中国雲南省内で24日、完成して3日目の回龍山水力発電所ダムが、大雨のため水位が上昇して危険な状態になったとして、ダム本体の人為的破壊による放水が実施された。写真は同ダム。

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28日付中国青年報は、雲南省・西双版納(シーサンパンナ)タイ族自治州で24日、完成して3日目の回龍山水力発電所ダムが、大雨のため水位が上昇して危険な状態になったとして、ダム本体の人為的破壊による放水が実施されたと報じた。

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回龍山水力発電所ダムは、岩石や土砂を積み上げて築くロックフィルダムで、ダム本体の高さは79メートルで幅は320メートル。22日に貯水が開始され、貯水量は約2億立方メートルで発電容量は11万3000キロワット。プロジェクトへの投資総額は12億5000万元(約211億円)と、中国では中小型水力発電所に位置付けられている。

現地当局関係者によると、回龍山水力発電所の周辺地域では23日、「20年に1度」の大雨に見舞われ、ダムに大量の水が流れ込んだ。同ダムは「5年に1度」の大雨に耐えられる設計だったという。

24日午前1時には水位が急上昇して危険な状態に近づきつつあるとして、ダムに新たな土石を積み増す作業を進めると同時に、下流地域の住民を避難させ始めた。同日午後8時には、ダムへの土石積み増しでは制御不能なダム決壊を防げないと判断し、ダム本体の一部を破壊して放水する作業に切り替えた。

作業を開始して約2時間後に、ダムの切り崩した部分からの放水が始まった。切り口の幅は100メートル程度で安定し、放水も安定したので危険な状態は基本的に解消されたという。

ダムの破壊作業や大量に流れ出した水による死傷者は出なかったが、高い場所に避難する際に80歳の高齢者1人が階段から転落して死亡した。

インターネットでは、回龍山水力発電所ダムの建設は規則違反ではなかったのかとの声が出た。雲南省政府が2016年7月に、水資源の開発利用を厳格化するとして、以後は出力25万キロワット以下の水力発電所建設を認めないと発表していたからだ。

共産党のシーサンパンナ・タイ族自治州委員会の段金華副部長は同発電所について、12年8月13日付で省政府の許可を得ており、プロジェクトは合法的であり省政府の規則にも合致していたと説明した。ただし、16年7月の省政府の決定との整合性については、改めて詳細を確認すると述べた。

国土が広大で長大な河川も多い中国では、一つの河川に対して極めて多くのダムが建設されていることが珍しくない。そのため、一つのダムが決壊した場合、大量に流れ出した水により下流のダムが次々に倒壊して巨大な被害をもたらす恐れがある。1975年8月には河南省にある板橋ダムが大雨による増水に耐えられず決壊。下流にあったダム60基以上が次々に決壊し、濁流に巻き込まれて17万人以上が死亡したとされる。その後も食料不足や感染症で数十万人が死亡したと見られているが、当時の中国は秘密主義の色彩が極めて濃厚で、現在も不明な点が多い。(翻訳・編集/如月隼人)