高齢者の増加を背景に、今や慢性的な便秘に悩んでいる人は1000万人を超えるらしい。

 本邦初の「慢性便秘症診療ガイドライン」によると、便秘「症」とは「排便回数の減少による腹痛、おなかの張り、硬便による排便困難、過度の怒責──いきむこと、便排出障害で軟便でもなかなか出ない、残便感でトイレに何度も行く」などの自覚症状があり、検査や治療を必要とするもの、と定義される。

「病的」な便秘と普通の便秘との違いが今一つはっきりしないが、セルフケアを試みても半年以上自覚症状が続くようなら、病院を受診したほうがいいだろう。

 そのセルフケアの一つとしてぜひ取り入れてほしいのが、排便姿勢の改善だ。理想のうんこスタイルは「考える人」である。米クリーブランドクリニックで、「排便造影検査」を受ける人を対象に、いきむ姿勢を検討した成果だ。

 排便造影検査は、直腸からバリウムと小麦粉を混ぜた「疑似便」を入れ、排せつの様をレントゲン撮影するもの。ひどい便秘の原因を調べる際に行われる。

 検査中、「普通の姿勢」で排便できなかった22人(男性5人、女性17人、平均年齢56歳)に「考える人」スタイルで排便してもらい、「普通の姿勢」とで肛門と直腸の角度や恥骨筋の伸びを比較した。

 排便姿勢で一番大切なのは肛門−直腸角だ。直立状態での肛門−直腸角は、恥骨筋によって腸がおなか側に持ち上げられ、ほぼ90度を保っている。つまり便の通り道が出口直前で急カーブし、簡単には漏れない構造なのだ。

 一方、前傾姿勢をとると恥骨筋が背中側へ伸び、肛門−直腸角が120度以上に広がる。それで便がするっと通過できるわけだ。

 実際に本研究でも、通常の座位より「考える人」で肛門−直腸角が広がり(113度vs134度)、恥骨筋がしっかり伸びた。肝心の排便も、22人中11人が「すっきり」できたのである。

 つまるところ、和式トイレなら考えずともこの姿勢になるが、洋式では考える必要があるらしい。慢性便秘の方はご一考を。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)