「税金はちゃんと納めた」と思ってもやってくる

写真拡大

 相続税が富裕層だけでなく一般家庭もターゲットにしてから約3年。かつて相続税を取られるのはそれこそ“億”近い財産を持つ資産家だけだったが、法改正後は例えば法定相続人が妻と子供2人の合計3人の場合なら、4800万円を超える遺産があれば相続税を課せられるようになったのだ。東京都内に家を持っていて、加えて2000万円ほどの金融資産があれば超える額である。

 それにより税務調査官たちの“訪問”を受ける人が続々と現われ始めた。しかも一度訪問されると、申告漏れなどの「非違(ひい)」を見つけられる確率は8割を超える。我が家は相続税を払う対象ではない、税金はちゃんと納めた、しっかりと対策をしている──そんな思い込みがアダになるケースが多いのである。

 相続税法の不動産の「特例」を利用した節税は要注意だ。相続問題に詳しい税理士の関本秀治氏が語る。

「先日、顧客のところに相続税の税務調査が入った。心配したのは不動産の評価額です。税法では500平米以上(3大都市圏の場合)の広大地は地域によっては売却が難しいという理由で相続税評価額を4〜6割引き下げることができる。そこで相続者と相談して評価額を6割にして申告したが、税務調査で“認められない”と指摘されるケースが珍しくないからです」

 もっと調査が厳しいのが「小規模宅地」の特例だ。これは330平米以下の宅地(マンションも可能)を「同居親族」が相続した場合、評価額を80%減額できる制度で、地価の高い都市部の不動産を相続した人には大きな節税になる。

 母から家と土地を相続したAさんはこの特例を使って相続税を計算していた。

 ところが、Aさんは住民票をこの家に置き、週の半分以上は泊まって亡くなるまで母の介護をしていたものの、Aさんの家族は近くのマンションで生活していた。税務署はこれを理由に「同居」とは認めず、多額の追徴課税を迫られた。

「都心部では小規模宅地の特例が認められるかどうかで相続税額が数千万円も違ってくる。そのため税務当局は本当に同居実態があるか、いつから同居していたか、嫁姑の仲まで徹底して調査します。誤魔化しは通用しません」(国税OB)

※週刊ポスト2017年12月8日号