食べすぎに注意したいギンナン

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あぶってよし、ゆでてよし、電子レンジのチンもよし――。ギンナンが美味しい季節になったが、日本中毒情報センターは2017年11月、「ギンナンを食べすぎるとおう吐やけいれんなどの中毒症状を起こす」と注意を呼びかけた。

2016年は22件の中毒事故の報告があり、毎年、11〜1月の冬のシーズンに事故が急増、過去には死亡例もあるという。

子どもは1回に7個、大人は40個以内に

同センターの発表資料によると、ギンナンは古くから食用、薬用にされてきたが、食べすぎると、おう吐やけいれん、めまい、腹痛、顔面蒼白、呼吸困難、意識混濁、不整脈、高熱などの症状を起こすことが知られてきた。

特に食糧難だった終戦直後は事故が多発、死者が出た。また、てんかんの治療中の高齢者がイチョウの葉エキスを服用したところ、てんかん発作が連続して起きた例などが報告されている。

有毒成分は長い間、不明だった。ギンナンには、酵素で分解されるとシアン化水素(青酸)を発生させる糖分が含まれているので、長らくその青酸化合物が疑われた。最近では動物実験によって、神経の働きに欠かせないビタミンB6の働きを阻害する有毒成分「メチルピリドキシン」が原因とわかっている。特に、脳内の神経伝達物質である「GABA」(ギャバ)を生成させるビタミンB6の働きを邪魔するため、けいれんや呼吸困難を引き起こすのだ。しかも、メチルピリドキシンは熱に強いので、焼いたり、ゆでたりしても毒性は失われない。

いったい、どのくらいの量のギンナンを一度に食べると危険なのか。同センターでは、個人差があるが、「小児7〜150個」「成人40〜300個」が危険ラインとしている。食べすぎると、1〜12時間以内にけいれんなどの症状が表れる。症状が表れたらすぐに医療機関を受診する必要があるが、家庭でできる処置の注意点として、つぎの2つを強調している。

(1) けいれんを誘発するので、絶対に吐かせてはいけない。

(2) 症状がたとえ表れなくても、大量に食べた時は医療機関を受診する。