「2018年も、この人次第かな。年男だから」。安倍首相は顔を見ながらそんなことはいっていなかったと思うが、トランプ大統領は戌年生まれ(写真:ロイター/アフロ)

そうだ、今年は「三の酉」があるのか。

ふと思いついて、11月30日の夕刻に東京・浅草酉の市を覗いてみた。いや、すごい人出でしたぞ。鳳神社に参拝する人たちの行列がなんと長いことか。商売繁盛を祈願する縁起物の熊手も、大小さまざま色とりどりのものを売っている。お天気はぐずつき気味であったが、屋台も数多く軒を連ねていて、たぶん夜遅くまで賑わったことだろう。

2017年の酉年は賑やかな年だった

雑踏と喧噪の中を歩きながら考えた。2017年は酉年であった。「一鶏鳴けば万鶏歌う」ということわざ通り、まことに賑やかな年とあいなった。

米国のドナルド・トランプ大統領は始終お騒がせで、英国ではテリーザ・メイ首相が解散で墓穴を掘り、フランスではエマニュエル・マクロン大統領が颯爽と登場し、ドイツではアンゲラ・メルケル首相が連立工作に頭を痛めている。韓国ではパク・クネ大統領が弾劾され、金正男氏は白昼の空港で暗殺され、北朝鮮は懲りずに核実験とミサイル発射を繰り返している。

国内では、「モリカケ」疑惑と共謀罪と天皇の生前退位をめぐって国会が揺れ、東京都議会選挙で沸騰した「小池人気」は、解散・総選挙後のゴタゴタで一気に失速した。相撲界は稀勢の里に明けて日馬富士で暮れ、将棋界は藤井聡太四段の連勝記録に沸いて「ひふみん」で和んだ。

そして日本経済は、東芝や神戸製鋼など名門凋落のニュースが相次いだ。それでも先日発表された7-9月期GDP速報値は、7四半期連続のプラス成長となっている。これは2001年以来のこと。さすがは商売繁盛の酉年というべきか。

それから今年は「アンラッキーセブン」の年でもあった。西暦で1の位が7の年は、サブプライム問題(2007)、アジア通貨危機と「山一・北拓ショック」(1997)、ブラックマンデー(1987)などの前例がある。幸いなことに今年の為替市場はおおむね大過がなく、株価は日米ともに好調に推移している。残り1カ月で何か波乱があるとしたら、たぶんビットコインだろうね。

あらためて、2018年はどんな年になるのか。エコノミスト稼業としては、この12月は勝負どころである。来年向けの飯のタネ、「2018年の経済展望」を完成させなければならないのだ。同業者の間では、すでにこんな会話が飛び交っている。

問題は2018年ではなく、2019年?

「2018年は心配ないよ。海外経済がいいから。今はとっても久しぶりの輸出主導型の回復局面だね。特に半導体関係が驚くほどいい」

「個人消費も、言われているほど悪くはない。10月の総選挙でも、『回復の実感がない』とは言ってだけど、『景気が悪い』と嘆いている人はほとんどいなかった」

「2018年度の税収見込みは58兆円超で、1991年度の59.8兆円以来。文字通りバブル期以来の好調さだ。もっともこの間に社会保障費などの歳出が増えちゃったので、財政赤字の拡大は止まらないんだけど」

「2018年は国政選挙の予定もない。問題はその次の2019年なんだよなあ。再来年は統一地方選挙(4月)と参議院選挙(7月)が必ず重なる亥年。しかも10月には消費税の増税(8%→10%)が控えている。東京五輪関連の建設需要も一段落しているだろう。そのタイミングで日銀が出口政策へ、てなことになったら大変だよ」

「2018年はいいけど、19年が怖い。できれば来年中にやっておきたいことも、どんどん19年に先送りされている。畏れ多いことながら、改元だって本当は2018年末にやってくれれば西暦との換算が楽になるのに、2019年5月1日からになっちゃったからなあ」

「安倍首相が意欲を見せている憲法改正も、来年いっぱいは国会で議論するだけらしい。2019年の通常国会で発議して、参院選と併せて国民投票を行うんだとか。アジェンダが多過ぎて、今から2019年が怖くなるよ」

つまり「先憂後楽」ならぬ「先楽後憂」。2018年はとりあえず心配が少ない。その代わり、2019年は保証できませんよ、ということになる。

もっとも当「市場深読み劇場」読者からは、「そんな先のことはいいから、目先のマーケットを予測しろ」との声があるだろう。ようがす。予想しやしょう。その代わり、投資は自己責任でお願いしますよ。

まずは直近の米国市場だが、上院では税制改革法案がヤマ場を迎えている。ここまで来たからには通るだろうし、下院法案との調整も何とかなると見る。政治とは妥協の技術なり。それはもちろん、米国経済にとってグッドニュースであるし、トランプ大統領にとってはほとんど初めての内政上の成果となるだろう。

ただし株価への影響はネガティブかもしれない。それというのも、米国の株式市場は昨年11月のトランプ当選の衝撃以来、「減税期待」で上げ続けている。どうせなら減税が決まった後に株を売って、手取りの利益を厚くしたいのが投資家の人情というもの。ゆえに減税が決まったら株を売って利益確定、「期待で買って現実で売る」となる公算が大である。レーガン減税のときも、株は売られた故事があることを指摘しておこう。

日本の株価は、バブルと呼ぶには気が早すぎる

逆に日本市場の先行きは明るい。11月末時点の東証1部時価総額671兆円は、バブルのピーク期であった1989年12月末の611兆円を約1割も上回っている。と言うと驚く人が居るかもしれないが、これを当時の名目GDPと比較してみると、1989年末のGDPは415兆円なので時価総額は47%増しであった。一方、現在の時価総額は、名目GDPの546兆円と比較すれば23%増し。若干高めではあるけれども、バブルと呼ぶには気が早いだろう。

「えっ、でもあのときの日経平均は3万8915円もあったのじゃ?」と思ったあなた、それはその通りなのだが、日経平均という指標は2000年の銘柄入れ替えによって、それ以前との連続性がかなり壊れている。はばかりながらこの点は、日本経済新聞社に忖度して多くのエコノミスト、ストラテジストが沈黙するところである。しかるに日経平均という指標は、2000年以降は有効であるけれども、それ以前との比較は時価総額を使う方が賢明だ。「日経平均はバブル崩壊後の最高値をつけて…」みたいな記事は、ふふんと笑い飛ばす方がよろしかろう。

おそらく日経平均2万2000円台の株価は、多くの国内投資家にとって「こんな高値じゃ怖くて買えない」水準であろう。外国人投資家が、日本株を「持たざるリスク」を意識して目をつぶって買い進んでくると、思わず売り浴びせてしまう。結果として投資家のキャッシュポジションが高まっているので、さぞかし今年の年末商戦では高額商品が売れることだろう。

とはいえ、筆者の結論は「米株はベア、日本株はブル」。以下にご参考までに、最後に2018年の主要日程を掲げておく。

<2018年の内外主要日程>

・平昌冬季五輪(韓国、2月9日〜25日)→北朝鮮問題はどうなるか?

・中国全人代(3月上旬)→第2期習近平体制の政府人事が確定

・ ロシア大統領選(3月18日)→偶然?「クリミア併合4周年」の日に実施

・ NAFTA再交渉の期限(3月末)

・「ポスト黒田」?(4月8日)→日銀総裁の後継人事。続投説が濃厚

・G7サミット(6月8-9日)→カナダのケベック州、シャルルボアで開催

・FIFAワールドカップ(ロシア、6/14〜7/15)→サムライブルーに期待

・「平成」の次の新元号公表(6月頃?)

・メキシコ大統領選挙(7月)

・ リーマン・ブラザーズ社倒産から10年(9月15日)

・安室奈美恵引退(9月16日)

・自民党総裁選(9月中)→「安倍3選」か、それとも「岸破聖太郎」か?

・明治150年記念式典(10月)

・米中間選挙(11月6日)→上院は100議席中34議席が改選(民主党25対共和党9議席)。下院の435議席(共和党240、民主党194)は全数改選

・ APEC閣僚会議(パプアニューギニア、11月12日〜18日)

・東アジアサミット(シンガポール、11月?)

・TPP11署名式(期日未定)→大筋合意から各国批准、2019年発効へ?

・G20サミット(アルゼンチン、期日未定)→2019年は日本開催

ここから先は、競馬ファンのみ御用達のコーナーとなる。

今週末はチャンピオンズカップ(12月3日、中京競馬場11R)。かつてはジャパンカップダートと呼ばれ、ダート馬の世界一決定戦という触れ込みであった。ところが海外からの参戦が少ないものだから、2014年にはとうとう国際招待制を廃止することになり、日本一決定戦に仕切り直しをした。場所も阪神から中京競馬場に移して、今年は4回目である。

過去3回分のデータをひも解くと、とにかく荒れる。2015年なんて、12番人気―3番人気―5番人気で3連単が31万円でしたからな。中京競馬場1800mは高低差もあって癖のあるコース。人気を見ると、サウンドトゥルー、テイエムジンソク、アウォーディーの3頭が堅そうだが、おそらくその通りには来ないのではないか。

ついでに言えば、今回は優勝請負人ミルコ・デムーロ騎手が騎乗しない、というのも悩ましい。何しろ先々週のぐっちーさんのように、「困ったときのミルコ馬券」で取っちゃう人もおりますからなあ。

ジャパンカップダートは、欲張らずゴールドドリームで

そこでどうするか。悩ましいところながら、距離は違うものの、同じくダートのG1競争だった、今年のフェブラリーステークス(2月19日、東京競馬場11R、距離は1600)の覇者、ゴールドドリームを指名してみよう。最近はドバイ、大井、盛岡と「3連敗」しているので、程よく人気が落ちているのがかえってありがたい。そして鞍上は名手ライアン・ムーア騎手。1年を通じて日本で騎乗しているわけでもないのに、11月25日には、なんと1日6勝を挙げてJRA通算100勝を達成している。そろそろG1勝ちが来ても不思議はないところだ。

当日は欲張らずに複勝で十分。あるいは人気3頭のうち、調子の良さそうな馬にワイドで流すのも面白い。目指すは12月24日の有馬記念に向けての自己資本増強だ。酉の市に参ったご利益で「商売繁盛!」と行きたいところである。