専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第132回

 長いゴルフ人生の中で、何度かチャリティーコンペに参加したことがあるのですが、なんかあまり納得しないというか、いつもモヤモヤしたものを抱えながら、帰ってくることが多かったです。

 チャリティーコンペは大いなる奉仕と友愛精神のもと、参加者を集って開催され、もちろん自らもそれに賛同して出場します。

 そこで、まず参加者全員に義務づけられているのが、チャリティーの「ニアピンコンテスト」というやつです。これは、指定されたショートホールでグリーンに1オンしなかったら、「寄付」という名の罰金を払うというもの。その金額はおおよそ1000円で、1オンした場合でもチャリティーですから1000円を支払うのがマナーとされます。

 あと、大口のチャリティーではプレー後の表彰式で、参加者のみなさんが持ち寄った景品をオークションで競り落とし、その競り落とされた金額が寄付となります。

 ただ、これは一般人の普通のコンペでやると、出し物がせこくて、盛り上がりません。大手ラーメンチェーンの食事券とか、アイスクリームの引換券とか、競り落としたところで実際に食べにいくのか、甚だ疑問です。

 でもここにゴルフメーカーさんや、人気企業のスポンサーが入ってくると、話は別です。人気のドライバーをいくらで競り落とすのか? シャフトはフィッティングして交換可能などと言われれば、「これは、ぜひほしい」となって、結構な盛り上がりを見せます。

 そのほか、ゴルフに関係なくても、温泉旅行の宿泊券などが出品されれば、競り落としてもいないのに、さまざまな妄想が膨らむのか、その場が大いに沸いたりします。

 また、チャリティーコンペの類いで盛況となるのは、芸能人やプロ選手が参加するものです。俗に言う「プロアマ」ですね。

 このときのプレー後のオークションでは、芸能人やプロ選手のサインが入っているゆかりの品が出て、競り落とせば出品してくれた芸能人やプロ選手との記念撮影があったりしますから、場が沈むことはありません。南の島とか、どこぞのへんてこな彫り物であったとしても、高値で取引されたりします。

 出品されるものでわりと多いのは、サイン入りのゴルフバッグやキャディーバッグ、あとはステージ衣装とか、絵画とかでしょうか。絵の価値などさっぱりわかりませんけど、芸能人が大事に持っていたものなら、それを理由にして、オークションの価格はぐんぐんと上昇していきます。

 しかも、芸能人には根強いファンがいて、彼らがチャリティーにも必ず参加して、オークションに出された品も高値で購入してくれます。

 ある社長さんなんか、お目当ての芸能人が参加する「プロアマ」にどうしても出たくて、エントリールートを探しまくって出場にこぎつけたとか。そして、チャリティーオークションではその芸能人が出品したものを、30万円ぐらいポンと出して競り落とし、その場を一層盛り上げていました。

 いやはや、事前にチャリティーゴルフの開催やオークション情報をキャッチするのもすごいけど、それだけ現金を用意してくるのも驚きでした。

 こうして無事にお開きになって、ふと我に返ると、自分が寄付したのはたった1000円だけだったことにあんぐり。もっと寄付したいんですけど、大口寄付者の30万円があるからいいか、などと思ったりします。

 なんというか、遊びながら寄付する行為がどうも精神的についていけなくて……。最初からコンペをしなきゃ、2万円ほどのプレー代を寄付できた気もするけど、でもそれじゃ、ただの寄付でチャリティーにならないし……などと、あれこれ考えてしまうわけです。


気分よく参加できるチャリティーコンペがあるといいのですが...

 そこで、チャリティーコンペを有意義なものとする私案をちょっと考えてみました。

 まず、チャリティーコンペの場合は、主催者があらかじめゴルフ場に割引してもらうとか、通常のプレーフィーに2000円〜3000円上乗せするとかしてコンペ料金を設定し、参加者はそのコンペ料金を支払ってプレーする。そしてその差額、ひとりにつき2000円〜3000円を寄付にする、というものです。

 それなら、知らず知らずのうちに寄付されますから、感覚的には財布に優しく、しかも知らないうちに「いいことをしている」わけですから、幸せじゃないですか。

 あと、「ニアピンコンテスト」も実施するのであれば、最初から参加者全員に1000円ずつ寄付してもらえばいいのです。そのうえで、グリーンを外したときの”罰金”という発想ではなく、うれしい思いをしたナイスオンのした人たちから、ご祝儀として1000円〜2000円を上乗せして寄付をもらえばいいのではないでしょうか。

 寄付することは名誉なことです。だから、ナイスオンした名誉で寄付をする。そのほうが、筋が通っていると思います。

 また、コンペで盛り上がるのは優勝者を予想する賭け事、俗に言う「トトカルチョ」というやつです。ただし、これは違法行為です。例外的に競馬場で1位や2位にくる馬を予想して馬券を買うのは、公営ギャンブルだから問題ないのです。

 ということは、監督官庁にさえ届け出れば、チャリティーコンペなら「トトカルチョ」をやってもいい、という可能性はあります。いや、そういう制度を作ってもらいましょうよ。

 もちろん、税金や寄付金をたんまり払うのが前提です。例えば、総額100万円集まったら、的中者への配当金は20万円ほどで、残りは10万円を税金として納め、70万円を寄付するというのはいかがでしょうか。しかも、的中者への配当金は商品券などにしてスマートに戻すのです。

 チャリティーというのを大義名分として、なんとか例外措置でOKをもらえたりしませんかね。

 まず、手始めにタレントやプロが参加する「プロアマ」などで実施。主催者が出走表を作って枠順を決め、連勝複式で賭けてもらう。チャリティーゴルフの参加者だけでなく、ホームページで公開して全国的に投票を呼びかければ、かなりの人がそのトトカルチョに乗っかってくれるのではないでしょうか。賭けたお金の7割がチャリティーとして寄付されるなら、喜んで参加してくれる人も多いと思います。

 サッカーくじや宝くじ、公営ギャンブルも全部、主催者が儲かる仕組みになっています。ある程度の取り分を保持して、残りを配当金に回しているからです。もちろん、その取り分から、税金や補助金の名目でさまざまな事業にお金は回されます。

 そうしたギャンブル以上に、チャリティーゴルフの「トトカルチョ」は健全です。主催者が儲かることなく、そのほとんどが寄付金に回されますから。

 無論、それじゃあオレも……と、別なところで変な胴元が現れたら困ります。チャリティーゴルフの「トトカルチョ」でも、公認したらナンバーを作って裏をとれるようにして、模倣犯を締め出すのがよろしいかと。

 カジノ解禁も現実的になりつつある昨今、多少射幸心を煽(あお)るゲームでも、チャリティーならば規制を緩めてはいかがでしょうか。しっかりと管理と監視をしてやれば、問題ないと思うのですが……。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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