池上さんもびっくり?

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 11月24日、「独占取材! 創価学会に異変!? 離反の動きが…」と題したニュースが地上波で堂々と流された。放送したのはテレビ東京「ワールドビジネスサテライト(WBS)」。

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 テレ東の「WBS」(平日夜11時〜11時58分)といえば、その日を締めくくる深夜のニュース番組で、テレ朝でいえば「報道ステーション」、TBSなら「NEWS23」と並ぶ?同局の看板番組なのだが、視聴率は概ね3〜4%を推移。

 司会は2014年より大江麻理子アナ(39)が担当。バラエティで人気抜群だった彼女が司会に抜擢された時こそ話題にはなったが、その後は再び低視聴率に落ち着いている――。

 ともあれ大株主である日本経済新聞の協力を得て、いつもは経済ニュースを中心に放送している「WBS」だが、この日はテレビ局がなかなか取り上げることのない「創価学会」の特集だった。

池上さんもびっくり?

池上VS創価学会

 しかも、先の総選挙での大幅な議席減、教団執行部に反旗を翻す信者たちの意見を紹介。それらを元に公明党・山口那津男代表への当て取材(当事者への直接取材)――この強気の姿勢はどこから?

 テレビ誌記者はいう。

「テレ東といえば、視聴率は万年最下位がトレードマークですが、選挙特番だけは民放トップの視聴率を誇る『池上彰の選挙ライブ』がある。番組の名物は、候補者のどうでもいいようなプロフィール紹介もありますが、なんといっても“池上無双”と呼ばれる、候補者や宗教団体、特に創価学会と公明党との関係についての鋭いツッコミでしょうね。創価学会に関しては、アポなしで信濃町の本部を訪ねて追い払われたこともありましたし、公明党議員にあえて政教一致問題について尋ねたり、選挙活動をする創価学会員から『選挙をやると功徳になる』という教団が選挙活動をどう捉えているのかわかる言質を取ったこともありました。選挙活動に熱心な学会員の“F票”集めについて解説したりと、しつこくやっています。そのためか、公明党としても無視出来なくなり、池上さんの学会本部内での取材を認めるまでになったんです」

 この「池上彰の選挙ライブ」の司会を一緒に務めたのが大江アナである。彼女は件の「WBS」ではこう切り出した。

「今週行われました国会代表質問で、安倍首相はあらためて憲法に自衛隊を明記すべきとの考えを強調しました。そこで注目されるのが、連立与党を組む公明党の対応です。この公明党最大の支持母体、創価学会にある異変が起こっていました……独占取材です!」

踊る池田大作名誉会長

 番組ではまず、創価学会創立記念日である11月18日のJR信濃町駅周辺をリポート。創価学会の土産物屋のテレビには、扇子を振りながら踊る池田大作名誉会長(89)が映し出されている。“動く池田氏”が地上波の電波に乗るのも久しぶりである。

 その後、公称信者数827万世帯を誇る創価学会だが、先の選挙では35議席が29議席にまで減ったことが紹介される。

 番組を見た学会ウォッチャーの乙骨正生氏は、

「10月の衆院選比例区での公明党の得票数は、697万票でした。2005年、小泉政権時の郵政解散選挙では公明党は、898万票だったのです。今回の総選挙では18歳以上に投票権が与えられて総数は増えたにもかかわらず、12年前と比べて201万票も減らしたことになります。創価学会は国政選挙の比例区での得票数を、“広宣流布”(布教)のバロメーターとして位置づけていますから、これには触れられたくなかったでしょう。かつての学会は不都合な報道は一切受け付けなかった。そう考えると、学会の組織が弱体化しているのかもしれません」

この教団はどうなっている?

 注目すべきは、翌19日に行われた教団執行部に対する反対集会も取材。平和の党を標榜しながら、安全保障関連法に賛成した公明党、並びにそれを支持する創価学会の執行部に反旗を掲げた信者たちの声を紹介したことだった。

 参加した一般信者が“財務(学会への資金提供)は出さない、公明党に票は入れないことを提唱している”とまで言う様子が報じられたことには、乙骨氏も驚いたという。

「あの言葉は大きかったですね。実際、総選挙では、選挙区での無効票は通常2%程度といいますが、公明党候補のいる選挙区の無効票は7%と報じたところもありました。信者たちは教団の目がありますから、投票所には行かざるを得ないので、無効票にしているともいいます。それに、『池田先生がお姿をお隠しになったのは2010年5月の本部幹部会が最後でした』というのも、部外者から見ると、この教団はどうなっているんだと思われかねません。“池田教”ともいわれる教団のトップが7年も姿を見せないというのですから。もちろんテレ東といえども、池田氏の近況には触れられないのでしょうけど」

 そしてテレ東の記者は国会に乗り込み、公明党の山口那津男代表に問いただすのだ。

「創価学会の会員の一部にデモや反対集会を開いている人がいる。支持団体の一部からこのような動きが出ていることをどう思うか?」

 前出の乙骨氏が苦笑する。

「“把握出来ていないので、コメントは控えたい”って言うしかありませんよね。選挙後の山口代表は憲法改正なに関する発言が非常に慎重になっています。下手なことを言ったら造反が広がりかねませんから、とぼけるしかない」

 それにしても思い切った企画だが、ジャーナリストの山田直樹氏はこう見る。

「他の在京キー局なら、あそこまでは放送できないでしょうね。テレ東は、池上さんの番組で学会とのパイプも出来たのでしょうが、他局と違って、機関紙の聖教新聞などのCMがほとんど入っていませんし、大株主の日経新聞も聖教新聞などの印刷を請け負う“賃刷り”がないので、創価学会の影響力が及ばない。学会とすれば、テレ東の深夜のニュース番組ですから、影響力も少ないとタカをくくっていたのかもしれません」

 テレ東なればこそ、創価学会の懐に入り込めたと言えるわけだ。

 果たして、「報ステ」や「NEWS23」が“創価学会の異変”を報じる日は来るのだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2017年12月2日 掲載