E-1選手権(旧東アジア選手権)に向けて招集された23名の選手たち。常連メンバーに加え、伊東(柏)や初瀬(G大阪)など、新顔も名を連ねた。写真●山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 E-1選手権(旧東アジア選手権)のメンバーが発表されたね。今回は国内組だけで臨むわけだけど、優勝を狙えるメンバーは揃ったんじゃないかな。故障者や10年ぶりにACLを制してクラブワールドカップ(※UAEで12月6日から開幕)に出場する浦和勢を選べなかったとはいえ、十分戦えるはずだよ。

 なかには初めて選ばれた選手もいたけど、全体的にそこまで驚くべき人選ではなかった。Jリーグで上位争いを演じている鹿島や川崎から多く選ばれるのは当然だ。昨年に自チームの監督と衝突し、その行動を問題視したヴァイッド・ハリルホジッチ監督から“追放処分”を受けた金崎夢生(鹿島)の復帰も、今のパフォーマンスなら納得だね。

 逆に、中位に沈んでいるG大阪勢から最多タイの6名が選ばれたのは、少し違和感がある。井手口陽介や倉田秋、東口順昭、三浦弦太といった常連メンバーに対して、ある程度信頼を置いているのは分かるけど、直近の試合で、代表に名を連ねるだけのパフォーマンスを見せていたかは首をかしげざるを得ない。

 Jリーグでのアピールで言えば、柏の伊東純也は今回のメンバーに選出されるに値するプレーを見せていた。日本代表でどれだけできるのか、少し使って終わるのではなく、しっかりチャンスを与えるべきだと思う。

 とにかく、ある程度呼びたい選手を選べたはずだよ。アジアで勝てなかったら世界には当然通用しないんだし、まして、今回はホームで戦うんだ。ハリルホジッチ監督は、優勝するのが目標と言っていたけど「ノルマ」だよ。

 言うなれば「勝たないといけない大会」。今大会はそういう位置づけにしないと意味はないと思う。来年のワールドカップに向けて、国内組のメンバーを見定めるだけの大会としか考えていないようなら、わざわざA代表が出る必要もない。森保一監督が率いるU-20代表を出場させて強化にあてたほうがマシだよ。優勝以外は負けなんだと、しっかり意識して臨んでほしいね。
 
 もしE-1選手権で優勝を逃すようならば、ハリルホジッチ監督の解任も真剣に考えなくちゃいけない。協会にはそれくらいの覚悟を持ってもらいたいよ。

 実際、ここ数か月の戦いぶりはお世辞にも褒められない。9月にワールドカップ出場権を獲得したあと、10月のキリンチャレンジカップでは、格下のニュージーランド、ハイチを相手に1勝1分という成績ながら、内容では苦戦していた。先の欧州遠征では、ブラジルに完敗し、ベルギーにも勝負どころで差を見せつけられた。

 当然ながら、このままワールドカップに行っても、良い結果を残せるはずがない。もちろん、今大会で優勝したからと言って明るい展望が開けるわけではないけれども、中途半端な結果に終われば「このままで大丈夫か」というムードが立ち込めてくるのは想像がつく。そうなれば、ハリルホジッチ監督の進退問題が一気に再燃するだろう。

 監督を解任すれば莫大な違約金がかかるから協会も二の足を踏むだろうけど、そこは潔く判断すべきだ。

 同じアジアの国で言うと、3大会ぶりにワールドカップ出場するサウジアラビアなんかは、9月にワールドカップを決めてから2度も監督解任に踏み切った。協会と対立して辞任したベルト・ファンマルバイク元監督の後を引き継いだエドガルド・バウサ監督は、11月の強化試合で2連敗して解任されたようだね。

 このサウジの例に限らず、ワールドカップを任せられないと判断すれば、監督解任に踏み切るのは普通のことだと思う。そういう厳しさが、日本にはまだまだ足りないね。そのあたりをもっとシビアに考えていかないと、日本サッカーは強くなれないんじゃないかな。
 10月、11月の強化試合で評価を下げたこともありハリルホジッチ監督にはやや逆風が吹いているけれども、このE-1選手権はそんな嫌なムードを払拭するチャンスにもなる。

 北朝鮮、中国、韓国との3試合は決して楽なものではないにせよ、日本の実力がこの3か国より劣っているわけではない。しかも、ホームで戦えるわけだから、結果、内容とも良い手応えを掴んで、来年につなげるには格好の舞台だ。

 2年前の8月に中国で行なわれた前回大会は、1勝もできず最下位に終わった。そのリベンジを果たす意味でも、良い内容と結果を期待したい。繰り返すようだけども、優勝が「ノルマ」だという意識を持って、有意義な大会にしてほしいね。