神楽坂に初めて訪れた時の事を思い出してみて欲しい。おそらく多くの人が年上の方や上司に連れられて来たのではないだろうか?

そんな誰かに連れられてご馳走してもらったのは過去のこと。今では自分が後輩たちを連れて神楽坂を案内する番になっているはず!

そんな人にこそ知って欲しい神楽坂の名店をご紹介しよう。



1949年築の古民家を利用しているだけあり、内観はレトロな雰囲気。備え付けの小説を読むこともできる
イ舛腓辰1杯寄って行こうイ忘播な空間
『カド』

打ち合わせや会食のふとした帰り道に、ちょっと一息つきたいときがある。

この日常的なシーンに最適なのが、神楽坂の『カド』なのだ。

入り口の隣に用意された6畳ほどの立ち呑みスペースで、まずはビールを1杯かたむけよう。



熱燗と相性抜群のおでん。時期によっては提供していないので来店の際は問い合わせを

常時6〜7品が並ぶ黒板メニューから、いくつかつまむうちにお腹も心も満たされていく。

〆におでんと熱燗で一杯やれば、家路に着くまでの道のりもほっこり。「先輩いい店知ってますね!」ときっと憧れられるだろう。




同店のオーナーシェフ・仲田高広氏は、本格フレンチ『レスプリ ミタニ ア ゲタリ』や『マルディグラ』、そして赤坂の名酒場『まるしげ夢葉家』など数々の名店で腕を振るった腕利きシェフ
フレンチと和のバランスが最強な大人酒場
『神楽坂BOLT』

神楽坂のなかでもかなり落ち着いた雰囲気の漂う牛込神楽坂周辺。

このエリアで今一番行きたい店に名を挙がるのが、2017年7月にオープンした『神楽坂BOLT』である。

お品書きに目を通すとオムレツや温きんぴら、チャーハンという文字が並ぶ。料理のアプローチは本格フレンチでありながらも、和の要素と仲田氏自身が作りたい料理を織り交ぜた構成も素晴らしい。



(写真手前)「いくらのゲヴェルツマリネ、セルベルドカニュ、吉田パン」(1,800円)※提供は11月中旬頃までの予定(写真奥左)「ちりめん山椒のオムレツ」(900円)(写真奥右)「ラムシャンクブルゼ」(2,800円)

ビストロという枠組みでは、今までなかったジャンルにとらわれない場所を目指していくと語る仲田氏。

正統派フレンチという一本のしっかり通った筋を幹に、彼の経験と感性を活かしたくさんの枝を広げていく神楽坂の大樹となるだろう。

本当に旨い店を知っていて、ふとした時に立ち寄れる、そんな大人になりたいものだ。




担々麺。『うずまき』時代からの人気麺。まろやかなスープに辣油がアクセントを加える
神楽坂の路地裏にある隠れた名店
『エンジン』

地元民もほとんど通らない隠れ路地。その一角に、2015年2月にオープンした『エンジン』は、中華好きにおなじみの赤坂『うずまき』で長年シェフを務めた松下和昌さんの店だ。

黒板に並ぶメニューには、冬ならふぐや牡蠣、春には山菜など、和の食材が見て取れる。「中華料理にはない季節感を日本の食材を使って表現したい」という松下さん。

食材の香りや味を繊細に引き出す料理は、紹興酒はもちろんのこと、ワインや日本酒ともすんなりなじむ、大人のための中華だ。



酢豚。黒酢を使ったまろやかな酸味の酢豚。甘い冬のネギがたっぷり入っている



カウンターで、差しつ差されつがぴったりの雰囲気


「蕎麦屋で一杯やっていこうよ」そんな誘いができるようになったら大人の男



スタンディングコーナーは入り口付近に
腕利きシェフが提案する本場スペインの臨場感
『バルマコ』

神楽坂の名店『エル・カミーノ』で16年間シェフを務めた今村真氏が、次のステージに選んだのがバルだった。



芝エビのゴイス・アルギ風。新鮮なエビの旨みを凝縮したひと品

スペインの店を食べ歩いて学んだタパスメニューを、今村氏の出身地・高知県土佐清水などの旬の食材で表現。魚介類を好んで食す日本とスペインの共通点を再認識させられる。お供にはスペインワインを。




手前から、手羽先、えんがわ、ささみ、つくね(メニューは一例)。つくねは一度揚げるなど工夫を凝らす
濃厚醤油×炭火の香ばしさが食欲をそそる
『神楽坂 鳥伸』

扉を開けると、気持ちがいい白木のカウンターが目に飛び込む。

お客さんとの距離が近く、醤油を使った串が焼かれる時には炭火に炙られた醤油の香ばしい香りで店が満たされる。



たっぷり肉が付いた膝周りの軟骨。歯ごたえと旨みをいいとこ取りした部位だ。味の決め手は、毎日継ぎ足しされる秘伝の醤油。炭の香ばしさと脂の甘みが食欲をそそる

日々継ぎ足して使う醤油は、炭のスモーキーなフレーバーと脂の甘みがぎゅっと詰まった唯一無二のもの。

その醤油と相性がよいオススメ串はひざ軟骨。表面を炙り旨みを閉じ込めてから、醤油に浸けて再度焼き、香りを引き出している。

一人でしっぽり味わいたい、そんな深みを感じさせてくれる店である。




(写真手前)10月後半〜12月後半まで提供中の「いくらの醤油漬け」(880円)。(写真奥)茗荷とネギに甘めのポン酢を絡めた「きざみ茗荷」(680円)など、日本酒との相性抜群の品が揃う
蕎麦前の時間がとにかく楽しい名店
『蕎楽亭』

1998年に市ヶ谷で開業した『蕎楽亭』。12年前に神楽坂へと移転し、今では神楽坂で蕎麦といえば名が挙がる名店である。

この店の特徴は、蕎麦前の品々の充実にある。品書きに目を通すと、蕎麦と同じ、いや蕎麦を上回る約40種のおつまみ料理がずらりと書かれている。

「白子ポン酢」「牛スジの煮込み」や「穴子肝の佃煮」などの文字が躍り、酒飲み心をくすぐってくるではないか。



「牡蠣」(2,000円)。蕎麦を盛りつけた後、半分だけ出汁を残し、そこに生牡蠣を入れてひと煮立ちさせてから皿に盛って完成。牡蠣出汁を感じられる一杯だ。産地は日により異なるが、この日は北海道産の昆布森を使用※提供は〜2月頃までの予定

もちろん蕎麦も絶品である。つなぎを使わない十割蕎麦は、前日に石臼で挽いた会津産のそばの実を、当日会津独特の打ち方であるお湯で固化させて打ち上げていく。

出汁はかつお節、昆布、いりこ、干ししいたけの4種からとり、返しにはみりん、砂糖を入れて優しい味わいに。温かい蕎麦は、薄口醤油がベースになっているため、返しの甘さがより引き立ち、まろやかな口当たりになっている。


気軽に今夜一杯いこうよ!という時にはこんな店へ



深緑色のファサードが印象的
絶大な人気を誇る老舗のガレット専門店
『ル・ブルターニュ』神楽坂店

牛込神楽坂駅のほど近く、パリの路地裏を思わせる石畳の道に深緑色のファサードが印象的な『ル・ブルターニュ』はある。

東京や京都、本場のパリでも多数の店舗を展開する当店は、日本で「ガレット」や「シードル」を根付かせた草分け的存在に挙げられることも多い老舗のガレット専門店だ。

この店では、リンゴのお酒シードルやフランスワインなどにお食事ガレットを合わせて飲むことができる。



ボルディエ製バターとブラウンシュガー、バニラアイスのデザートガレット

ここでいただけるのは、しっかりとした蕎麦粉の風味が漂う正統派ガレット。ガレット生地の持つパリッとした食感と、中に詰まった芳醇な具材のバランスが絶妙なハーモニーを生む。

最高品質のバターとして知られるボルディエバターを使うなど、素材に対する強いこだわりが随所に見え、メニューを見ているだけでも楽しくなる。

人気のシードルや洋梨酒、ワインなど、アルコール類の品揃えも豊富にて、気の合う仲間とわいわいと楽しむのに最適な一店といえるだろう。




店内に流れる穏やかなジャズとカウンターを照らす照明がムードを引き立てる
大人の欲望を満たすシックな社交場
『BAR 夢幻』

年を重ねるごとに欲するようになる、自分だけの落ち着ける空間。そんな想いを叶えてくれるのが、神楽坂のバー『夢幻』である。

店内に入ると聞こえる軽妙ながら刺激的なジャズ。薄暗がりに浮かぶ木目のカウンター。

“オールドクラシック”という言葉がうってつけな大人たちの社交場だ。こちらでシェイカーを振るのは、数々の老舗ホテルで経験を積んだ田淵無氏。

奇をてらうのでなく、お酒とおつまみだけで至福の時間を提供する。訪れるなら、特別親密になりたい相手と、どうぞ。




塩ダラのサラダや魚介のパエリアは看板メニュー。さらに魚料理と肉料理も入って、フルコースのような充実した内容が味わえる
パッと明るく飲んで打ち上げ!な気分の時は
『エルヌエーボ(El Nuevo)』

銀座の『バル デ エスパーニャペロ』で腕を振るった新井隆シェフが独立。2014年12月に、神楽坂通りの地下にレストランをオープンした。

何度も現地に赴いた研究熱心な新井シェフは、おなじみのタパスから煮込み料理や米料理、郷土料理まで幅広く手掛けている。



かしこまりすぎず、砕けすぎず。この雰囲気がちょうどいい!

天井が高く、地下とは思えない開放感のある店内は、中央にキッチンがあり、熱気のこもった調理風景も眺められる。通なスペイン好きも納得の楽しいレストランだ。

神楽坂だからといって和食ばかりでは芸がない。こういう店も押さえておいてこそ「真の大人」を感じさせることができるだろう。