空港の手荷物検査では、機内への持ち込みが制限されるものを、その場で放棄しなければ飛行機に乗れません。それらはどのようなものが多いのでしょうか。

おもちゃの手錠や手裏剣も持ち込みNG

 飛行機に乗る際、空港のチェックインカウンターで預けなかった荷物は、機内へ持ち込む手荷物として保安検査場でチェックを受けることになります。このとき機内持ち込みが制限されるものを持っていた場合、その場で放棄しなければならないこともあります。


空港を歩く親子連れのイメージ。たとえ子どものおもちゃでも、機内に持ち込めないものがある(画像:nicoelnino/123RF)。

 それらはどのようなものが多いのでしょうか。日本のある航空会社に聞きました。

――放棄される手荷物は、どのようなものが多いのでしょうか?

 多いものは、はさみ、カッターなどの刃物や、ライター(1個までは持ち込み可)などでしょう。国際線だと、100ミリリットル以上の液体が放棄されるケースも多いです。また冬はキャンプ用のガスボンベ、夏は花火なども増えます。ご家族で楽しもうとしてつい持ち込まれるのでしょう。

 珍しいものですと、ゴルフの練習用グリップ(パターのような練習器具)や、おもちゃの手錠、手裏剣などでしょうか。いずれも凶器にあたるため機内に持ち込めません。

――そもそも、それらはなぜ機内へ持ち込めないのでしょうか?

 爆発の恐れがあるもの、燃えやすいもの、人に危害を与えたり、ほかのものを損傷したりする恐れがあるものは、航空法により航空機輸送がそもそも禁止されています。また刃物類など「凶器」として使用される恐れがあるものは、機内へのお持ち込みができません。たとえおもちゃといえども、お客様を不安にさせてしまう恐れがあるものは制限されます。

インドならではのルールも? 世界で異なる基準

――放棄されたものはどうなるのでしょうか?

 お客様自身が放棄されたことを前提に、廃棄処分とします。

――放棄できない制限品は、どのようにすればよいのでしょうか?

 航空会社ではお預かりできないため、ご自身で自宅に郵送いただいたり、コインロッカー、空港の手荷物一時預かりサービスなどをご利用いただいたりすることになります。

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 なお、国内線と国際線では、手荷物についての扱いが異なります。それはたとえば液体物などに見られるもので、前出の航空会社によると、国内線ではアルコールが入っていないペットボトルであれば制限なく機内に持ち込めるそうです。しかし国際線の場合は「容器ひとつにつき100ミリリットル以下に収まるようにし、小分けしたものを1リットル以下のジッパー付き透明ビニール袋に入れる形で、ひとり1袋までであれば機内持ち込みが可能」という細かな規定があるといいます。

 また、国によってもルールが異なるといい、ANA(全日空)によると、たとえばインドには次のような決まりがあるそうです。

「インド政府機関(Bureau of Civil Aviation Security)のルールに基づき、インド発の航空機においてチリパウダーなどの香辛料(スパイス)は危険品と見なされ、機内への持ち込みが禁止されています」(ANA)

 おみやげにもよさそうな、その国ならではの物産でも、機内への持ち込みが制限されることがあるようです。なお、上述のようにインド発便ではスパイスの機内持ち込みは禁止されていますが、(事前にチェックインカウンターで)受託手荷物として預けることは可能だそうです。

【画像】飛行機への搭載が制限される「危険物」の例


燃えやすいものや危険な液体物は、機内へ持ち込むことも、チェックインカウンターへ預けることもできない(画像:国土交通省)。