12月の相場はどうなるのか。一足早く予想する(uchida/PIXTA)

東京市場はこの週末から、名実ともにいよいよ「師走相場入り」となります。12月の大きなイベントは、12月12日-13日に開催されるアメリカのFOMC(米連邦公開市場委員会)です。

すでにFOMCでの利上げの確率はかなり高くなっており、実際に利上げがあっても市場の反応は限定的でしょう。そういう状況の下、NYダウ平均やナスダック指数など、アメリカの主要指数の高値更新が続くようなら、東京市場でも影響を受けやすい主力銘柄への個別物色は再び旺盛になるとみられます。加えて、現在は割安感のあるREIT(不動産投資信託)市場にも資金流入が見受けられ、東証REIT指数は急反発しています。投資家が足元で少し強くなってきたマザーズ市場などに、もっと資金を振り向けてくるかも、短期的な見どころとなります。

日経平均とTOPIX両方が、過去の戻り高値を上回った

さて、一足先に11月相場を振り返りますと、日経平均株価は10月の「16連騰」が途絶えたあとも上昇基調が続きましたが、11月9日の長い上ヒゲと下ヒゲのある「高値波乱」のローソク足で、一服となりました。それでもよかったことは、バブル崩壊後の歴史的な戻り高値である1996年の高値(2万2666円)を上回り、1992年1月以来の水準まで上昇したことです。

日経平均株価よりも日本市場全体の値動きをよく示しているTOPIX(東証株価指数)も、平成バブル崩壊後の戻り高値(1816ポイント)を上回りました。両指数がほぼ同じタイミングで高値を更新したことは、日本株全体の上昇の方向性を確認する追加材料になったといえます。

というのも、2007年にかけての上昇相場の際、TOPIXは過去の戻り高値を上回った一方、日経平均株価は過去の戻り高値を上回れませんでした。その後は悪材料があったにせよ、日本株全体の低迷につながりました。2015年にかけての上昇相場の際、今度は日経平均株価が過去の戻り高値を上回った一方で、TOPIXは上回れず、同じように日本株全体の低迷につながりました。

今回はほぼ同時に過去の高値を更新したことで、日本株は新たな上昇局面入りとなった可能性が高いのです。もし、ここからバブル後の新たな高値を目指すとすれば、時折加速する場面をみせながらの動きが予想されます。

ただ、当面の高値となった11月9日(取引時間中では2万3382円)は、SQ(特別清算指数)算出直前で高値を形成しやすいタイミングでもありました。日経平均株価の高値と安値の値幅も約860円に広がり、ちょうど1年前のトランプ波乱(昨年11月9日)以来の値動きの大きさとなりました。そういえば、2015年の年間高値が6月24日、その1年後の6月24日に2016年の年間安値をつけました。1年といえば偶然のように聞こえますが、地球が太陽を1周するのに1年かかることを考えると、9日の乱高下は不思議なことに「魔」の力が働いたのかもしれません。出来高も大幅に膨らんだため、そこで買い方となった投資家の戻り待ちの売りをこなす時間は、ある程度は必要でしょう。

短期的な需給の話には、あまり気をとられない方が良い

また、市場でささやかれている話として、日経平均株価に連動するリンク債の早期償還にともなう売りが上値を抑えた?あるいは当面抑える可能性が高い、というものがあります。

どういうことかと言いますと、リンク債の仕組みは、日経平均株価があらかじめ決められた水準「ノックイン価格」以下になったら、額面金額ではなく、株価の変動に応じて償還金額が変動する仕組みになっています。
一方、逆に、株価が上昇して、「ノックアウト価格」まで上昇すれば、額面金額でしかも早期償還される仕組みになっています。

実は、そのリンク債を作るときにオプション取引に加え、先物買いを行っています。今回のように、日経平均株価が今よりももっと低い水準の時に、高めに設定された「ノックアウト価格」まで短期間で上昇した場合、買っている先物は売られ、早期償還になってしまします。その売りが市場で意識されているというわけです。

ただ、これだけ短期間で上昇する局面では、誰かが予期せぬことが起きることによって、「事情ありの売り」を迫られるということは、常にあるわけです。ただ、こんな話が世の中に出てくるということは、実はしこたま残っている状況とも言いがたいのです。こうした話は短期の投資家には重要でも、バブル高値を狙う投資家にはどうでもよい目先の話なのです。

では、今後の相場はどうなるのでしょうか。筆者は、当面イメージできる「2つの動き」があると思います。

1つ目は、25日移動平均線(=直近25営業日の平均売買コスト、2万2326円、11月28日現在)をひとつの目安に、比較的大きな値幅でのモミ合いを続けつつ、エネルギーが蓄積されたのち、11月9日の高値を更新していく展開です。

2つ目は、このまま11月16日安値(2万1972円)と17日高値(2万2757円)の間で小さくモミ合ったあと、短期的に直近安値を下回っていくケースです。9日の高値を起点にして「下げ→戻り→下げ」と、二段下げを描くパターンです。

カギ握る、ドル円相場の値動き

2つの動きのうち、どちらになるかは、ドル円相場がカギを握ると思います。まずは、12月1日発表のアメリカの11月のISM製造業景況指数がポイントです。9月は60.8と、なんと13年4カ月ぶりの高水準でした。連動性が高い日経平均のこれまでの上昇要因になってきたといっても過言ではありません。

しかし、2000年以降のピーク水準(60〜61.4)に近づいてきた点では、「この先は景気のピークアウト懸念もあり」と筆者はみています。実際、10月は58.7まで低下し、事前の予想も下回る結果となりました。

足元の米長期金利(米10年債利回り)は2.3%〜2.4%のモミ合いで変動率が低下し、円安方向に行きにくくなっています。ISM製造業景況指数の上昇が再び確認できれば、金利上昇→円安の流れが期待できるのですが、すでに投機筋の円売りポジションが積み上がり過ぎており、1ドル=113円を突破して円安が進む状況でもないようです。

一方、もし、10月の58.7から悪化が続けば大変です。米長期金利のモミ合い下放れ(低下)に注意が必要だからです。ドル円は10月16日の安値(111.64円)をすでに下回ってしまっているため、ここから円売りポジションが円買いに巻き戻されれば、110円割れまではあっさりと進みそうです。そうなると、日経平均株価は上記でお話した2つの動きのうち、後者のパターンになることが予想されます。

もっとも、足元で主力株がさえないのは、以下の話と無縁ではないかもしれません。実は、サンクスギビングデー(感謝祭)の翌営業日から年末までの株価の騰落(勝敗)と平均騰落率を24年間(1993年〜2016年)でみると、アメリカでは大型株が主体のS&P500は17勝7敗、騰落率は1.3%とあまり魅力のある期間ではありません。勝敗にしても騰落率にしても、小型株指数のラッセル2000が20勝4敗の3.1%上昇と圧倒的に優位な期間なのです。

仮に、今年もアメリカで小型株指数が強いのであれば、物色が連動しやすい東京市場では、このところ下に突っ込んだ小型株が相対的に魅力的な動きになることが予想されます。