帝国データバンクは28日、後継者問題に関する企業の実態調査結果を発表した。全国・全業種を対象に後継者の有無を集計したところ、66.5%にあたる3分の2の企業が後継者不在であり、依然として後継者問題が深刻な状況にあることが判明した。

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 地域別では、過去調査と同様に「北海道」が不在率74.0%と最も高く、全地域のなかで不在率の低い「四国」や「北陸」においても調査以降最も高い不在率になっている。

 業種別では、「サービス業」が71.8%と最も高く、不在率が一貫して高い「建設業」とともに、後継者問題への対応の遅れが見られている。

 売上企業別では、10億円以上の全規模で不在率が低下。中堅〜大企業では事業承継意識が高まる一方で、年商10億円未満の企業では平均を上回る不在率となり、承継対策が進んでいない実態が見られるという。

 「後継者あり」の企業を分析したところ、「子供」が構成比40.5%と大幅に上昇。「非同族」も31.4%と高水準を維持しており、後継者候補の3人に1人は同族外の人物が選ばれているという。

 今回の調査においても、経営者が「子供」や「親族」への承継を望む思いは根強いという。とりわけ同族承継企業においては、M&A等による非同族への事業承継意識は低く、後継者選定に関して選択の幅を広げられる経営者意識の改革や政策面でのフォローが必要とされている。

 中小企業庁も後継者不足に悩む企業を支援すべく「事業承継ネットワーク」を18年までに整備する方針を掲げている。中小企業・小規模事業者では、後継者不足を理由に黒字廃業をするケースが増加していることから、経営支援員らによる出張診断を通じて課題を掘り起こすとしている。

 転職サービスを手掛ける「ビズリーチ」も28日、M&Aで後継者問題を解決するサービスを開始した。これまでも採用支援面において企業承継をサポートしてきたが、今後はM&Aによるサポートも実施することで、後継者不足に悩む経営者の選択肢を広げていきたいとしている。

 経済産業省の推計では、後継者問題等による廃業により、25年までの10年間で約650万人の雇用と、約22兆円のGDPが失われるとされている。民間では後継者問題支援に乗り出す企業やサービスが増えていることから、今後は国と民間双方による多様なサポートに期待をしていきたい。