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”雪国ガストロノミーツアー”の第二幕では、いよいよ自分たちで収穫した食材を、メインダイニング「むらんごっつぉ」でご馳走に仕立ててもらう。この日、この時だけの食材を使った、一期一会の美味しさの体験が、ゲストの心に残る特別なおもてなしとなる。

キッチンでは、先ほど収穫したキノコがきれいに下ごしらえされて、籠に盛り付けられていた。シェフが一品一品、説明してくれながら、キノコたちを手際よく調理していく。調理に使用するのは、口当たりがまろやかな湯沢町で唯一飲泉できるという温泉水「神水」と、その水でとった昆布とカツオの出汁、昔ながらの製法で醪から醸造された無添加の醤油などだ。ミニマルな調理法によって、素材の美味しさを巧みに引き出していく。

(写真左)美しいきのこや不思議な形のキノコなど、市場に出回らない天然の山の恵みだ。

コースメニューは、収穫したキノコを異なる味わいで仕上げた先付3種にはじまり、地野菜と合わせた炊き物など、さまざまなバリエーションでキノコの豊富な旨みを堪能できる料理が続く。メインディッシュには、魚沼のブランド豚である妻有ポークのローストが登場。シェフが目の前でバーナーで炙って、一皿ずつ取り分けてくれる。ジューシーな旨みが凝縮された妻有ポークのローストにも、キノコのバターソテーが添えられていて、もちもちとしたキノコは、噛みしめると味わい深く、肉の旨みにも負けない食べ応えを感じさせる一皿だった。締めは、土鍋で炊き上げた「キノコご飯」。お碗は「キノコたっぷりのけんちん汁」と、まさしくキノコ尽くしのご馳走を堪能した。

1. 料理デモンストレーションでは、シェフ直伝キノコのオリジナルレシピも教えてもらえる。 2. 調味料の多くも、地元魚沼で培われたもの。1F「んまや」で購入可能なものもあるのでぜひチェックを。 3. 「キノコ3種の先付」左から:ナメコのじゃこ炒め、ムキタケのマリネ、スギエダタケの胡麻和え4. 「妻有ポークのロースト」

料理のお供には、元魚沼の日本酒や氷室貯蔵で熟成されたワインのマリアージュがまた格別だ。「上善如水」で知られる地元湯沢の白瀧酒造の特別醸造酒など、地酒を知り尽くした利き酒師がセレクトするお酒のほか、年間800本しか造られない「HATAGO井仙」と鶴齢のオリジナル「旅籠酒」といった希少酒も味わえる。米所なだけに日本酒の味わいは白眉だが、ぜひワインのラインナップにも注目して欲しい。有機農法で育てたぶどうを無添加で醸造したオーガニックワインや、地元新潟県産の 雪室貯蔵で熟成させた珍しい銘柄などが取り揃えられていて、素材の味を活かした料理にはよく合う。土の中・雪の中・地下室などで素材を熟成させることにより、素材の糖度、旨みを引き出す 雪室貯蔵の技術は、まさしく雪国ならではの美食を支えている。

(写真右)地酒をはじめ、オーガニックワインなど選りすぐりのセレクションが揃う。宿オリジナルの限定酒「旅籠酒」は、南魚沼産の五百万石を使用した無濾過生酒ならではの、力強いお米の味が感じられる飲みごたえのあるお酒で、お土産にもおすすめ。

しんしんと冷える夜遅くまで雪国の食を堪能した後は、温泉に浸かったり、部屋でくつろぎ。「HATAGO井仙」にはファミリーからカップル、女子旅など多様な滞在ニーズに応える8タイプの客室が用意されている。温泉宿ならではの居心地の良さと、ホテルのような快適さを備えた客室には、露天風呂付和室やモダンな洋室、囲炉裏や茶室など和の風情を楽しめる客室の他、オープンキッチン付きのリビングと大広間付き客室までと多彩だ。それぞれの滞在の形に合わせて部屋を選ぶことができる。

翌朝は、新潟の地元食材で、季節の味、郷土の味が満載の和の朝食が、目覚めたばかりの体にやさしい。何よりも贅沢なのは、地元魚沼産の中でも最高級を産する塩沢地区で育てた一等米、減農薬のコシヒカリ「旅籠米」だ。朝と昼、店内にある釜で食べる直前に炊き上げられている。副菜に添えられた、香り、歯ごたえが格別な自家製の野沢菜漬や無添加の納豆などが、甘味と粘りのある出来立てのお米に絶妙に合う。早春から晩秋の季節に収獲された山の恵みを、塩漬けや乾燥品、発酵食として蓄えてきた、雪国の人々の知恵の結晶を思わせる朝食に、雪国の幸せな朝のひと時を感じた。

今回、「HATAGO 井仙」の“雪国ガストロノミーツアー”に参加して、雪国の食文化の深淵なる一つ目の扉を開いた心持ちがする。自然の営みから生まれる食材の旬の美味しさが、着飾った料理を凌いで心身の奥深くに響くものであることを、雪国の人々はよく知っている。ただ食べて美味しいかどうかだけが、美食のすべてではない。食材を育む大地、そしてその自然と真剣に向き合って生きる人々の技、その格闘と連携の果てに、目の前の美味しい一皿がある。一皿の向こう側をのぞいてみれば、あなたの美食の世界は、これからも無限に広がっていくだろう。”雪国ガストロノミー”への扉は、まだ開かれたばかりだ。

越後湯澤 HATAGO井仙
新潟県南魚沼郡湯沢町大字湯沢2455
Tel:0120-85-0039(受付時間 9:00〜18:00)
客室数:16室
チェックイン: 14:00〜、チェックアウト 〜11:00
アクセス:JR越後湯沢駅 西口ロータリーすぐ前料金:1泊2食2名1室 1名あたり 16,000円〜