「日本株はまだ上昇する。3つの常識にとらわれる投資家は儲けられない」と筆者は言う(写真 : Graphs / PIXTA)

米国株は典型的な高値波乱に入った

日本株は11月9日の取引時間中の高値2万3382円を取った後の利益確定売りを、順調にこなしている。

それに引き替え、米国株は典型的な高値波乱だ。11月末のNYダウは331ドル高の2万4272ドルと3日連続の史上最高値で2万4000ドル台に乗せた。上げ幅は今年最大で、月足連続上昇記録は22年ぶりのタイ記録だ。ところが翌12月初日には、ロシア疑惑の再浮上で一時350ドル安を付けるなど、激しい攻防戦を展開している。

1日伸びて波乱理由の1つになっていた米上院本会議での税制改革法案が可決された。すでに下院では可決されているので、これから両院協議会で両院案を一本化する作業が始まる。

協議は長期化する可能性はあるが、30年ぶりの大幅な税制改革が達成されることは間違いない。両院とも法人税率20%で一致したので、ドナルド・トランプ大統領の公約である15%には届かないが、ほぼ大統領の勝利と言える。

問題は導入時期と、個人税率の税区分等だが、NY株は、これらの進展具合と、ロシア疑惑問題が交錯して、高値波乱が続きそうだ。2018年にはFRB(米連邦準備制度理事会)議長が交代するが、歴史を振り返ると、1987年のブラックマンデーはアラン・グリーンスパン議長就任直後に起こり、2008年のリーマンショックのもととなるサブプライム金融モデルも、ベン・バーナンキ議長就任後の肩慣らし期間の裏で急速に進んだ。

米国には目が離せないが、それだけに安定した先行き(北朝鮮リスクを除く)が見えている日本の魅力が増す。外国人投資家(現物)が11月第3週、第4週合計で約6000億円の売り越しに転じたように見えるが、これは「新値一呼吸」に起きる当然の現象と思っている。まだ日本株を買っていないファンドが多数ある。

1997年の政策失敗により、日本経済は真性デフレに陥った。この中で戦ってきた投資家の間で次第に出来上がった「3つの投資常識」がある。

1番は何と言っても「株は持ち続けるものではない。上がれば売るもの」という常識だ。個人投資家の売買動向を見ると、2009年から2017年(11月第4週まで)の間、2013年の11兆7282億円の売り越しを筆頭に、9年連続の売り越しで、その売り越し総額は41兆9464億円(岡三証券調べ)にもなる。

2番目は、「PER(株価収益率)は13倍〜16倍」という常識。20年間でも初めの頃は20倍前後もあったが、次第にこのPERゾーンになった。

3番目は、海外投資家の日本株への評価だ。「ROE(自己資本利益率)の低い非効率な日本企業」というレッテルをはり、日本的経営を全否定した。グローバルファンドの日本株組み入れは、MSCIベンチマークの8%を完全無視し3〜4%が常識になった。組み入れゼロのファンドまで多数出現したくらいだ。バランスシート改善がデフレ時代の日本企業の生き残りの手段だったが、今はまともな攻めの経営ができるようになり、「増収増益経済」が出現している。日本的経営の見直し機運も出始めた。

「今ある常識」を頼っていては、道を間違う

日経平均株価は、この真性デフレ突入前の1996年の高値を抜け、次の展開を待っている。この時に、「今ある常識」に頼っていては道を間違うと思っている。これからの投資家は新しい常識を作っていかなければならない。まずは、「株は売るもの」ではなく「買うもの」になるのか注目したい。「NISA(少額投資非課税制度)口座が思わぬ収益を上げている」というマスコミ報道が待たれる。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用状況も、マイナスの時は鬼の首を取ったように大々的に報じるが、大きな収益を上げている時には「1行ニュース」にしかしないマスコミの報道はいかがなものか。

さて、当面の相場だが、日本株の大きな流れの変化に期待するが、前述のように、日々のトレードでは米国株を見ながらということになるのはやむを得ない。今週は米雇用統計の週(現地時間8日発表)だ。関連指標も発表される。そして税制改革法案の上下両院の調整、政権中枢にいた前大統領補佐官マイケル・フリン氏のロシア疑惑証言等入り乱れての1週間となる。

もし相場が大きく崩れるような場合は、12〜13日のFOMC(米連邦公開市場委員会)ですかさず動きがあると思われる。また「明確な理由」がある時には、意外に株価は下がらないものだ。

一方、日本は早くも「メジャーSQ」だが、それを越えての年末高で、「日経平均株価2万4000円台での2017年フィニッシュ」というのが筆者のシナリオだが、さてどうなるか。仮に年末に達成できなくても、2万4000円は2018年上昇相場の通過点に過ぎないと思っている。今週の日経平均予想レンジは2万2400〜2万3100円としたい。