思いがけない申告漏れの指摘を受けるケースも(写真:時事通信フォト)

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 国税局の“相続税マルサ”による「臨宅(りんたく)」と呼ばれる実地調査の通告は、故人が亡くなって2年ほど経ち、遺産相続の手続きがとっくに終わってから行なわれることが多い。

 ひとたび臨宅調査が入れば、過去10〜20年間遡って故人と相続人の財産の移動がすべてチェックされる。

 その過程で、思いがけない申告漏れの指摘を受けるケースが後を絶たない。国税OBで東京都内の税務署の資産課税部門を歴任した税理士の武田秀和氏が語る。

「申告漏れの中で一番多い手口が『名義預金』です。たとえば、6000万円の財産があり、そのままでは亡くなった時に相続税がかかるので、生前から2000万円程度を奥さんや子供名義の預金にしておく。贈与事実とそれに伴う贈与税の申告がなければ、税務当局に“他人名義で運用していた被相続人の財産”と判断され、申告漏れで加算税が課せられます」

 評判の相続税対策にも、「違法行為」とみなされる落とし穴がある。「生前贈与」もそのひとつだ。

 Aさんは孫に財産を残そうと毎年、贈与税の非課税枠(年間最大110万円)を使って100万円ずつ、10年間で1000万円を孫の通帳に振り込んでいた。Aさんの死後、相続人の子供たちはこの1000万円を相続税の対象から除外して申告した。だが、Aさんが生前、その通帳、印鑑、カードを管理していたため、孫に贈与したつもりでも、税務当局から「名義預金」と判断され、相続税逃れの違法行為と見なされた。

「近年では名義預金の他に、純金や現金の形で、あるいは海外の銀行口座に財産を移す方法で相続税を“節税”しようとする人も多いが、国税は海外を含めた資産情報を集中的に収集して、相続が開始するまでKSKシステム(国税総合管理システム)で管理しているから隠すのは難しい」(前出・武田氏)

※週刊ポスト2017年12月8日号