AIをカメラに活かした「HUAWEI Mate 10 Pro」の登場で、日本企業が学ぶべきこととは?

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ファーウェイ・ジャパンは12月1日、SIMフリースマートフォン「HUAWEI Mate 10 Pro」を発売した。
このMate 10 Proはビジネスパーソン向けのフラグシップモデル。
大画面やスタイリッシュさを押し出した大人向けのスマートフォンである。
それもあって、“格安スマホ”とは一線を画し、価格も89,800円(税別)と高値だ。

ディスプレイは最近のトレンドとなりつつあるアスペクト比16:9よりも縦長な18:9のOMLED(有機EL)を搭載する。縦長になったことで画面サイズ約6.0インチながら横幅74.5mmと同社の約5.5インチディスプレイ「HUAWEI P10 Plus」の74.2mmとほぼ変わらないスリムサイズを実現している。

つまり、手で持つ感覚は5.5インチと同じだが、表示される情報量を6インチ画面に増やすことができるというわけだ。
ただ、実際にはP10 Plusの方が、画面解像度が高いため文字サイズの変更で表示する情報量のコントロール幅は広いといえる。

さて、このMate 10 Proの注目すべき点はファーウェイ独自の新しいチップセット「Kirin 970」が採用されていることだ。

新しいチップセット「Kirin 970」の中身は、
・A73 2.46GHzのクアッドコアとA53 1.8GHzのクアッドコアによるオクタコアCPU
・Mali-G72 12コアのGPU
・NPU(Neural Network Processing Unit)
となる
NPUは、機械学習によって様々な使い勝手の向上を担う「AI」プロセッサだ。

このNPUの使い道だが、シンプルでわかりやすい使い方は、画像認識だ。
ライカのクオリティを実現するダブルレンズカメラは、ハイクオリティな色再現を実現する。このカメラにファーウェイはAIの技術を導入したのだ。



AIによる画像認識とは、いわゆる完璧なオートモードの搭載を意味する。

これまでのデジタルカメラやスマートフォンには、風景や近接撮影など状況を判断して最適な撮影モードを選択するフルオート撮影モードが搭載されていた。
このフルオート撮影機能は、明るさやピント位置などからシーンを決定し、用意しているシーン撮影モードを選択して撮影行う。機種によっては料理に特化させ、料理の画像データベースを持つものもある。

Mate 10 Proは、カメラが捉えたシーンの画像から文字、フード、舞台、青空、雪、ビーチ、犬、猫、夜景、日の入り/日の出、植物、ポートレート、花といった13のシーンを認識する。




被写体を判別すると画面左下にそれぞれのアイコンが表示され、最適な色、コントラスト、明るさ、露出をオートで決定してくれるのだ。
例えば、
ペットであれば毛並みの再現はもちろんだが、動き回ることを想定してシャッター速度も可変する。
ポートレートは、ダブルレンズカメラによって被写体と背景の奥行きを認識し、背景をぼかしたポートレート撮影が行える。

デジタルカメラには、夕日や雪山での撮影モードを持つものもある。これらの機能は、被写体と背景の明るさの調整や、色温度や彩度を調整し夕日の赤が綺麗に見えるようにするなど、印象的な絵作りをするものである。
しかしながら、自動でシーンを認識できないだめ個別に設定する必要があるため、せっかくの多機能ではあるがものの軽さがない。さらにユーザーが多彩モードがあることを把握していないケースも多いのが問題でもあった。

Mate 10 Proは、綺麗な写真を撮影するために必要なカメラの知識や専門的な設定をする必要がなく、夕日は印象的に、花は色鮮やかに、料理は美味しそうに撮影できるというわけだ。

これは高額なハイエンドなコンパクトデジタルカメラや一眼カメラにも搭載されていない。そもそも、ここまで楽をして撮れるカメラが作れることなど考えてはいなかった。
ある意味そんな風に打ちのめされたような出来事でもある。

プロの写真家が撮れる綺麗な写真や印象的な写真は、撮影技術によって得られるものであり、それは技術を持ったユーザーにしか出来ない特権というのが写真の常識でもあった。
ところがファーウェイは、そうした壁をAIによって打ち崩していこうとしている。

このイノベーションは、今はまだ、Mate10Proのカメラ機能の進化にしか過ぎない。
しかし今後、多くのスマートフォンに採用され、普及、浸透していくだろう。
さらにデジタルカメラの分野にも採用されていくとどうなるのだろうか。

誰でもがプロの写真家のような綺麗で印象的な写真を撮れるようになる。

オートで撮った写真を批判する層もあるが、そんな小さなことよりも誰でもが納得できる綺麗な写真を撮れるのなら、それが一番の幸せなのではないだろうか。

老若男女、カメラの知識を問わず、最高の写真が撮れることは、写真文化にとっても大きな革新だ。

それを目指すことが、技術の進歩や製品の進化を生み出す。

日本企業は、まだグローバルのカメラ市場でシェアが取れているが、こういう新しい発想からの技術により一気にシェアを取られることもあり得るだろう。
停滞感のあるカメラ業界において、製品を高めるヒントがMate 10 Proにあるように思う。


執筆  mi2_303