ジャスティン・トーマス【写真:Getty Images】

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「名珍場面総集編」…8月全米プロゴルフ選手権でトーマスが奇跡のバーディーから逆転V

 2017年のスポーツ界を沸かせた名シーンを連日にわたって振り返る「名珍場面2017」。今回は男子ゴルフのメジャー最終戦、8月の全米プロゴルフ選手権最終日に起きた「奇跡の“12秒遅れのカップイン”」――。

 今季メジャー最後のタイトルを争う大会最終日、信じられないミラクルを演じたのは、ジャスティン・トーマス(米国)だ。10番でバーディーパットがカップの縁に止まるも、なんと12秒後にカップイン。奇跡のバーディーを演じ、米メディアに「これぞ究極の待機だ」「カップ際で粘るボールを忘れない」と動画付きで速報され、全米を騒然とさせた。

 歓喜は「12秒遅れ」でやってきた。10番パー5、約3メートルのバーディーチャンス。トーマスはラインを読み、慎重にパットを振るとフックしたボールはコロコロとカップ方向に転がり、入るかに見えた。しかし、手前からカップの左の縁を沿うようにして、ピタリと止まってしまった。ボールの右半分近くがカップを覗いている状態だ。

 止まりかけた瞬間、トーマスは「右側に落ちろ」と念を込めるように、右手を挙げたが、願いは叶わず。惜しすぎるパットに観客も「オーッ」というため息交じりの声が上がった。しかし、ドラマはまだ終わっていなかった。中継カメラがいかに惜しいパットかを伝えるように、どんどんズームにしていく。

 時間は5秒、10秒と立っていた。そして、次の瞬間、止まっていたはずのボールがコロンと落ちてカップイン。落胆が一転、歓喜が訪れた。観客は信じられないといった様子で通常のバーディー以上の大歓声を上げ、いったん背中を向けていたトーマスも驚いたようにキャディーとグータッチを交わしていた。

各メディアが騒然「待って、もう少し待って…!」「これぞ究極の待機だ」

「12秒遅れのバーディー」に各メディアは騒然となった。大会公式は「待ってみよう。きっと良いことが起きるから」、欧州公式ツアーは「待って、もう少し待って…!」、PGA of Americaは「待って…待って…カップインだ!」と公式ツイッターに動画付きで速報。米ゴルフ専門サイト「ゴルフ.com」は「これぞ究極の待機だ」と称賛していた。

 実際に映像を見たファンも「これまでゴルフの神様の存在を信じなかった者もいただろう」「こんなことは今までで一度も目撃したことがない! 一度もだ!」「これはなんと素晴らしい…ハイタッチだ!」「キャンドルに火を灯した!」とコメントが相次ぎ、騒然とした様子だった。

 プレー規則では「不当に遅れることなくホールに歩み寄る時間に加え、球が止まっているかどうかを確かめるために更に10秒間待つことができる」とされている。このミラクルから、メジャー初制覇がかかっていた首位の松山英樹(レクサス)を交わして優勝。サンデーバックナインで劇的な大逆転Vを達成した。

 実力のみならず、運も味方につけてメジャー初制覇を成し遂げたトーマス。その後は9月のフェデックス・カップで年間王者に輝き、24歳ながら一躍、超一流の仲間入りを果たした。躍進を遂げた2017年のなかでも、あの「12秒遅れのバーディー」は忘れられない瞬間となっているだろう。