『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』に『相棒』と、相変わらずシリーズものが好調のテレビ朝日のドラマ群。そんなテレビ朝日のドラマに新枠が登場した。『SmaSTATION!!』の後番組として新設された「土曜ナイトドラマ」である。第一弾となったのは、三浦春馬主演の『オトナ高校』。オリジナル脚本で挑み、新たな波を作ろうとしている。

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 性体験のない30以上の男女が政府の極秘プロジェクトにより公的教育機関「オトナ高校」で卒業条件の処女・童貞卒業を目指す『オトナ高校』。三浦が演じているのは、東大卒のイケメンエリートながら、30歳で童貞の“チェリート”こと荒川英人。

 子役でデビューしキャリアの長い三浦だが、これまでのイメージとしては真面目でまっすぐ、爽やかな青年の印象が強い。過去作にはドラマ『ブラッディ・マンディ』(TBS系)『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジテレビ系)『僕のいた時間』(共同テレビ・フジテレビ系)、映画『恋空』『君に届け』『進撃の巨人』といったタイトルが並ぶ。一方で、舞台作品では「地球ゴージャス」や「劇団☆新感線」などで高い身体能力と振り切った演技を見せている。昨年は「キンキーブーツ」でドラァグクイーンの主人公を好演した。

 そんな三浦が『オトナ高校』では、他人を見下しがちで女心に疎い“チェリート”を、イキイキと演じている。最初はイヤミな性格を前面に出していた“チェリート”だったが、回が進み、三浦の演技がより振り切れていくに従って、不器用なかわいらしさが現れるようになった。

 ストーリー面でも黒木メイサ演じる、いつも2番目の女で体の関係にまでいけないスペア処女の真希や、松井愛莉が「セックスは食事と同じ」と言ってのける小悪魔系の女教師さくらとの間で揺れるといった恋愛要素だけでなく、男の友情ドラマもプラスされ、単なる深夜枠系エロドラマにはなっていない。そして物語はついにオトナ高校の存在が世間にバレるという大きな転換期を迎えた。さらにはそれぞれの切ない恋が爆走を開始。終盤戦に突入だ。

 さて、ここで他の深夜ドラマにも目を向けてみよう。各局それぞれに個性的な作品を入れ込んでいるが、コミックものの映像化の乱立が目立つ。フジテレビ系で放送される『ぼくは麻里のなか』『ラブホの上野さん season2』、日本テレビ系の『吾輩の部屋である』、TBS系の『目玉焼きの黄身いつつぶす?』、テレビ東京系の『新宿セブン』『セトウツミ』、テレビ朝日系の『重要参考人探偵』と、現クールの深夜ドラマだけで、これだけの作品がコミック原作ものだ。

 深夜枠は実験的な演出やテーマがあっても、視聴者も受け入れやすい枠である。個性的な内容からコミックと相性がいいのも頷けるが、それにしてもオリジナル脚本が少ない。テレビの視聴率低下が叫ばれるいま、逆手に取ってもっと挑戦的な作品作りをしてほしいと思っている視聴者は少なくないはずだ。

 そんななかで貴重なオリジナル作品となっている『オトナ高校』を手掛けているのは、『ショムニ』シリーズや『ウォーターボーイズ』シリーズ、『映画 ビリギャル』の橋本裕志。三浦、黒木、高橋、松井、竜星涼といった出演陣も楽しそうに、その脚本に応えており、今のところ挑戦は成功していると言っていいだろう。少子化などの社会問題を背景に、キャッチーに、いまどきのオトナの成長を見せていく『オトナ高校』がどんな振り切ったラストを迎えるのか楽しみだ。同時に新しく生まれたばかりの「土曜ナイトドラマ」の今後にさらに注目。他との差別化のためにも、オリジナル脚本での作品づくりを希望したい。

(望月ふみ)