男女が恋仲に発展するための最初のステップである、デート。

互いの愛情と絆を深めあうチャンスとなる一方で、玉砕する場合もある。

二人で同じ時を過ごし、同じ景色を見ていても、男女で感じるものは違うようだ。

あの時、君は何を思い、その行動に出たのだろうか...




三久は、大学の後輩だった。

学部は違ったが可愛い三久は有名人で、また僕の男友達と一時付き合っていたこともあり、その存在は何となく知っていた。

しかし在学中は特に親しくならないまま卒業し、たまたま参加したパーティーで再会したのだ。

「あれ、弘之さん...?」
「あれ、三久ちゃん?」

お互い記憶を手繰り寄せ、そしてすぐに打ち解けた。

「弘之さんは、今何をしているんですか?」
「今弁護士だよ。三久ちゃんは?」
「弁護士なんですねぇ。すごい!私は今アパレルで働いています。」

お互いの近況報告を早口で言いながら、改めて三久を見つめる。

学生時代も可愛かったが、26歳になった今では女らしさもプラスされ、更に綺麗になっていた。

「せっかく再会できたし、今度ご飯でも行こうよ。」
「行きたいです〜!じゃあLINE交換しましょ。ちなみに、それって二人でご飯ってことですか?」

もちろん、二人が良いに決まっている。

「他に誰か誘いたい人いる?僕は二人でいいんだけど...」

そう言うと、“じゃあ二人で行きましょう”と三久はにこりとしながら答えてくれた。

こうして、僕は三久との二人きりでのデートにあっさり漕ぎ付けることができたのだ。


いざ、初回のデートへ。まさかの急接近が待っていたが・・!?


Q1:1軒目で、彼女が見ていたのはどこ?


三久とのデートは、恵比寿にある『ビストロ エビス』にした。

三久は中目黒に住んでいると聞いたので、来やすいところが良いかなと、僕なりに考えた結果だった。

また、初デートであまりにも静かすぎる店は避けたい。カジュアルビストロあたりがちょうど良いだろう。

10席しかない小さな店内はいつ来てもアットホームで、ここのシェフが作る日替わりの料理を、三久も気に入るに違いない。




「じゃあ弘之さんは、去年独立したんですか? 」

最初はグラスのシャンパンで乾杯し、そこから僕たちは近況を話し始めた。

ちょうど1年前に、僕は大きな弁護士事務所を辞め、個人事務所を開業したばかりだった。

「そうなんだよ。色々大変だけど、やりがいがあって楽しいよ。事務所は六本木一丁目なんだけどね。三久の会社は、どこにあるの?」

「私は銀座にオフィスがあって。でも今、転職活動中なんです。」

食べながら、僕たちは大学卒業後の空白の時間を埋めるよう、たくさんのことを語り合った。

近況報告をしているうちにお酒は進み、学生時代の話に花が咲く。

「大学時代、三久は結構人気あったからなー。」
「嘘だ〜。本当ですか?嬉しいなぁ。」

そう笑いながら、不意に三久の手が僕の肩にポンっと触れた。

それは一瞬の出来事だったが、不覚にも、ドキッと鼓動が高まる。

そしてそこから、笑う度に三久はポンポンと僕の肩を叩いてくるのだ。徐々に、三久は距離を縮めてきている。

何となく二人とも前のめりになって話している内に、椅子と椅子が近くなっていたのだ。

「学生時代とか、今から考えると何をやっていたんだろうね。」

そんな話をしながら、美味しい料理にお酒も進み、グラスのシャンパン数杯ずつとワインを1本空けたところで、僕たちは店を後にして2軒目へと向かった。

外に出て、冬の風が靡いた途端、三久の甘い香りがして思わず僕は鼻をこする。

そして次の瞬間、僕はその場でフリーズした。

「さむ〜い!!」

そう言いながら不意に三久が僕の右腕に体を寄せてきたのだ。

冷たい木枯らしとは裏腹に、僕の気持ちは高まる一方だった。


距離も縮まり盛り上がる二人。うまくいくと思っていたのに...


Q2:彼女の方から積極的だったのに。断られたのはナゼ?


ドキドキしながら、2軒目へ向かった。

金曜日ということもあり、行きつけのカジュアルなバーはどこも一杯で、結局僕らはウェスティンホテルにある『ザ・バー』に流れついた。

シックな雰囲気で、大人になった今こそ分かるこのバーの重厚感が心地よく、一人で飲みたいときにもたまに来るバーである。

「すっかり私たちも大人になりましたね。」
「乾杯。」

そう言いながら、僕はシングルモルトを、三久は白ワインのグラスを傾ける。




ここのバーのカウンター席の椅子は重厚感があり、一度座るとそう簡単に動かせない。三久が僕の方に脚を向けて座ると、しばらくその体勢が続いた。

少しほろ酔いになってきた三久は、すっかりくつろいでいる雰囲気だ。

最初は少し緊張していたのか堅い雰囲気もあったが、“敬語じゃなくていいよ”と言ったせいか、二人の間に徐々に壁がなくなってきた。

その度に、僕の期待値は上がっていく。

久しぶりの再会に、今回のデート。そもそも、向こうに気がないなら最初から“二人で”食事には行かないはず。

そしてさっきから、妙に距離が近い。彼女が近づくたびに、胸の鼓動が高鳴った。

「三久ってさ、人と話すときの距離、いつもこんなに近いの?」

この距離の近さは、彼女も僕に気があると考えていいということだろうか?

そんなことを考えながらシングルモルトを飲み干す。
僕は、すっかり舞い上がっていた。

「今、彼氏はいないの?」
「いないですよー。誰かいい人いませんかね?」

そのまま数杯飲み続け、24時を回ったあたりで僕たちはバーを後にし、ウェスティンホテルのエントランスで立ち尽くした。

-さて、この後どうしようか。

そう思っていると、三久はベルボーイに“タクシーを2台お願いします”と言っている。まだ帰りたくない僕は三久を正面から見つめた。

「もう帰っちゃう?次はいつ会えるかな?」

「んー...ちょっと年内は忙しくて。年明け…、また来年連絡しますね。」

-ら、来年!?

つまり年内はもう会えないということだろうか。そして僕は今、遠回しに断られた...?

“ご馳走様でした”と言い、笑顔で手を振る三久。

結局、三久は僕のことを試していたのだろうか。それともデート中に何かやらかしてしまったのか。

あんなにも、ノリノリだったのに。
あんなにも、距離が近くて触れていたのに。

去りゆくタクシーに手を振りながら、僕は一人悶々としていた。

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女のボディタッチの意味とは:デートの答えあわせ【A】

<これまでのデートの答えあわせ【Q】>
Vol.1:2軒目のデート開始30分。彼女が「明日朝が早い」と突然帰宅したのは、ナゼ?
Vol.2:2人きりでの食事・デートの誘いに乗ってきた。=“脈アリ”じゃないの?
Vol.3:初デートは「19時、駅に待ち合わせで。」このNGポイントはどこ!?
Vol.4:私の、どこがダメだった…?会話も、化粧も服装もすべて完璧だったのに
Vol.5:初デート。「もう1軒行かない?」と言われた時に男が取るべき行動とは
Vol.6:デートの重要なポイント、店選び。女が男を“友達”だと判定した理由とは?
Vol.7:デートにおける永遠のテーマ、お会計問題。どう振る舞うのが女として正解なの?
Vol.8:2対2の食事では全然話せなかったのに。デートで彼女の心を掴んだ平凡男の勝因とは