九州電力はAIを搭載したスピーカーの開発を急ぐ

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 家の中のモノをネットワークでつないで、利便性を高める動きが電力業界で広まってきた。業界の垣根を超えた取り組みなど異業種との連携も目立つ。米アマゾンと米グーグルなどがしのぎを削る人工知能(AI)を搭載したスピーカーの開発に乗り出す動きもある。販売電力量が落ち込む中、家庭向けサービスの拡充で全体の底上げにつなげる。

 7月にさまざまな業種の企業による連合「コネクティッドホーム アライアンス」が設立。住宅、IT、自動車など11月1日時点で89社が名を連ね、業界横断で住環境のIoTを検討している。電力業界では東京電力ホールディングス、中部電力、東北電力が参加する。

 東電はこの枠組みと別にソニーと家庭向けのIoTで連携して、サービス展開を始めている。センサーを活用して、エアコンの稼働状況やドアの開閉状況を外出先でもスマートフォンで把握できる。

 中部電力もAIを活用したサービスの実現を急ぐ。12月には家庭のエアコンを自動制御し、電力使用量を抑制するための実証実験を都市再生機構(UR)などと始める。

 アライアンスには加盟していないが、関西電力はインテルが実施する家庭向けIoTサービスの実証試験に参画。九州電力はAIを搭載したスピーカーの事業化を目指す。声で家電を操作できるほか、防犯機能も備える仕様を想定する。

 電力各社がスマートホーム分野に本腰を入れる背景には販売電力量の落ち込みがある。大手10電力の2017年4―9月期の販売電力量の合計は概算で3720億キロワット時だった。前年同期に比べて約4%落ち込んだ。10電力の内、北陸電力を除く9社が減少した。

 「電力自由化に伴い顧客の離脱が止まらず、新たな収益源の模索が各社の共通課題になっている」(大手電力幹部)。家庭内に入り込めるサービスを提供することで、収益機会を広げる狙いだ。

 とはいえ、スマートホーム分野では米国が先行している。「コネクティッドホーム アライアンス」の設立も日本企業の危機感のあらわれだ。実際、米グーグルや米アマゾンは人とサービスをつなぐ端末であるAIを搭載したスピーカーを今秋に相次いで投入。スマートホーム市場での日本市場攻略の布石を打つ。
 
 電力業界はスピードよりも安全性が重視されてきた。電力各社が、ITというスピード重視の世界でどう立ち回るのか注目される。
(文=栗下直也)