「不良や故障は機械ものにはつきもの」と車の免許を取ったときに父親に言われた。「ポルシェ使いになりたければ整備が出来なければならない」と初めてポルシェを購入したときに営業マンに言われた。機械は「整備」が重要な品質の一部なのだ。

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 品質管理を考えるとき、1.「材料」、2.「造り方」3.「整備」の3つの大枠で考える必要がある。神戸製鋼など資材メーカーにとって顧客の検査が出来ないところでは、見た目だけでごまかすことが出来る。VWなどの完成品メーカーのごまかしを見ると、現代流モラルの低下なのだろうか?

■なれ合いの品質 神戸製鋼でも、日産自動車でも、三菱マテリアルでも聞こえてくる「ごまかし」の経緯で、私も現場で苦しんできた品質保証の問題点がある。その1つが「ユーザーの了解を取って納入していた」と言うことだ。

 製品完成時の規格の公差をわずかに外れた不良品を、ユーザーの了解を取って特別採用としてもらうことが起きるのだ。しばらくすると、面倒なので了解を取らずにごまかしのデータを書いて納入してしまうことが起き始める。それでも、規格の公差には安全を取って決められていることが多く、問題は起きない。神戸製鋼のケースでも数十年経っているが、それでも表立った問題は起きていなかった。

■なぜ規格公差を外れても問題がないのか? 公差が余裕を持って取られている場合も多くある。例えば、家庭の電気コンセントの部品などは、3倍の余裕があると言われている。また、タイヤを取り付け、ブレーキを受け持つている自動車部品のハブは、ドリフト走行など横からの極めて強い力に耐えている。タイヤが多少滑っても簡単には壊れない設計強度を持たせているが、連続的に横からの強い力を掛け続けている「ドリフト走行」などには耐えられる保証はない。そこまでは想定していないはずなのだが、公差に「余裕を取る」ことで耐えているのである。

 この強度の余裕が低かった、かつての三菱自動車の不正では、タイヤが外れて死者を出している。それでも「乱暴な使い方だった」と三菱自動車は主張して、さらに数年で死者を出す結果になっている。設計側の規格の決め方に問題が潜んでいる。そして、2.「造り方」の中に、「設計品質」と「製造品質」が含まれている。この両者の関係の処理がうまくいっていないのだ。