安倍政権の「クールジャパン」戦略について、中国メディアは「空振りに終わるのでは」と論評。「自己陶酔」「過度な期待」「利益誘導の政治道具化」などの理由を列挙し、「中国にとっても他山の石」としている。写真は成田空港に設置されたガチャ。

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2017年12月2日、安倍政権が成長戦略の一つに掲げる「クールジャパン」を中国メディアが取り上げ、「空振りに終わるのではないか」と論評している。その理由としては「自己陶酔」「過度な期待」「利益誘導の政治道具化」などを列挙。「得失分析は中国にとっても他山の石」と指摘している。

クールジャパンについて、中国網は「『日本ブーム』を世界で形成し、商品販売などのマーケティングネットワークを通じてサービスを提供し、海外のファンを育て、日本に来て消費してもらおうという狙いだった」と説明。「相当な経済収益を獲得すると同時に、日本の文化や製品に対する海外の人びとの興味を自然と一種の親日文化へと変え、日本の国際的なイメージとソフトパワーを高めようというものだ」と述べている。

ここ数年の効果に関しては「2017年の訪日外国人観光客数は延べ2800万人に達する見通しだ」と評価。「2003年に同戦略の実施が始まった頃、訪日外国人観光客はわずか500万人で、2013年になってやっと1000万人を突破したばかりだった。訪日外国人観光客の1人当たり消費20万円で計算すると、クールジャパン戦略の経済効果と波及効果は驚くべきものと言える」としている。

一方で中国網は「最近、クールジャパン戦略が空振りに終わるのではないかとのニュースが注目を集めている」とも報道。日本メディアの記事を引用して「文化の輸出を支援する日本の官民ファンド『クールジャパン機構』は現在、苦境に陥っている。同機構が発足から4年で投資した24件のプロジェクトのうち半分以上が計画していた収益目標に到達せず、損失リスクに直面する事業が続出している」と伝えている。

要因としてはまず「自己陶酔」を挙げた。「伝統に基づく『日本ならでは』をとにかく強調し、その付加価値をつり上げ、不当な高値をもたらし、自己陶酔の極へと走るという状況である」と断言。「マレーシアの日系デパートには、伝統工芸を用いたもので『真の日本』を代表するとされる衣類や食器、食品などの商品が並ぶが、価格があまりにも高く、よそよそしい印象で客がほとんど入らず、深刻な損失に陥っている」と例示している。

「過剰な期待」にも言及。「日本の産業と文化は確かに独特だが、現在の世界はより多元的なものとなり、需要も多様化している。日本が最も誇りにしている漫画・アニメ産業を例に取れば、かつて幅広い歓迎を受けていたこの大衆文化はすでに、マイノリティーの文化へと変質している」とみている。

さらに「政府関連予算はすでに関係者に分け前を分配する利益誘導の政治の道具と化している」とも解説。「クールジャパン戦略の得失を分析するのは、他山の石とするためである。中国にとっても、自身の文化をいかに対外に伝えるかということは重要な問題となる」と結んでいる。(編集/日向)