back number、新曲「瞬き」で到達した新境地 “冬のラブソング”の変化を追う

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 10代、20代を中心に人気を集めるバンド・back number。清水依与吏(Vo/Gt)による切ない歌詞とノスタルジックでキャッチーなメロディが多くのリスナーの共感を呼んでいる理由として挙げられる。とりわけJR SKI SKIのCMソングに起用された「ヒロイン」(2014年)以降、数々の冬の名曲、“冬うた”を生み出してきた。

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 恋の始まりを歌う「ヒロイン」に続いてリリースされたのが「クリスマスソング」(2015年)。幸せな空気に満ちたクリスマスの中、相手になかなか思いを伝えられずにうじうじと悩む主人公を描いている。決してかっこいい主人公ではないが、クリスマスのカップルを羨むようなリアルな心情もさらけ出しているからこそ共感できるのだろう。サウンド面に関しては、サビに向けて徐々に盛り上がるJ-POPらしい進行と、クリスマスムードを演出する鐘の音を入れたゴージャスなアレンジもポイントだ。

 続く2016年11月に発売された「ハッピーエンド」の歌詞では、物語の設定が明確に冬であることは示されていない。しかし、物寂しいメロディやサビの清水の訴えかけるような歌声(Aメロからの変化に注目)、“ポケット”や“枯れる”といったフレーズが人肌恋しくなる冬の寒さを思い出させる。「ヒロイン」「クリスマスソング」と異なり女性目線で歌われる歌詞は一層の切なさが感じられ、back numberの冬のラブソングは年を追うごとに深みを増している。

 そして約1年ぶりのリリースとなる新曲「瞬き」。同曲は、佐藤健と土屋太鳳がダブル主演を務める映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(12月16日公開)の主題歌だ。「なるべく体温を感じる音と血の流れを感じる言葉で構築された力強いものになるよう心掛けました」という清水の言葉通り、“幸せ”を書いた歌詞はこれまで以上に彼の魂がこもっている。もちろんそれは音にも表れており、<幸せとは>という歌いだしにはギターもドラムもなく、清水の歌声だけが響く。伸びやかな清水のボーカルを生かしたキャッチーなサビに向けて、強いギターやドラムで徐々に盛り上げていく。さらにストリングスが入ることで、まさに全身全霊の一曲という印象を受ける。

 「瞬き」はアレンジや構成など、これまでのback numberの“冬うた”と共通する部分もあるが、大きく異なるのは曲の中に登場する主人公が格段に成長していること。先に挙げた3曲が目の前にいる恋人(好きな人)を思う歌だったとすれば、「瞬き」は<誰にもなれなかったけど/ただ今日も僕を必要だと思ってくれたら>と人生をともに添い遂げようとするパートナーに向けた曲のように聞こえる。

 “君に好かれる僕になりたい”という「ヒロイン」や、“好きなんて言えない”ともどかしい思いを描いた「クリスマスソング」から、“そばにいてほしい、大切な人を守りたい”と歌う「瞬き」へ。清水が「瞬き」について「1年前だったら絶対歌ってないことが目白押しだなって、今となっては思います」(参考:rockin’on.com)と語っているように、back numberはこの曲を通して“冬うた”、さらには“ラブソング”の新境地にたどり着いたのだろう。(村上夏菜)