北朝鮮が米本土を射程に入れるとみられるICBMの発射に踏み切った。米国と韓国は4日からステルス戦闘機を含む約230機が参加する大規模合同空中演習を予定しており、朝鮮半島情勢は一段ときな臭くなってきた。写真は北朝鮮・平壌。

写真拡大

2017年12月1日、北朝鮮が11月29日、75日ぶりに弾道ミサイルを発射した。米本土が射程に入る大陸間弾道弾(ICBM)とされる。米国と韓国は4日からステルス戦闘機を含む約230機が参加する大規模な合同空中演習を予定。予防的先制攻撃の布陣ともみられ、朝鮮半島情勢は一段ときな臭くなってきた。

北朝鮮の朝鮮中央テレビは打ち上げから約9時間後、「重大報道」として、新型のICBM「火星15」の発射に成功したとの政府声明を伝えた。報道は「米全土を攻撃でき、超大型重量級の核弾頭装着が可能」と誇示。現地指導した朝鮮労働党の金正恩委員長は「核武力完成の歴史的大業、ミサイル強国の偉業が実現した」と宣言したという。

韓国軍などによると、ミサイルは高角度で発射して飛距離を抑えるロフテッド軌道で打ち上げられ、過去最も高い約4500キロまで上昇して約960キロ飛行。53分後に日本海の青森県西方約250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。通常の角度で発射された場合、射程は約1万3000キロと推定され、ワシントンやニューヨークなど米東海岸にも届く。米本土攻撃がますます現実味を帯びた形だ。

一方、米韓両軍は航空機約230機が参加する大規模合同空中演習「ビジラント・エース」を4〜8日に実施する。米軍は空軍と海軍、海兵隊から約1万2000人の兵力を投入する方針で、米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22を6機、F35Aを3、4 機派遣する。6機のF22が一度に朝鮮半島に展開するのは初めてだ。F22とF35Aなどは沖縄・嘉手納基地など在日米軍基地から発進する。

韓国メディアによると、在韓米空軍司令部は演習について「実戦的な空中戦訓練で、米韓の相互運用能力や戦闘効率性を高めるための訓練」とだけ説明。詳細を明らかにしていないが、精密打撃兵器を利用して北朝鮮の指導部や核・ミサイル施設を攻撃する演習が含まれるとされる。過去に例のない規模の合同空中演習は北朝鮮に対する大きな軍事的圧力になりそうだ。

米国は戦略兵器の朝鮮半島巡回配備を拡大・強化することで韓国と合意。11月11〜14日に原子力空母「ロナルド・レーガン」「ニミッツ」「セオドア・ルーズベルト」の3隻を日本海に同時派遣して日米、米韓の合同訓練を繰り広げた。

これに続く矢継ぎ早の空中演習は北朝鮮のミサイル発射に対抗して空軍戦力で圧倒していることを示す狙いで、米国は軍事力を背景に外交と経済制裁で最大限の圧力をかけ、北朝鮮に政策転換を促す方針は維持する構え。朝鮮半島を舞台にしたチキンゲームは、一触即発の危機をはらんでエスカレートしつつある。(編集/日向)