今の相場ははたしてバブルか否か、この先の暴落はありえるのか(写真:node / PIXTA)

先週11月28日は世界の金融市場にとって、記録的な1日だった。ビットコイン市場では、初めてドルベースで1ビットコイン=1万ドルの大台を突破し、ニューヨーク株式市場ではダウ平均株価が史上最高値を更新した。

とりわけニューヨーク市場は、北朝鮮による米国本土にも届くミサイルの発射実験のニュースが流れた中での大幅上昇だった。減税法案が上院の委員会で可決された、という報道を好感しての上昇だが、ニューヨークやワシントンもミサイルの射程内と言われながら、株価が史上最高値というのもその勢いを感じる。実際、その後ニューヨークダウは2万4000ドルの大台を突破している。

歴史的なブル相場を続けている

現在の金融マーケットは歴史的なブル(上昇)相場を続けている。「バブル」ではないのか、という指摘も多い。とりわけ、米国株は株価が上昇しているのに、インフレ率が上昇していないために、金利上昇のスピードが緩く、リーマンショック直前の「ゴールディロックス((ぬるま湯のような心地よさ)マーケット)の再来か」とも言われる。

米大統領選でトランプが勝利した翌日から始まった「トランプラリー」は、上昇し始めて早や1年。そろそろ調整局面がくるのではないか……。そんな感想を持っている人も多いはずだ。

日本株に投資していた投資家も、さすがにバブル崩壊後の最高値を19年ぶりに付けたあたりから、調整局面はそう遠くないのではないか……、と思っている人もいるはずだ。日銀をはじめとする「クジラ」と呼ばれる公共資金が、ETF(上場投資信託)などを通じて莫大な資金を投じている現状を考えると、このまま上昇し続けるとも思えない。頭の片隅には「いずれ調整する」という意識があるはずだ。

たとえば、日本株に下がる要素がなくても、日本株を売買している最大の投資家は外国人投資家であり、彼らの基盤とする本国の市場で何かがあれば、当然日本株からも資金を引き揚げる。それが彼らの投資スタイルだ。日本だけが大丈夫、というわけにはいかない。

実際に、ここ2〜3週間で、世界の金融市場にはやや不穏な動きが出ている。いくつか紹介しよう。

●米国ハイイールド債市場……ジャンク(投資不適格)債などの高利回り(ハイイールド)債券に投資する「iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF」が、この10月24日をピークに下落に転じている。11月15日までに2%を超える下落を記録。株式では大した変動幅ではないが、債券ファンドでは大きな下落となる。11月中旬の米国株軟調の原因とも言われた。

その後、価格は戻りつつあるが、ちょっと遅れて投資家心理を示す「恐怖指数」とも呼ばれる「VIX指数(先物やオプション市場が下落すると上昇する指数)」が上昇するなど、債券市場に何か異変が起きている可能性もある。

指標となる上海総合指数が大きく下落

●中国債券市場……11月20日から始まる第4週は、中国の上海株式市場で異変が起きていた。指標となる上海総合指数が大きく下落。その原因と思われたのが、中国10年債利回りの急騰(価格は急落)だった。中国債券の心理的節目と言われてきた4%を一時突破したことで、株も売られた。

米国のハイイールド債券のリスク顕在化とも関連しているとされるが、シャドーバンクを使った理財商品(高利回りの運用商品)を銀行のバランスシートに組み込んで、透明性を高めようとする中国政府の改革の一環と言って良い。これまで、強制的に債券利回りは抑えられてきたわけだが、ここにきて債券利回りの正常化の動きが強まっている、と考えていいだろう。

●米国株市場……米国株が割高なのかどうかは賛否両論があるが、最近になってゴールドマンサックスも指摘したように、いわゆるハイテク株と呼ばれる銘柄の割高感がある。フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル(アルファベット)といった「FAANG(ファング)」と呼ばれる銘柄の時価総額は、2兆6000億ドルにも達する。ゴールドマンサックスの指摘によって、これらのハイテク株が売られて、ハイテク銘柄中心の株価指数「ナスダック」が大きく下落した。

米国の時価総額は、世界全体の時価総額の合計の半分を超えている。言い換えれば、米国は株式市場に入ってくるマネーによって、豊かさを保っている「株式市場依存型経済」とも言える。米国の株式市場が、わずかに動いただけでも日本や新興国は大きな影響を受ける。

また、株式に投資するタイプETFの存在が大きすぎることもやや懸念材料となっている。ETFのベースとなる「インデックス・ファンド」は、あくまでも指数に連動するファンドだ。市場は、今やアルゴリズムを駆使した、コンピュータのプログラム売買が主流になっている。超高速取引がもたらす「フラッシュ・クラッシュ(瞬間暴落)」といった不測の事態に対して、株価指数がどんな動きになるのか想定できない。

●商品市場……米ドルの動きと相反する性質がある金市場や原油市場も、米ドルの割安感から、相対的に高くなっている。原油価格は、OPECによる協調減産が機能しているためだが、減産の出口の時期を巡って紛糾すれば、原油価格の暴落もありそうだ。商品市況が弱くなると、株式や債券にも影響が出てくる。

●仮想通貨……ついに1万ドルの大台を突破したビットコインは投機に走っているものの、下落の度合いやその期間によって、現物の株や債券にも影響が出てくる可能性がある。

現在の金融マーケットがバブルなのか、あるいはバブルではないのかは見方が分かれる。とはいえ、仮にバブルになっていたとしても暴落するとは限らないし、バブルでないと判断したものが、ある日突然暴落するケースもよくある。

そもそも現在の世界経済は各国の中央銀行がばらまいた「緩和マネー」が浮遊しているため、暴落と同時に滞留しているマネーが動いて軽微な調整で終わる可能性もある。市場は回復して再び力強いマーケットが戻ってくるシナリオがあるということだ。

とはいえ、投資とはリスクを管理できる投資家だけが生き残れるもの。最悪の事態を常に描いて投資行動を考えるのは基本だ。

大切なのは利益確定後のターゲット?

そこで、注目したいのが「利益確定後の投資先」だ。ある程度の利益が出たら、いったん利益を確定しておくのが投資の基本だが、せっかく儲かった資金を別の投資先に投資して失敗してしまうケースもよくある話である。

実際、金融市場の先を読むのは至難の業だし、それができればみんな億万長者になれる。昔からある投資のイロハ、原則に照らし合わせて、いくつかのターゲットを考えてみよう。簡単に分類すると次のような投資法、もしくはリスク回避法がある。

_射遒靴砲いセクター、銘柄を選択する

たとえば、ハイテク株のようにその時の新製品や技術革新の内容によって爆騰する場合がある。市場全体が上昇するときには、そうした銘柄に飛び乗るのもいいが、市場全体が不安定になってきたときには、安定感のある銘柄やセクターが望まれる。たとえば――、

・株主優待が充実している銘柄……機関投資家が投資する機会の少ない銘柄群で、言い換えれば個人投資家が多い。下落しにくいというよりも、個人投資家の初動が遅いという見方もあるが、利益確定後の投資対象としては堅実だ。

・高配当銘柄……高い配当を安定的に出している銘柄も同様に下落しにくい。最終的に、相場の乱高下中も保持し続けることができるため、人気が高く大きく売られない。

・ディフェンシブ銘柄……食品やエネルギー、葬祭関連銘柄など、いわゆる防御銘柄と呼ばれるセクターに投資する方法。日本のバブル崩壊時もディフェンシブ銘柄がよく買われた。

・半導体関連銘柄……産業のコメと言われた半導体は現在でも、必要不可欠な素材の1つだ。大きく下落するようなことがあれば投資しておきたい。

・フィンテック、AI(人工知能)、EV関連銘柄……第4次産業革命とも言われるなかで、フィンテック関連、AI、EV関連銘柄には時代のトレンドがある。割高になっているぶん、一時的には大きく売り込まれるかもしれないが、将来的には期待値が高い。

余剰資金が起こしたバブル崩壊と考えていい

∨粛遏急落をひたすら待つ

たとえば、現在の高騰相場が崩壊するきっかけになるものは何か、と考えたとき、世界的な緩和政策によって余剰資金が起こしたバブル崩壊と考えていいだろう。現実に、株式市場や社債などの債券市場、商品市場、ビットコインなどの仮想通貨、そして不動産市場には、現在も世界中の緩和マネーが流入し続けている。

言い方を変えれば、株価が大きく下落しそうになったとき、あるいは債券の金利が上昇してきたとき、さらに銀行や企業の経営破綻が起きても、圧倒的な余剰資金(緩和マネー)がそれらのマーケットに向かうため、結果的に救われる可能性が高い。簡単に言えば、意外と早く「下げ止まる」可能性が高いのかもしれない。

従って、いわゆる“裏付けのある大相場”を展開してきたマーケットが、急落や暴落した時には、市場が反転した時を狙うのが良いのかもしれない。たとえば、バブルと言われる次のような過熱マーケットも、意外と底堅いのかもしれない。

・米国ハイテク関連株……11月下旬、いったん下落したもののあっという間に回復したように、企業業績の裏付けがある銘柄は、株価が戻る可能性が高い。前出の「FAANG」なども大きく下落すれば投資のチャンスと言える。

・ビットコイン(仮想通貨)……17世紀のオランダで起きたチューリップ恐慌に例えられるほどに投機的になったビットコイン相場だが、ビットコインはフィンテックの進展などと大きな関わりがあり、実は近年の技術革新の産物ともいえる。その将来性に投資されている一面もあるということだ。底値を確認できればその将来性に投資する方法もある。

先の先を見た投資先を探す

たとえば、この11月16日、大手格付け会社の1つである「ムーディーズ」が、インドのソブリン格付けを「Baa3」から「Baa2」に引き上げた。インド経済といえば、高額紙幣廃止など革新的な経済改革を次々に実践するモディ政権によって、近年GDP成長率を押し上げてきた。

しかし、直近では経済成長率がやや減退するのではないかと予想されている。

にもかかわらず、ムーディーズがインドの債券格付けをグレードアップさせたということは、インド債券の信用度が増すとみているわけだ。

その背景には、現在インド政府が取り組んでいる「物品サービス税(GST)」の導入がある。インドは、各州の力が大きく、州によって税率が異なるなど、インド経済の生産性向上の障害とされてきた。GSTの導入によって、流通面などにもプラスとなり、2〜3年後には生産性を向上させるのではないか。長期的スタンスで見れば、米国や中国に投資するよりも、インドの期待値が高いのかもしれない……。

あるいは、先月行われたトランプ米大統領のアジア歴訪で、トランプ大統領はアジア歴訪の最後を締めくくる「東アジアサミット」を欠席した。これは、東アジア地域のドンは中国であることを大統領自身が認めたことを意味する、と見る専門家も少なくない。北朝鮮問題は別にしても、アメリカ第一主義を唱えるトランプ政権が続く限り、東アジアをめぐる経済の力関係は大きく変化するかもしれない。

米国と中国、どちらに投資するのかと言われれば、中国と考えるのが「先の先を読む」投資法とも言える。

市場の歪みをターゲットにした投資法

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伝説のカリスマ投資家「ジョージ・ソロス」が信奉した投資哲学は「再帰性理論」と呼ばれる考え方だ。市場が大きく動くとき、市場には歪みが生ずる。市場の歪みはいずれ再帰する、という考え方で、市場の歪みをターゲットにした投資法だ。

ソロス氏が、自ら設立したヘッジファンド「クォンタム・ファンド」を使って、英国ポンドに「売り」を仕掛けて中央銀行である「イングランド銀行」に勝ったケースはあまりにも有名だ。

当時、欧州は「ERM」という目標為替相場制を採用しており、欧州通貨に連動していた英国ポンドは割高になっていた。ソロス氏は、その「歪み」に着目して世界中のヘッジファンドなどにポンド売りを呼び掛けた。最終的にイングランド銀行は、1日に2度の公定歩合引き上げで対応せざるを得なくなった。

トランプラリーにも、当然のことながら市場の歪みが生じている。トランプ大統領の「大型減税」と「米国第一主義」のスローガンだけで、実力以上に米国株は上昇し、ドルも買われてきた。相乗効果で、新興市場も含めて世界的に株高になっており、ドルと連動する通貨は必要以上に上昇している。

たとえば、ドルの値動きと自国の通貨の動きを連動させている通貨としては、人民元、香港ドルがある。米ドルと併用しているコスタリカ、エルサルバドルもある。市場の歪みはいずれ修正される。

日本の株価や国債価格も、ひょっとしたら市場の「歪み」なのかもしれない。

付和雷同型の投資は破滅を招くかも

今回、日本株が大きく高騰した背景には、外国人投資家の動きが大きく関係している。外国人投資家が先物を売りながら、現物買いを続けて、10月の16連騰などを演出した。しかし、最近の売買動向を見ると、外国人が売って個人投資家が買って、参入してくるパターンになっている。

1980年代後半のバブル崩壊でもそうだったが、日本の株式市場の場合、外国人投資家が株価を押し上げ、その後付和雷同する形で個人投資家が参入。最終的に、高値をつかんだ個人投資家がはしごを外されて大損する形が多かった。

今回のパターンもそれに近づいてきている。株が上がったところを追いかけて投資していく「順張り」は、投資の王道とは言え、これで勝てる個人投資家は少ない。ライバルは、外国人投資であり、彼らは投資のプロである機関投資家だ。しかも、その大半がコンピュータによるプログラム売買を使っており、超短期間に売買を繰り返すアルゴリズム売買だ。

要するに、みんなが投資しているから自分も、といった付和雷同型の投資では勝てないということだ。そのためには、情報のアンテナを大きく広げて、情報収集することが大切。日本のメディアだけではなく、海外の投資情報メディアなどにも目を通したほうがいいだろう。

さらに、投資は乱高下するマーケットが対象であり「分散投資」が原則。長期投資に徹することで時間を分散し、株や債券、商品、為替、仮想通貨など投資対象を分散することでリスクを軽減できる。