数字の下落は不正問題よりもフリート販売の影響が大きい

 日産自動車の完成検査不正問題は、その後の神戸製鋼や三菱マテリアルなどの不祥事と合わせて、“モノ作り大国・日本”の崩壊のはじまりとも言っていいほど、組織の硬直化が顕在化する日本の製造現場が、深刻な問題を孕んでいることを露呈したといってもいいだろう。

 自販連(日本自動車販売協会連合会)の統計によると、2017年10月の日産の登録車販売台数は1万2426台で対前年比48.4%となった。メディアの多くは「完成検査不正問題の影響で半減した」などと報じている。確かに販売現場には今回の問題による悪影響は出ているようだが、統計数字の半減を鵜呑みにするほどは影響は出ていないとも見ることができる。

 日産は昨年秋、ノートのマイナーチェンジと同時に“e-POWER”を追加設定したあたりから、ディーラー試乗車やレンタカー、カーシェアリングなどフリート販売の積極化で販売台数の積み増しを行い、販売ランキング上位入りを積極的に仕組んできたとされている。ノートより前のタイミングでフルモデルチェンジを行ったセレナも、同様の動きが統計数字などから見ることができた。販売台数を積み増ししてまで販売ランキング上位に食い込ませることで、“売れている”あるいは“人気の高い”クルマとして消費者にアピールすることが大きな狙いと考えていいだろう。

 このようなフリート販売の積極化もあり、完成検査不正問題が発覚するかしないかのころには、2017年のひと夏を北海道でレンタカーとして過ごしたノートやセレナ(初度登録から1年も満たない現行車)が“旭川”や“札幌”のレンタカーナンバーのまま、関東圏の中古車販売店が仕入れているのを筆者は確認している。

 ノートe-POWERは全輪駆動(FF)のみとなるので、冬の北海道ではレンタカーとしてのニーズはほぼない。セレナとともにFFのレンタカー車両はもともと夏季だけ使用し、その後は中古車として短期間で転売しようとしていたようだ(レンタカーを短期間で入れ替え続けているということにもなる)。

 つまりもともと販売主軸車種のノートやセレナを中心にフリート販売やディーラーなどでの自社登録による未使用中古車の中古車市場での大量流通など、いわば“自腹を切る”ような形で販売台数の積み増しを行っていたのを、今回の不正発覚で小休止したようなものなので、見た目よりは日産全体での販売への悪影響は少ないようだ。

 もともと車両に決定的な不具合が発生しているわけではない。また不正な完成検査を受けてラインオフされた車両に乗っているユーザーも、初回車検を受けていれば正式な完成検査に合格したとみなされるし、初回車検とリコール改修が重なる場合には、初回車検整備費用が無料になるという話が先走ったこともあり、対象となる日産車ユーザーの多くは今回の問題全体を把握しきれていないというのも現実のようだ。

 ただ2017年10月の販売台数統計だけをみると、トヨタ車の販売台数が際立って多くなっている。車名別登録乗用車販売台数ベスト10では、10車中8車がトヨタ車(残り2車はホンダ車)という異例の結果となっている。

 確かな裏付けはないものの、日産だけではなくスバルでも完成検査不正問題が発覚しているので、この時期に新車への代替えを検討していた消費者の一部のなかで、当然問題の当事者である日産車などの購入は避けるとしても、全体的に「やっぱり国内販売トップのトヨタだな」という消費者心理が働いたことは、統計結果から見てもあながち言いすぎとはいえないだろう。

 日産は問題発覚後一時的に生産停止を行っていたが、その間も新規の受注を続けていた。そのため今後日産車を購入し、購入車両が工場へのオーダー車両となった場合には、納期遅延が顕在化する可能性が高いので納期の確認をしてから商談を進めたほうがいいようだ。