【パナソニック】投資再拡大で問われる学習効果とリスク管理

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テレビでの敗戦をEV(電気自動車)で取り返す──。パナソニックが再度攻勢に転じようとしている。巨額赤字の元凶となったプラズマディスプレーパネルへの過剰投資の経験は生かされるのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)

「創立100周年となる10年後には、世界一のエレクトロニクスメーカーになる」──。大坪文雄・パナソニック社長(当時)がそう宣言したのは、前年度決算で22年ぶりに当期純利益が過去最高を更新した2008年の秋だった。だが、悪夢はそのわずか数カ月後に始まった。

 総額で約6000億円を投じたプラズマディスプレーパネル(PDP)への投資が裏目に出て、08年度と09年度、そして11年度と12年度の4期で計2兆円にも及ぶ巨額の当期損失の計上を余儀なくされたのだ。

 あれから約10年。大出血を伴うリストラを経て、パナソニックは再度高みを目指す。18年度に営業利益4500億円、当期純利益2500億円という10年越しの過去最高水準を狙っているのである(図(1))。

 現在のパナソニックは10年前の“民生エレクトロニクス”企業とは異なる企業に変貌している。

 12年6月に就任した津賀一宏社長は巨額赤字の元凶であるPDP事業からの撤退と、B2C(一般消費者向け)事業からB2B(法人向け)事業への転換を打ち出した。その変化は収益構造を見れば明らかだ。09年度に三洋電機を買収した直後の時点では、テレビ・携帯電話などのデジタル家電のデジタルAVCネットワーク社、白物家電のアプライアンス社による二つのセグメントで連結営業利益1905億円の80%を占めた。

 16年度、この構造は逆転。7年前とは逆にB2B事業が連結営業利益全体の80%を占める構造に変わった。車載部品事業と三洋から引き継いだ二次電池事業、それに電子部品・材料などのインダストリアル事業から成るオートモーティブ&インダストリアルシステムズ(AIS)社、旧松下電工の住宅設備関連事業から成るエコソリューションズ社が利益をけん引する。屋台骨を支えてきたAVCネットワーク社は、17年4月にはその名称すらも消えた(図(2))。

 事業売却により、ピークの09年度には8兆3000億円あった総資産は5兆2000億円にまで圧縮された。9年前に大坪元社長が目指した“世界一のエレクトロニクスメーカー”ではないものの、“利益を出せる業務用機器メーカー”に変わったのだ。

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