本大会でもこの笑顔を見れるか。写真:サッカーダイジェスト

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 なんとも厳しい抽選結果になった。日本がロシア・ワールドカップのグループリーグ初戦で戦うのはコロンビア。ここまでワールドカップ本選で南米勢に4戦全敗中の日本(10年大会のパラグアイ戦のPK負けも含む)にとってはできれば避けたかった強敵だ。2戦目で当たるセネガル、3戦目で顔を合わせるポーランドも厄介な相手で、決勝トーナメントへの道は極めて険しい。
 
 ドイツ、ブラジルといったサッカー大国と同居しなかったのはグループリーグ突破を目指すうえで確かにラッキーだったかもしれないが、それでも日本はポット4の弱小国。どのグループに入っても困難が待ち受けているわけで、「組分けに恵まれた」などとは決して言えない。
 
 実際、単純な戦力比較では勝てるイメージが湧かない。同居した3か国には例えばレバンドフスキ―(ポーランド)、マネ(セネガル)、ハメス・ロドリゲス(コロンビア)というように、ワールドクラスのアタッカーがごろごろいる。今の日本に彼らを抑え込めるだけの守備力があるとは到底言えないし、3戦全敗も十分にありえるだろう。
 
 ポーランド、コロンビア、セネガルからすれば、日本は勝点3が計算できる相手となる。絶対に負けるわけにはいかないというプレッシャーがあるわけだが、もしかすると、ここに日本の勝機があるかもしれない。つまり、「3強1弱」のパワーバランスを日本が崩せれば決勝トーナメント進出への希望が膨らむというわけである。
 
 具体的にはコロンビアとの初戦で負けは絶対に許されない。ここでコロンビアに勝点3を与えれば、いわゆる順当な結果である。それでは意味がないのだ。初戦で勝点を奪い、コロンビアを焦らせ、他の2か国にも「日本やるじゃない」というイメージを植え付けることが大事なのだ。
 
 あとはポーランドの“サポート”も不可欠だろう。日本がポット1のポーランドと戦うのはグループリーグの最終戦である。そのポーランドにセネガル、コロンビアを叩いてもらい、余裕のスタンスで日本戦を迎えてもらうことができれば、彼らは決勝トーナメントに向けてメンバーを落としてくるはず。そうなれば、日本にとっては朗報である。
 
 グループリーグ突破への現実的なシナリオは、コロンビアに引き分け、セネガルにどうにか勝って、ポーランドから勝点1を奪うというものだろうか。戦力的に見るとセネガルに勝つというのも簡単なミッションではないが、初戦で勢いに乗れれば決して不可能ではない。
 
 思い出してほしい、2010年の日本代表を。大会前はチームとして機能せず、南アフリカの地で惨敗するだろうと思われていたサムライブルーが、初戦でカメルーンを破ると、見違えるほど逞しくなった。結局ベスト16でパラグアイに敗れたものの、グループリーグ第2戦で後に決勝まで進むオランダとやり合った戦いぶり(結果は0-1で日本の負け)は弱小国のそれではなかった。
 ポーランド、セネガル、コロンビアの各メディアの反応を見ると、日本は眼中にない印象だが、舐めてもらって大いに結構。そのほうがパワーバランスを崩した時(例えば日本がコロンビアと引き分ける)に彼らに与える動揺が大きいからだ。
 
 サッカーは戦力だけで勝敗が決まるスポーツではない。メンタル(心理)もかなり重要で、だからこそ格上3か国の動揺を誘えるかがカギになる。初戦でコロンビアに負けても、あと2戦あるじゃないかという考え方はナンセンス。黒星発進からの巻き返しは強国だからこそできる芸当(例えば2010年大会のスペイン)で、日本のようなアウトサイダーがそれを実践するのは難しい。
 
 事実、日本は過去に出場したワールドカップで黒星スタートから決勝トーナメントに辿り着いた実績がない。前回大会も初戦でコートジボワールに敗れ、「まだまだ」という論調がありながらも2戦目でギリシャに引き分け、「まだ勝てば突破のチャンスがある」3戦目でコロンビアに惨敗を喫している。そこで突きつけられたのは、日本が弱いという現実だった。
 
 いわゆる地力がないのだから、まともにやり合っては活路など開けない。2010年大会のような割り切った戦い方(守備重視のカウンター戦術)は不可欠で、その意味で、ハリルホジッチ監督の采配も今後の見どころになる。
 
 いずれにしても、すべては初戦で決まる。ここで「3強1弱」のパワーバランスを崩せるか、日本が躍進できるかはそこにかかっている。
 
文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)