな立ち位置、他の誰にも真似のできない「知的戦闘力」の形成に寄与していると思います。

 このクロスオーバー、つまり「掛け算を作る」というのが自己プロデュースのポイントということになります。時代を画するようなクリエイティブな業績を上げた個人や組織を振り返ってみると、その「立ち位置」は、他の誰も立つことができない、ユニークな要素の「掛け算」であることに気づくはずです。

・アメリカ発祥のロック×イギリス風のモッズコスチューム=ビートルズ
・デザイン×テクノロジー=アップル
・安価な男性服の素材×超高級オートクチュール=シャネル
・クラシックの作曲技術×ポップス=坂本龍一

 ここで非常に重要になってくるのが、交差点に立つ場合、掛け合わせるそれぞれの要素は、別にトップクラスでなくても構わないということです。たとえばアップルを取り上げれば、デザインという側面はともかくとして、テクノロジーという側面で世界トップクラスの企業であると考える人はほとんどいないでしょう。

 これは創業者であるスティーブ・ジョブズがいみじくも指摘しているように、アップルという会社は「リベラルアーツとテクノロジーの交差点に立っている会社」だということで、この掛け合わせこそが彼らのユニークなキャラクターの礎になっているんですね。

 ちなみに私自身の「掛け算」はなにかというと「人文科学と経営科学の交差点で仕事をする」ということになります。私のバックグラウンドは哲学・歴史・美術・音楽といった人文科学領域であり、この領域の勉強についてはまったく苦にならない……というよりも好きで好きでしょうがない。

 一方で、私が仕事として取り組んでいるのは組織開発・人材育成の領域であり、これを主に取り扱っている学問ジャンルは、経営学や教育学ということになります。そして、両者の交差点で仕事をすることを戦略としている私にとっては、両方のインプットが必要になるということです。

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