シンガーソングライターのAnlyが11月29日に、ニューシングル「Venus」をリリース。沖縄県伊江島出身の20歳で、2015年にシングル「太陽に笑え」でデビューして以降、楽曲クオリティの高さから数々の楽曲がドラマ主題歌に抜擢。Anly+スキマスイッチ=としてリリースした「この闇を照らす光のむこうに」は、松坂桃李主演ドラマの主題歌として大きな話題になった。今作「Venus」もまた、テレビ朝日系ドラマ『科捜研の女』主題歌で、Anlyは「夜明けの空に輝く金星の強さや美しさを、主役の沢口靖子さんに重ねて作った」と話す。ライブで披露した独特のギタープレイや、ザ・ビートルズをカバーした収録曲についても話しを聞いた。【取材=榑林史章】

見守りながら、見守られながら

通常盤ジャケ写

――新曲「Venus」は、ライブの時に指一本の奏法で披露していて、初めて見た弾き方で驚きました。

 「Venus」は壮大な曲だから、音に厚みが欲しいと思って。ベース音を大きく鳴らしたいと思って、変則チューニングを使って弾いているんですけど、これなら世界観が広がるかなと思って。

――ああいう弾き方は、誰かがやっていたものなんですか?

 高校生の時にアンディ・マッキーというインストのギタリストが好きで、彼はギターを叩いたりネックの上から押さえるやり方をやっていたんです。それで、デビュー後にFM802の番組でアデルの「Hello」をカバーすることになって、普通にコードを弾くだけでは世界観が出せなくて面白くないと思って。アンディとは違うけど、自分なりに考えて、「Venus」でやっているような奏法を思いついてやったら、すごく評判が良くて。それを今「Venus」で応用しているという感じですね。

――普通は下からネックを握るけど、上から押さえるようにしていて。素人目には、逆に弾きにくそうですけど。

 自分では普通にやっていたつもりだったんですけど、改めて映像で見たら、我ながら面白い弾き方しているな〜って自分でも思いました(笑)。ただ、ギターの印象ばかりになってしまうのは本末転倒と言いますか。あくまでも歌に耳を傾けてもらうきっかけになればと思っています。

――その「Venus」という曲ですが、テレビ朝日系ドラマ『科捜研の女』の主題歌として書き下ろしたものということで。

 はい。最初は女性への応援歌、主演の沢口靖子さんへの応援歌として作って欲しいと話しをいただいて。でも私が応援するまでもなく、すでにこれだけ長くシリーズで主演を続けていらっしゃる沢口さんを、私が応援するのは少しおこがましいんじゃないかなど、いろいろ思うところがあって。

 そこで、人としての孤独感と言うか…私自身東京に一人で来て、曲や歌詞を考えているうちにいつの間にか夜が明けていて、ちょっとした寂しさを感じることがあって。そんな夜明けの空に見た金星が印象的で、一個だけキラッと輝いている様子がすごく力強くて。その美しさが沢口さん演じる主人公像と合うと思って、金星を意味する「Venus」をテーマに書きました。

 私の中では、曲の舞台は渋谷とか人がたくさんいる中で、すれ違う人はお互い誰も知らなくて、でもみんなどこかに向かって歩いているような風景です。人に囲まれていながら寂しさを感じるという気持ちが、このメロディに合うなと思いました。

――直接的な応援歌ではなく、金星のように見守っている人がいるよと、気づかせてあげるみたいな感じの曲ですね。

 人に囲まれながらも、どこかで孤独を感じている人に聴いてもらって。頑張ろうじゃなくて、自分を見てくれている人がいることを思い出したり、そのことを感じてもらえたら良いなって思います。人は決して一人ではない。相手がいるからこそ生きて行ける。見守りながら、見守られながらみたいな。そんな曲です。

ガットギターが、使ってほしがっていた

初回生産限定盤ジャケ写

――制作やレコーディングは、どんな感じで進んだのですか?

 曲のアレンジを、初めてJeff Miyaharaさんにお願いして。Jeffさんとは、歌詞の面でもディスカッションしながらだったので、今までとはまったく違った曲作りで、それがとても刺激的でした。

――Jeffさんの自宅スタジオは、ソファがあって普通のリビングでくつろぎながらやるみたいなスペースですよね。

 ああいう雰囲気は良いですよね。「さあやるぞ!」じゃなくて、セッションと言うか、セッション以前で、普通にお茶を飲みながらおしゃべりをしているうちに、曲が出来て行くみたいな感じで、私はとてもやりやすかったです。Jeffさんもすごく気さくな方で、初めてお会いしたのに初めての感じがまったくなくて。とても楽しい雰囲気の中で出来ました。

――「Venus」の音の雰囲気は、冬の冷たい空気感がある中に、どこか温かみを感じるような雰囲気だなと思いましたけど。

 音作りに関しては、スチール弦のアコギではなく、ナイロン弦のガットギターを使っているので、そこで温かみや冬感が出ているんじゃないかと思います。ガットギターを使うアイデアは、最初にデモを録る時に、その場にガットギターしかなかったからなんですけど(笑)。それがすごく良い感じだったので、じゃあそのまま本番でも使おうということになって。レコーディングでは、私がガットギターを弾いています。

――ガットギターって、握るのに力がいりますよね?

 そうですね。ネックが太いし。でも、いつもとは違う雰囲気が出せたので、自分でも新しいチャレンジが出来たと思います。それに今回はガットギターがすごく活躍してくれて、今思えば使って欲しくてそこにあったのかな? と思うほどです。たとえばこの曲は8分の6拍子なのですが、それもたまたまと言うか、ガットギターの弦を指で弾くのに、たまたま8分の6拍子がやりやすかったからで。普通のアコギだったら、きっとそのアイデアも出なかったと思います。

――また、カップリングには「Merry X'mas」という曲を収録。これも「Venus」と並行して、Jeffさんと一緒に作ったそうですね。

 はい。なので、これもガットギターを弾いています。ウキウキする曲を作りたいと思って、いつもの私とは少し違った明るさが出せたと思いますね。

――この曲は、友だちとパーティーするときとかに聴いて欲しいですね。

 そうですね。それにこの曲は、ちょっとしたダンスも考えていて。知り合いの振り付け師の方に、子どもでも踊れるような、簡単で可愛い振り付けを考えてもらいました。ライブの時は、それを覚えて来てくれたら嬉しいです。

――ちなみに、地元の沖縄・伊江島でのクリスマスの思い出はありますか?

 島だからと言って、そんなに特別なことはないのですが…普通にサンタさんも来ますし。ただ寝ている時に枕元でファサッてプレゼントを置く音がして、もし目が覚めていたとしても、絶対に目は開けちゃダメだと思っていました。子どもながらに空気を読んでいたっていう(笑)。でもローラーブレードとベースをもらった時は、心で欲しいと思っていただけなので、「通じたのはすごい! サンタさんは本当にいるかも!」と、本気で思いました。それにもしサンタが父だったとしても、欲しいものを感じ取ってくれたのは、それはそれですごいなって。

洋楽がきっかけになったら嬉しい

Anly

――そして3曲目には、ザ・ビートルズの「COME TOGETHER」のカバーを収録。また渋い曲を選曲しましたね。

 これは弾き語りで、一発で録音しました。きっかけは今年の3月に開催された『Dear BEATLES』というイベントに、ゲストに呼んでいただいたことです。1曲は「Blackbird」をTHE ALFEEの坂崎幸之助さんとセッションさせていただいて、もう1曲は好きな曲をカバーして良いというお話で。カバーするのはその時が初めてだったんですけど、「COME TOGETHER」を選んで、ドロップDチューニングを使って自分でアレンジして。本家は、もう少しペトペトした感じがあるんですけど。(※ドロップDとはギターの6弦のチューニングをレギュラーから全音下げる)

――ペトペトってどういう?

 何て表現して良いのか…ベースのリフの後のスネアの音とか、そんな感じに聴こえないですか? でもドラムがいないとその感じは出せないから、じゃあブルースっぽく弾き語りをしたら良いかなと思って。それ以来いろんなライブで歌っていて、フジロックでもやったし。今年やったカバーの中ではいちばん多く演奏したので、今レコーディングして記録として残しておきたいなと思いました。

――他にもエド・シーランとかアデルとか、今までいろいろな洋楽のカバーをやっていますよね。

 ラジオきっかけが多いですね。番組でやりませんかと薦められたり、番組の中でカバーしたりとか。番組では日本の曲もたくさんカバーしていて、「恋」とか「前前前世」とかもやったことがありますね。それで、すごく世界観が出せて手応えがあったものとかを、ライブでもやっていくみたいな感じです。そういうカバーをきっかけにして、洋楽が好きな人にも私の曲を聴いてもらえたら嬉しいですね。

――では最後に、2018年の抱負をお願いします。

 2017年は、夢だったFUJI ROCK FESTIVALに出させていただいたし、全国ツアーも経験出来てとても濃かったです。音楽も自分が作りたいものが作れて、世界観も広がったと思うし、自分の中でも新しいことに挑戦出来た1年でした。

 2018年は、前髪も切ったことですし(笑)。「Venus」のアー写撮影の前に切ったんですけど、これは自分的にすごく大きくて。髪が顔に被らなくて視界が広くて、気持ち的にも新しくなって。それで今、これもやりたいあれもやりたいというくらい、新しい曲がたまっているので、早く次のライブをやりたいですね。次のツアーも、絶対にもっと面白いものになります! ぜひたくさんの人に来て欲しいです!

作品情報

Anly

7thシングル「Venus」
11月29日発売

初回生産限定盤(CD+DVD)1389円(税抜)SRCL-9593 〜 SRCL-9594
通常盤(CD)1111円(税抜)SRCL-9595

▽CD収録内容

1. Venus
2. Merry X'mas
3. COME TOGETHER
4. Venus-instrumental-
5. Merry X'mas-instrumental-

▽初回生産限定番DVD収録内容

1. Venus Music Video
2. Making of Venus Music Video

ライブ情報

▽Anly 21st Birthday Live

2018年1月19日 東京・渋谷eggman
2018年1月21日 大阪・梅田Shangri-La