(写真=S-KOREA編集部)

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「プチ整形」といった言葉が一般化し、ひと昔に比べると美容整形に対するハードルが下がりつつある昨今だが、日本では今後、美容医療サービスの広告規制の見直しが図られる方針だという。

施術前と施術後の違いを示す「ビフォー・アフター」が消費者トラブルの原因になることが多く、それを強調することができなくなるそうだが、韓国でも規制に乗り出す方針だ。

ソウルの地下鉄を運営するソウル交通公社は11月27日、地下鉄内での美容整形広告を全面的に廃止する方向を決めたのだ。

アイドルもビフォー・アフターを公開

そもそも美容整形大国である韓国でも、「ビフォー・アフター」は最も頻繁に見ることができる美容医療サービス広告の定番だ。

今や韓国でも美容整形は一般的で、“整形マスク”を告白する女優やアイドルも増えているが、最近はその事実を告白するだけではない。

とあるガールズグループが新曲の話題作りのために整形手術の詳細や、整形前と整形後の違いを惜しげもなく披露しているほどだ。
(参考記事:過熱競争の果てが生み出した韓国ガールズアイドルの「美容整形ビフォー・アフター」

ただ、その「ビフォー・アフター」の違いを大袈裟に見せようとする医療機関が絶えず、今年9月には有名な9つの美容整形病院が韓国の公正取引委員会から摘発されている。

写真に細工や嘘の体験談をネットに公開

報道によると、とある医療機関はホームページに掲載した「ビフォー・アフター」に巧妙な細工をしていたらしい。

施術前の写真は素人カメラマンが撮り、患者もすっぴんで撮影させる一方で、施術後には患者を専用スタジオに連れていき、メイクをさせて設備が整ったスタジオで撮影。

さらに画像編集ソフトでリタッチや色合い調整も加えた写真を、“施術後”として“施術前”写真と並べていたという。それでいて、「1万回以上の施術ノウハウを保有」というキャッチコピーを自慢げに掲げていたというのだ。

違う医療機関は、広告代理業者に1件当たり10万ウォン(約1万円)を支払って自身が運用するホームページに整形体験の後日談やレビューを書かせたという。

韓国では最近、幼年期からのコンプレックスから美容整形に踏み切ったとある女性芸人がネットに自身のビフォー・アフター体験を告白して話題を呼んだが、その手口は患者に偽装して“嘘の体験談”を書き綴っていたというのだから悪質だ。

増え続ける美容整形広告。トラブルも絶えず

韓国の公正取引委員会はこれらの医療機関の誇大広告・虚偽広告を問題し、1億700万ウォン(約1070万円)の課徴金命令を下しているが、そうした罰則を科せしても美容整形の誇張・虚偽広告は減らないだろうという見方が強い。

というのも、最近も政府の健康福祉部(日本の厚生労働省に相当)が実施した「インターネット医療モニタリング」で、韓国の医療法第27条第3項(患者誘引行為)および第56条第3項(虚偽・誇大)などの嫌疑で、計567の医療機関が摘発されているのだ。

まさに“イタチごっこ”状態なわけだが、それだけに早急に手を打つべきだという意見も多く、美容整形広告の規制を見直すべきという意見も絶えない。

ただ、美容整形に関する広告は増え続ける一方。地下鉄やバスといった交通機関だけではなく、筆者もときたま利用する韓国の空の玄関口・仁川国際空港でも美容整形の広告を見かけるようになった。

調べてみると、2016年から仁川国際空港でも美容整形の医療サービスを展開する医療機関の広告が見られるようになった。その数、実に8つ(2016年)もあったそうだ。

中国や東南アジアからの観光客を意識した広告なのだろうが、それがさまざまなトラブルを生むきっかけになっているかと思うと、皮肉だろう。

全面廃止は2022年

こうした状況を受けて、美容整形の広告廃止に取り組むことを決めたソウル交通公社。

ただ、一気に全面廃止するわけではなく、まずは2020年からソウル地下鉄内での美容整形広告を規制し、2022年までには全面廃止を目指すという。着手はするが、徐々になくしていくわけだ。

だからこそ、個人的に期待したいのは日本の取り組みである。美容整形に関する広告規制の見直しに着手する日本の取り組みは、韓国にもひとつの模範と参考を示すのではないだろうか。

事前情報は必要で重要だが、行き過ぎた“ビフォー・アフター”はトラブルの種にしかならないのだから。

(文=慎 武宏)