IGESのCOP23報告セミナー(12月1日)

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 COP23(気候変動枠組み条約第23回締約国会議)報告会が連日のように開かれている。COP23に参加した企業などノンステートアクター(非国家主体)たちが、会場のドイツ・ボンで体験した日本批判を語り始めた。

 ノンステートアクターは企業、自治体、NGOなど。国家と国家の交渉が遅々と進まない中で、COPの場で存在感や発言力を増している。

 象徴的なのが米国。トランプ政権はパリ協定からの離脱を決めた。一方でカリフォルニア州などの州政府、都市、アマゾン、アップル、マイクロソフトなどは公然と政権を批判し、”WE ARE STILL IN”(我々はパリ協定に留まる)のスローガンが掲げられたWEBページに名を連ねた。

 米国の自治体、企業には「連邦政府だけが米国ではない」という意識が強い。COP23でも米政府代表団とは別に、米ノンステートアクターがブースを構えてメッセージを発信し続けた。

 「日本批判」で目立ったのは、石炭火力の増設・輸出を進める日本は環境後進国とのレッテルを貼られたこと。海外では石炭火力全廃、ガソリン車販売禁止など脱炭素への動きが具体化している。日本のノンステートアクターはCOP会場で日本の地位低下を実感したという。

 「2度Cに向けて動き出す企業・投資家セミナー」(CDP・環境省の共催、11月29日)と「脱炭素化への長期ビジョン COP23で世界はどう動く?」(IGES主催、12月1日)の登壇者の発言を紹介する。

【参加者の発言】
●加藤茂夫氏 リコー執行役員・サステナビリティ推進本部長
 (欧米の巨大企業が、CO2削減に取り組まないサプライヤーとの取引を中止する可能性が出てきていることを受けて)
 日本がこのままの状況では、サプライチェーンから外されるだろう。日本全体で考えるべき課題だ。米国は二分化されているが、(温暖化対策に)積極派は評価されていた。日本は批判を受け、危機感を持った。

 (セミナー会場の聴衆に向け)我々も”WE ARE STILL IN”の日本版をつくりたい! 世界に高々と宣言したい。

●石田建一氏 積水ハウス常務執行役員・環境推進部長
 日本企業のRE100(※)がもっと増えてほしい。積水ハウスが加盟したから良しではなく、日本全体で盛り上げないとダメだ。(※再生可能エネルギー100%を目指す国際的な企業連合。アップル、イケアなど117社加盟)

●山崎誠也氏 富士通環境・CSR本部環境技術統括部環境エンジニアリング部長
 会う人、会う人に石炭火力のことを聞かれた。日本の石炭(増設・輸出)は有名だった。悔しいと思った。日本にはいい環境技術があることを正しく認識してほしい。

 方向性を変える段階から(パリ協定を実現する)行動の段階に移った。移行のキーが技術。技術で移行を加速する。日本では最近聞かれなくなったスマートシティーがキーワードになっていた。企業と自治体がコラボレーションした脱炭素を目指す事例が増えていた。

●磯野久美子氏 juwi自然電力オペレーション代表取締役
 いろいろな方に石炭火力について言われた。座礁資産になれば(新設しても)寿命をまっとうできるのか。経済合理性からも難しいという意見があった。

 やることが決まったので、HOWの話になっている。やるとしたら課題が山積しており、シナリオプランニングが必要。再生エネの話も多かった。(普及は)市場原理でどうにかなるところまできた。

●大倉紀彰氏 横浜市温暖化対策統括本部企画調整部担当部長
 日本のプレゼンスアップにはブランドを高める必要がある。環境もブランド。しかし、石炭火力が日本のブランドに水を差す。

 危機感が国内とは違う。国(政府)がボヤボヤしていたら自治体が前に出る。移行への挑戦が機会を生むと言っている人が多かった。遅れは経済ダメージという声も多かった。