なでしこを“王者に育てた”E-1選手権…焦点はフランス行きを懸けたチーム内の戦い

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 EAFF E-1サッカー選手権(女子)が12月8日に開幕する。2010年大会(当時の名称は東アジア選手権)以来の優勝を目指すなでしこジャパンは8日に韓国と、11日に中国と、15日に北朝鮮と、いずれも18時55分からフクダ電子アリーナで対戦。高倉麻子監督の就任後初めて、地域連盟主催による公式国際大会を迎えることとなった。(アルガルベカップや4ネーションズカップなどは親善大会と位置付けられる)

 高倉監督は会見で、この大会に挑む意気込みを次のように語った。

「(公式大会という)本当のカップが懸かった試合で、チームが全力で戦いながら何を出せるのかというのを、この大会で見れるんじゃないかと思っています。攻守ともうまくできても勝てなかったりとか、うまくできなくても勝てる試合に持っていけたりというのがサッカーだと思うんですけれど、勝つチームになるには経験が必要だと思っているので、この大会を本当に大事に戦って、選手一人一人の経験、糧になってくれたらと思います」

 過去を振り返れば、この大会(東アジア選手権〜東アジアカップ)はなでしこジャパンの飛躍のきっかけとなった。いわば、なでしこを王者に育てた大会だ。

 中国で開催された2008年大会は、佐々木則夫監督の就任直後の公式戦。初戦で北朝鮮に逆転勝ちを収めると3連勝し、日本女子代表チーム結成以来27年目にして初めて国際タイトルをつかんで、半年後の北京五輪ベスト4に道をつけた。

 また日本で開催された2010年大会は、フル代表デビューとなった岩渕真奈がいきなり得点王(2得点で4人が同時受賞)、澤穂希が2大会連続MVPとなる活躍を見せ、全勝で大会2連覇を達成した。そしてなでしこはその翌年、ワールドカップで世界の頂上まで駆け上がった。

 2010年の地元優勝については、高倉監督も会見で言及した。

「その時もたくさんの方々に応援していただいて優勝を勝ち取ることができたと思う。(このEAFF E-1サッカー選手権も)たくさんの方々に来ていただいて選手の背中を押していただけると、選手も奮起してやってくれるんじゃないかなと思います」

 なお今年のEAFF E-1サッカー選手権を、来年4月にヨルダンで開かれる女子アジアカップ(女子ワールドカップ・フランス2019の予選を兼ねる大会)の前哨戦と位置付ける向きもあるが、実を言うと日本がワールドカップへ行くための条件は男子と比べてかなり緩い。女子アジアカップ出場8カ国中、実に5カ国に切符が与えられるためだ。

 リオ五輪に出場したオーストラリア(原稿執筆時点のFIFAランク6位/以下は数字のみ記載)と中国(13)に加え、日本(8)と韓国(15)までの4チームはワールドカップ出場が確実視され、残り1枠をタイ(29)、ベトナム(31)、ヨルダン(50)、フィリピン(70)で争うと予想する。さすがにこの顔ぶれで日本が6位以下ということはありえないだろうから、フランス行きは「開票率0%で当選確実が打たれるレベル」だと言っていい。(ちなみに北朝鮮はアジアカップ予選で敗退)

 このような背景から、EAFF E-1サッカー選手権の勝敗が「ワールドカップ予選を左右する」とは言い難い。むしろEAFF E-1サッカー選手権出場4カ国は予選に向けて互いに手の内を隠す必要がないため、各チームは取り組むべき課題と明確に向き合いながら、志向するスタイルを打ち出していくオープンな大会になると予想できる。

 なでしこジャパンの戦い方のテーマは「プレーの精度と強度」だ。守備は個々の寄せのスピード、奪いきるポイントをチームで統一することを目指し、攻撃では多様性ある選手の組み合わせを試す機会となる。

 そして「フランス行きを懸けた戦い」は、チーム内にこそ存在するのではないだろうか。なでしこジャパンのレギュラー争いという観点では、EAFF E-1サッカー選手権で激しい火花が散ることになるだろう。