長い時間の労働や心理的なストレスなどにさらされ続けると疲労が蓄積され脳がうまく働かなくなり、不眠や無気力感、摂食障害、などになってしまい、日常生活に支障をきたすことになりかねません。さらに恐いのはそれが高じるとうつ病や認知症にも発展しかねません。すべての疲労は脳の疲れからくるという説もあるくらいです。睡眠を工夫して脳の疲労を取り除き健康を保つことを考えてみましょう。

恒常性維持機構と睡眠

体には血圧や体温、体液のpH、血中酸素のレベルなどを恒常的に保つことによって生命を維持する恒常性維持機構が備わっており、病気になった時にもその機能のお陰で自己治癒力が発揮されて病が自然に癒されるのです。睡眠はこの恒常性維持機構が誘発する大切な仕組みです。つまり、ストレス状態が続くと脳は指令を出す処理量が多くなり脳の疲労が起こります。この脳の疲労が「疲れた」というサインとして睡眠へと誘い休息を要求するわけです。

成長ホルモンと睡眠

睡眠中には成長ホルモンが多く分泌されることが知られています。成長ホルモンは体の組織の再生、新陳代謝の促進、脂肪の燃焼、細胞の成長などのはたらきと共に脳の疲労回復にはなくてはならいものです。新陳代謝が低下すると疲れをおぼえ、集中力が落ちたり脱力感や無気力感が増大するのも脳が休息のシグナルを出しているということになります。

メラトニンと睡眠

メラトニンは睡眠ホルモンと呼ばれたりもするもので、不足すると睡眠の質を阻害します。睡眠にはレム睡眠という浅い眠りとノンレム睡眠という深い眠りがあって、脳を休息させるという意味からするとノンレム睡眠という深い眠りが効率のよい睡眠ということになります。つまりメラトニンが正常に分泌されることによって質の良い深い睡眠が得られるのです。

睡眠のための工夫

・光に反応してメラトニンの分泌は止まり、暗くなる時間帯から分泌量が増えることが知られています。メラトニンの分泌を保つには就寝の1時間前くらいには強い光を避け、部屋は少し暗いくらいに保つことを心がけましょう。間接照明を利用したり、テーブルのスタンドライトだけにするような工夫でもいいでしょう。

・体温は睡眠と関係していることも知られています。夜には体温が低下して、そのために脳内の温度も低下します。深い睡眠時では体温が大きく低下しています。この自然な体温の調整機能を阻害しないために就寝直前の激しい運動と就寝直前の熱すぎるお風呂は避けた方がいいでしょう。ただ、軽いストレッチ程度なら筋肉の緊張をほぐすので睡眠にはいいと考えられます。

・目覚まし時計などを使わず、自然に目覚める習慣も大切です。これはノンレム睡眠中に突然、外界の刺激で目覚めてしまうと、目覚めのホルモンのコルチゾールが急激に分泌され脳への負荷が大きくなり、目覚め感がすっきりしないものになっていまうからです。

・有酸素運動も質のいい睡眠をとるのにいいと言われています。30分程度のジョギングや散歩、体操などで適度な負荷をかける習慣も持ちたいものです。

・就寝の3時間前までには食事を済ませてしまいましょう。これは消化のために胃腸が動いたままになるのを防止すためで、眠りについてからのレム睡眠とノンレム睡眠の90分周期に影響を与えてしまうことを妨ぐことになるからです。


writer:Masami