「番組開始の1982年から、200回以上は出演していると思いますよ。100回分くらいは覚えてます」

 番組の常連として『タモリ倶楽部』に欠かせない男が、なぎら健壱だ。

「やっぱり手応えがあった回は記憶に残ってるなあ。『北斗星に乗る』(2011年)は本当に傑作だったと思います」

 この放送では、ビールを買いに浴衣姿のままホームに降りたなぎらを残し、北斗星が出発してしまうという奇跡のハプニングがあった。

「自分の持ち込み企画では『真・おやじ道』(2004年)が印象的ですね」

 浅草の洋品店で、誰も買わないような服でコーディネートしてみるという企画だ。番組を知り尽くす男は、『タモリ倶楽部』の魅力をこう分析する。

「アカデミックな企画、ハチャメチャな企画、実験的な企画の3パターンで、どれもバカバカしいことを、真剣にやるのがポイントです。普通、バカなことはふざけてやっちゃいますから」

 なぎらとタモリとの間には、不思議な “縁” があるという。

「もしかしたら、僕はいちばん古い共演者かもしれません。自然に楽しむ感覚は、彼のデビュー前から赤塚不二夫さんたちといっしょに遊んできたなかから生まれたものですから。こうすれば相手が喜ぶ、というベッタリした関係でなく、つかず離れずの感覚があると思います」

 タモリの番組への愛情も、たしかにベッタリしていないような……。
(週刊FLASH 2017年10月17・24日合併号)