純丘曜彰 教授博士 / 大阪芸術大学

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 年末年始の繁華街、飲食店からホテルまで、やたらそこら中にクリスマスツリーだの、門松だのを見かける。そうでなくても、生花や観葉植物がテーブルはもちろん、パーティ会場、廊下やエレベーターホールの隅々まで。さらには、近頃、ショッピングモールの屋上庭園だの、公共公園の温室カフェだの。テレビ局なども、スタジオは花や植物だらけ。こんなところに置いて、どうするの、というようなところまで。

 いやいやグリーンが多いって、いいですよね、と、一般の人は、おめでたく考えるかもしれない。が、裏がある。次の資料を見てもらいたい。

大阪府暴力団排除条例適用事例

https://www.police.pref.osaka.jp/05bouhan/boutai/b...

  • 生花店経営者による暴力団への利益供与事案
    生花店を営む事業者は、事業のトラブルの防止及び解決に暴力団の威力を利用するため、暴力団山口組傘下組織幹部に門松を販売した上、同門松を前記組織幹部が指定する場所に設置するなどの役務を供与し、暴力団の威力を利用する目的で財産上の利益及び役務を供与したもの。(平成26年6月 事業者及び山口組傘下組織幹部に勧告書を交付)
  • 造園業者による暴力団への利益供与事案
    造園業を営む事業者は、事業におけるトラブルの防止及び解決に暴力団の威力を利用するため、暴力団山口組傘下組織組員が飲食業を営む者から植木の販売名目にみかじめ料を徴収することを知りながら、前記組員に植木を販売したうえ、同植木を前記飲食店に設置するなどの役務を提供したもの。(平成25年10月 事業者及び山口組傘下組織組員に勧告を実施)
  • 造園業経営者による暴力団への利益供与事案
    造園業を営む事業者は、暴力団山口組傘下組織幹部が盆栽等の販売名目にみかじめ料を徴収していることを利用する目的で、前記組織幹部に盆栽等を販売した上、同盆栽等を前記組織幹部が指定する場所へ設置するなどの役務を供与し、暴力団の威力を利用する目的で財産上の利益及び役務を供与したもの。(平成25年5月 事業者及び山口組組織幹部に勧告書を交付)
  • 物品製造・販売会社による暴力団への利益供与事案
    物品製造・販売業を営む事業者は、暴力団の活動を助長等することを知りながら、暴力団山口組傘下組織幹部から、盆栽1鉢を市場価格を著しく超える金額で購入し、相当の対償のない財産上の利益の供与をしたもの。(平成24年6月 事業者、山口組傘下組織幹部に勧告書を交付)


 いまどきの暴力団は、おらおら、みかじめ料、よこせや! なんていうような、乱暴な言動はしない。もっとまっとうなビジネスを装う。その典型が、植物リース。あくまで生花や観葉植物のレンタル料として、毎月、法外なカネを店からせしめる。そのネタを提供し、配達や交換の実務をやっているのが、怪しい造園業者や生花店。リース業者(じつは暴力団)に言われたところに、花や植物を持っていって、言われたとおりに取り換える。なんの後ろめたいところもございません、ただのまっとうな花屋、植物屋でございます、というフリをしているが、ようするに、暴力団の使いっ走り。

 とはいえ、よくある花や植物だと、相場というものがある。それを外れれば、「市場価格を著しく超える金額」による利益供与として、すぐに摘発される。で、相場の立たないような珍しい花や植物を使う。クリスマスツリーや門松も、縁起モノの御祝儀相場。特別なものを仕立てて、むちゃくちゃな価格で買い取らせる。そういうのを準備するのが、怪しい造園業者や生花店の裏稼業。

 警察も立件が難しい。だから、はびこる。暴力団と怪しい造園業者や生花店はWINWIN。飲食店やホテル、テレビ局も、経費で落とす。つまり、利益を圧縮して、納税額を減らすことができる。だから、さして損もしない。言わば、暴力団と植物屋による税金の掠め取り。さらに、地方自治体も、観光振興だ、インバウンドだと、自分の部署でガンガン予算を消化して、足りない足りない、もっと増やせ、と、上に折衝。

 連中からすれば、植物なんて、しょせんカネの依り代。枯れようと、痛もうと、知ったことじゃない。むしろ、どんどんダメになってこそ、次のでカネを引き出すことができる。だから、いったん置いたら最後。季節ごと、毎年、毎年、いいカネづる。

 連中は、めざとい。ちょっと景気のいい地元の会社が、新社屋に移るとなったら、すぐすり寄ってくる。地方自治体が、地区の再開発をする、新しい公園を作る、新しい水族館や図書館などを作るとなったら、自腹で大金を切ってでも、善意のボランティアのような顔をして、恩を売る。だが、やつらを入れたら最後。その後、永遠にカネを抜き取られ続ける。

 もちろん、まともな造園業者、生花店だって、いくらでもある。きちんと毎度、競争入札すればいいだけのこと。いや、でも、あれは相場が立たないような珍しい植物なんで、などと、担当者が言い出したら、キックバックだか、葉ッパやクスリだかを貰って、向こう側に魂まで吸い取られてしまっていると疑った方がいい。(大麻、覚醒剤、造園業、生花店、などで検索すると、やたら逮捕者が多くて驚く。)

 たかが植物と侮るなかれ。この問題は、暴力団排除のコンプライアンス(法令遵守)として、もはや総務部、法務部の喫緊重大案件。地方自治体でも、地元の議員や市民がしっかり監視していないといけない。反社会的勢力と関わっている、といって摘発され、世間に名を晒されてからでは、遅い。



by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka. 大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。最近の活動に 純丘先生の1分哲学vol.1 などがある。)