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Amazon Web Servicesの年次イベント「AWS re:Invent 2017」が11月27日に開幕した。同イベントでは大きな発表が行われるため、例年、注目を集めている。28日(米国時間)に基調講演が行われたが、今年はどんな発表が行われたのだろうか。

○業務、AI利用など、使い分けが求められるクラウド

クラウドプラットフォームの快進撃が止まらない。ビッグプレーヤーがこぞってこの分野の開拓に取り組んでいるが、一歩先んじて開発とサービスの提供を進めてきたAmazonが依然としてリードを保っている。どのベンダーも新規サービスの提供に取り組んでいるが、全体として見るとAWSのシェアはほかを大きく引き離している。

AWSが提供しているサービスの数は100を超えている。また、カバーする分野は多岐にわたっており、業務システムから人工知能技術/IoTまで、多くの企業や研究開発がAWSの提供するサービスなしには存在できない状況にある。

とはいえ、業務システムをクラウドプラットフォームに移行することは、必ずしも正解とは言えない。クラウドプラットフォームは初期投資、保守にかかる人件費や維持費用を抑えることができるほか、スケーラビリティの高さ、ハードウェア障害によるトラブルの低減などの利点があるが、利用料が発生する。

契約内容にもよるが、利用するコンピューティングリソースが増えれば利用料もかなりのものになる。クラウドプラットフォームに移行したことで、ITインフラにかかるコストが増えたというのはよく聞く話だ。つまり、業務システムにおいては、ケースバイケースでの利用がクラウドプラットフォームとの賢い付き合い方である。

しかし、人工知能技術や機械学習技術は、クラウドプラットフォームの活用が必須という状況になってきている。もはやこの分野の開発は、専門家以外の開発者がクラウドプラットフォームなしに取り組むのはかなり難しいと言える。

○AIや機械学習の利用を支えるクラウド

さて、最近販売されているスマートフォンのほとんどが音声認識機能と連動している。これにより、天気予報の表示、スケジュールの追加と確認、アラームのセット、経路検索とナビゲーション、音楽の再生、メッセージの送信や電話など、多くの操作を音声で行うことができるようになっている。

音声操作を活用するかどうかは場所にもよるし(誰もいない自分の部屋なら音声でスマートフォンを操作しても、オフィスや電車の中で同じことをするのは難しい)、世代で利用状況に差があるが、今後活用シーンは広がる見通しだ。

こうした技術をオンプレミスで活用していくのは、かなり難しいところがある。人工知能技術や機械学習技術は大量のデータを処理して学習させる必要があるし、利用するのは簡単でも、利用できる状態まで学習させるのは難儀である。当然、精度を上げようとすればノード数を増やす必要があり、大量のコンピューティングリソースが必要になる。これを企業で抱えるというのは、費用の面で難しいところがある。

そこで、クラウドプラットフォームの出番となる。人工知能技術や機械学習技術に長けた人材を抱えたベンダーが研究開発チームを設けてプラットフォームを開発し、ユーザーに対してAPIを提供する。ユーザーはAPIを介して人工知能技術や機械学習技術を利用できるようになり、自前で用意する場合と比べると費用と利便性の面でクラウドプラットフォームにアドバンテージがある。

もちろん、将来的には状況が変わる可能性もある。クラウドプラットフォームはインターネットに接続していることが大前提だが、クラウドプラットフォームに接続できない状況で使いたいというニーズは常に存在している。すでにデバイスの中に人工知能技術を詰め込んで、インターネットへの接続を不要にしているデバイスも存在しており、こうしたデバイスは今後もずっと必要になるだろう。

オンプレミスやモバイルデバイスでインターネットを使わずに人工知能技術が利用できる未来もやってくると考えられるが、その状況はもうちょっと先のことになりそうだ。現段階で考えられるかぎり。お手軽に人工知能技術や機械学習技術を使いたいと考えた場合はクラウドプラットフォームの活用が最も簡単な手段になっている。

○投資を続けるAWSデータセンターインフラストラクチャ

このように、利用が増え続けるクラウドプラットフォームを支える上で必須となるのが、世界中に設置されたデータセンターと内部のコンピュータ、それに太い接続回線ということになる。これらインフラストラクチャを強化し続けることが、クラウドプラットフォームの成長においては絶対条件だ。

基調講演において、Global Infrastructure バイスプレジデントを務める Peter DeSantis氏は、現在進めているデータセンターインフラストラクチャの強化について発表した。当然、日本も強化の対象に含まれており、向こう5年間でさらにリージョンを増やすという。

AWSが世界中のデータセンターおよびそれらを接続する通信回線の増強や強化、提供するクラウドプラットフォームを支えるハードウェアの増強を強調していることは、クラウドプラットフォームベンダーとして当然の流れだ。

基調講演ではそのほか、サステイナブルエネルギーの活用促進やハードウェアを直接利用するベアメタルサービスの提供、セキュリティの強化などにも言及した。

今後は、複数のベンダーが提供しているクラウドサービスを組み合わせてシステムを構築するケースが増えるものと見られる。人工知能技術や機械学習技術の活用は「クラウドプラットフォームを使うべきか」ではなく「いかにクラウドプラットフォームをうまく利用するか」に注力点が移ってきており、今後はこうしたクラウドプラットフォームを利用した多くのサービスやプロダクトの提供が続くものと見られる。