ブロックチェーン、AIスピーカー…『TDME』で語られた、音楽×テクノロジーへの期待

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 11月30日から12月2日まで、渋谷ヒカリエなどで開催されたダンスミュージック国際カンファレンス&イベント『Tokyo Dance Music Event(TDME)』。昨年に続き日本では2度目の開催となる同イベントでは、日本独自のダンスミュージック文化を東京から世界へ発信すべく音楽業界に様々な形で関わる人々が集結し、カンファレンスやセッション、ライブが行われた。本稿では初日にあたる11月30日の一部模様をレポートする。

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 “和”を感じるモニュメントが並ぶ渋谷ヒカリエのホールAではカンファレンスが、ホールBではカンファレンスに加え、スピーカーを駆使したインスタレーションなども行われた。世界中から観客が集まった同イベント。8K、VR、AI、ブロックチェーンといった最新テクノロジーの活用を切り口に音楽の“未来”が識者の口から語られた。

 この日の見どころの一つだったのは「ブロックチェーン技術は音楽業界にどのような変革をもたらすのか?」をテーマにした、音楽ジャーナリスト・柴 那典氏、株式会社VALU 代表取締役・小川晃平氏、弁護士・増島雅和氏によるカンファレンスだ。そもそもブロックチェーンとは何なのか、個人を株式のように上場させるVALUにはどのような利点があるのか、という話題からブロックチェーンと音楽業界の今後の関わりに至るまで熱い議論が交わされた。増島氏によれば、それぞれが帳簿を持つことで改ざんが不可能になるという特徴のあるブロックチェーンを利用すれば、印税などをより正確に分配できるようになるという。つまりブロックチェーンがJASRACのような役割を果たす可能性があるということだ。

 このカンファレンスの中でも印象深かったのは、小川氏の「現在は価値のないところに、今後どれだけ価値がつくのかに注目している」という言葉。これまで個人に貨幣的な価値をつけることはなかったが、そこに価値をつけたのがVALUだった。小川氏は今後、ミュージシャンのバックグラウンドのストーリーなどにも価値がつくのではと予想していたが、楽曲以外にも貨幣価値が生まれることで業界全体もより活性化するかもしれない。

 そしてもう一つ、音楽とテクノロジーを語る上で欠かせないのがAIスピーカーの存在だ。フェアリーデバイセズ株式会社 代表取締役・藤野真人氏、CSMO LINE株式会社 取締役・舛田淳氏、榎本事務所・榎本幹朗氏によるカンファレンスでは「AIスピーカーによる消費体験の変化や、コンテンツ提供側の変化」をテーマにセッションが行われた。舛田氏は近年のAIスピーカーの盛り上がりについて、「先にスマホが普及したという事実が大切」と指摘。スマートフォンに搭載されたSiriなどの音声アシスタントの存在により、ユーザーも機械と話す心の準備ができたのだという。

 また今後のAIスピーカーに大切なものとして藤野氏、舛田氏から挙がった意見は“話しかけたくなるようなキャラクター”だった。欧米ではAIスピーカーは雑用をこなしてくれる“召使い”“家政婦”のように捉えられることが多いが、アジア、日本では家族の一員やパートナーとして見られる傾向があるためだ。実際Amazon EchoやGoogle Homeではピカチュウや初音ミクといったキャラクターの声が導入されるなど、キャラクター的な要素も強い。今後より国内に向けた施策が導入されることも十分に考えられる。

 今回2つのカンファレンスを聞いて、音楽業界の未来にはテクノロジーの進化以上にテクノロジーをどう使っていくかが重要なのではないかと感じた。同時に、国内ではまだ馴染みの薄いブロックチェーンやAIの技術を普及させていくために音楽とのコラボは欠かせないものであることも予感したイベントとなった。(村上夏菜)