2020年東京パラリンピック開幕まで残り1000日を切った。これからさらに盛り上がっていくことは間違いないが、その前に2018年平昌パラリンピック冬季大会が、約3カ月後に迫っている。自身も2度の冬季オリンピックに出場しているプロフィギュアスケーターの鈴木明子さんが、パラリンピック、パラスポーツ、パラアスリートについてどんな印象を抱いているのか語ってくれた。


年々、パラアスリートとの交流が増えてきているという鈴木明子さん

――パラアスリートの方々と交流はいつごろからありますか?

鈴木明子さん(以下、鈴木)私がバンクーバーオリンピックに出場したときはまだ、JOCの管轄は文部科学省で、JPC(日本パラリンピック委員会)は厚生労働省でした。2014年のソチ大会からどちらも文科省の管轄になり、壮行会などでパラリンピックの選手たちと同席する機会が増えました。さらに、その後にスポーツ庁ができて、より存在を身近に感じられるようになりました。

――どんな印象でしたか?

鈴木 オリンピック・パラリンピックの入賞者は、総理大臣官邸に集まってお祝いをしていただく機会があるのですが、フィギュアスケートはパラ競技にないため、それまでは交流自体がありませんでしたが、オリパラ、競技という枠を越えて交流できてとても刺激になりました。選手の方々にお会いした印象は、「前向きで明るい」です。みなさん、積極的だと思います。前向きだからスポーツができるというところもあるでしょうけど、スポーツに打ち込むことでそうなれたのかなとも感じます。

――交流が少ない中でも、それまでパラアスリートの存在はどう見ていましたか?

鈴木 2010年ロンドン大会のときの、パラの選手たちを紹介した映像があるんですが、ものすごくカッコよかったんですよ。障がいがあるからどうというのではなく、ハンディを強さに変えて戦っている映像を見たとき、衝撃的で、素直にカッコいいと思いました。オリンピアンとの取り上げ方に差があると感じていましたが、実際にはパラリンピアンも、たくさんのメダルを獲っているし、オリとパラの間に隔たりはないと思います。オリンピック・パラリンピックという目標に向かって頑張ることでは同じ。

 私は彼らのことを本物のアスリートだと思っています。世間的な興味の持たれ方とか認知のされ方には違いがまだあるかもしれませんが、ロンドンやリオはものすごく盛り上がりましたよね。その盛り上がりを東京につなげなければと感じています。選手は進化していますし、器具もそう。一番遅れているのは見る側の意識かもしれません。

――今後、もっとたくさんの人にパラスポーツを知ってもらうには、どんな取り組みが必要だと思いますか?

鈴木 パラリンピックの開催期間以外で、その競技を目にすることが少ないのも問題だと感じています。一般的に人気があると言われるスポーツは、目にする機会が多くて、選手たちの動向を知ることができます。パラリンピックの期間だけ興味を持てと言われても難しいというのが現状かもしれません。そこが難しいところ。普段から見る機会があれば、あの選手はカッコいいとか、この選手を応援しようとなるのでしょう。継続的に選手や競技を注目できる仕組みができればいいのにと思います。

――まずは見てもらうということが重要ですね。

鈴木 そうですね。いまは、YouTubeをはじめインターネットで動画を目にする機会が増えました。興味を持つことによって、簡単に検索してたどり着くことができるようになったことで、うまく使っていければ、魅力を多くの人に伝えられるのではないかと思います。

――競技のおもしろさもありますが、選手も魅力的ですよね。

鈴木 そう思います。「障がいがあるのにすごい」ではなく、「障がいがあるにもかかわらずスポーツにチャレンジしようと思う気持ちがすごい」のだと思います。選手たちの姿を見れば、誰もが勇気をもらえるのではないでしょうか。

 障がいのある・なしに関係なく、見ている人が受け取れるものがたくさんある。勇気、人間の底力、あきらめない心……。

 事故や病気のために後天的に障がいを持つことになったとしても、自分自身を高めていく姿。心がすごく強いなと感じます。挫折、弱さを知ったうえで、そこから強くなってきたわけですから。チャレンジする姿に純粋に感動できるのかなと思います。障がいはハンディかもしれませんが、その分、戦っていくために補うものが、ものすごく秀でているからパラリンピック選手として活躍できるのだと思います。人間の底知れない力を彼らからは感じますね。

――2020年の東京を成功させるためには、何が必要でしょう?

鈴木 東京オリンピック・パラリンピックの成功というは、無事に開催されることだけではなく、「その先に何を残せるか? 」が重要だと思っています。そのときだけ盛り上がるのではなくて、先を見据えて、いま大切なことはやはり競技と選手を知ってもらうことだと感じます。



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